19 / 90
第18話
しおりを挟む
柊先輩との会話を思い返しながら、静かに歩き続けた。
心の中では、先輩の言葉が何度も繰り返されていた。
"俺は美桜のことを諦めるつもりはないから"
"美桜が戻ってくるのを待ってるから"
その言葉に、少しだけ安心したものの、同時に不安も感じていた。
自分の気持ちを整理するためには、時間が必要だと分かっていたけど、柊先輩と離れることがこんなにも辛いとは思わなかった。
家に帰ると、私はそのまま自分の部屋に向かった。
部屋に入ると、ベッドに腰を下ろし、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。
その夜、私は自分の部屋で一人、柊先輩との思い出を思い返していた。
先輩との楽しい時間や、笑顔、そして今回の辛い決断。
すべてが頭の中を巡り、涙がこぼれそうになった。
"これで良かったんだ"
と自分に言い聞かせるように、深呼吸をした。
分かってはいたものの、やっぱり辛い。
今すぐにでも駆け出して、先輩の家に行きたい。
やっぱりさっきの言葉は、聞かなかったことにして欲しいって言いたい。
だけど、お互いのために、今は距離を置くことが必要で…私の決断は正しかったんだと思う。
間違っていたとしても、後悔はしない。
はずなのに、涙が出てくるのはどうしてなんだろう。
思い切り泣いて、気づいたらそのまま眠っていた。
翌日、学校に行くなり遥希くんに声をかけられた。
「…また泣いたの?」
「え、やっぱり分かる…?」
「分かるよ、そんなに目が赤いんだから」
「だよね、」
朝起きて、真っ赤に腫れている目を急いで冷やしたけど、手遅れだったみたい。
「どうして泣いたの。またあの先輩のせい?」
遥希くんには、まだ先輩と距離置いたことを話せていない。
私は少しの間、言葉を探して、静かに答えた。
「うん。昨日話し合って、少しの間だけ距離を置くことにしたの」
遥希くんは驚いた表情を見せた。
「そ、うだったんだ…辛かったね」
「うん、でも後悔はしてないよ」
「そっか。心桜がそう決めたなら、それが正しいんだと思うよ」
遥希くんはいつも私の欲しい言葉をくれる。
「ありがとう、遥希くん」
「いいよ。相談に乗ることぐらいしかできないけど、」
ぐらいなんかじゃない。
「私、遥希の言葉にいつも救われてるよ。だから、ほんとにいつもありがとう」
「心桜ちゃん…少しでも力になれていたなら嬉しいよ」
遥希の優しさに感謝しながら、少しだけ心が軽くなった気がした。
やっぱり持つべきものは…
"そう思ってるのは美桜だけかもしれないよ"
…いいんだよね、私、遥希くんの隣にいても。
友達…だもんね、
心の中では、先輩の言葉が何度も繰り返されていた。
"俺は美桜のことを諦めるつもりはないから"
"美桜が戻ってくるのを待ってるから"
その言葉に、少しだけ安心したものの、同時に不安も感じていた。
自分の気持ちを整理するためには、時間が必要だと分かっていたけど、柊先輩と離れることがこんなにも辛いとは思わなかった。
家に帰ると、私はそのまま自分の部屋に向かった。
部屋に入ると、ベッドに腰を下ろし、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。
その夜、私は自分の部屋で一人、柊先輩との思い出を思い返していた。
先輩との楽しい時間や、笑顔、そして今回の辛い決断。
すべてが頭の中を巡り、涙がこぼれそうになった。
"これで良かったんだ"
と自分に言い聞かせるように、深呼吸をした。
分かってはいたものの、やっぱり辛い。
今すぐにでも駆け出して、先輩の家に行きたい。
やっぱりさっきの言葉は、聞かなかったことにして欲しいって言いたい。
だけど、お互いのために、今は距離を置くことが必要で…私の決断は正しかったんだと思う。
間違っていたとしても、後悔はしない。
はずなのに、涙が出てくるのはどうしてなんだろう。
思い切り泣いて、気づいたらそのまま眠っていた。
翌日、学校に行くなり遥希くんに声をかけられた。
「…また泣いたの?」
「え、やっぱり分かる…?」
「分かるよ、そんなに目が赤いんだから」
「だよね、」
朝起きて、真っ赤に腫れている目を急いで冷やしたけど、手遅れだったみたい。
「どうして泣いたの。またあの先輩のせい?」
遥希くんには、まだ先輩と距離置いたことを話せていない。
私は少しの間、言葉を探して、静かに答えた。
「うん。昨日話し合って、少しの間だけ距離を置くことにしたの」
遥希くんは驚いた表情を見せた。
「そ、うだったんだ…辛かったね」
「うん、でも後悔はしてないよ」
「そっか。心桜がそう決めたなら、それが正しいんだと思うよ」
遥希くんはいつも私の欲しい言葉をくれる。
「ありがとう、遥希くん」
「いいよ。相談に乗ることぐらいしかできないけど、」
ぐらいなんかじゃない。
「私、遥希の言葉にいつも救われてるよ。だから、ほんとにいつもありがとう」
「心桜ちゃん…少しでも力になれていたなら嬉しいよ」
遥希の優しさに感謝しながら、少しだけ心が軽くなった気がした。
やっぱり持つべきものは…
"そう思ってるのは美桜だけかもしれないよ"
…いいんだよね、私、遥希くんの隣にいても。
友達…だもんね、
6
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

私は恋をしている。
はるきりょう
恋愛
私は、旦那様に恋をしている。
あれから5年が経過して、彼が20歳を超したとき、私たちは結婚した。公爵家の令嬢である私は、15歳の時に婚約者を決めるにあたり父にお願いしたのだ。彼と婚約し、いずれは結婚したいと。私に甘い父はその話を彼の家に持って行ってくれた。そして彼は了承した。
私の家が公爵家で、彼の家が男爵家だからだ。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる