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第18話
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柊先輩との会話を思い返しながら、静かに歩き続けた。
心の中では、先輩の言葉が何度も繰り返されていた。
"俺は美桜のことを諦めるつもりはないから"
"美桜が戻ってくるのを待ってるから"
その言葉に、少しだけ安心したものの、同時に不安も感じていた。
自分の気持ちを整理するためには、時間が必要だと分かっていたけど、柊先輩と離れることがこんなにも辛いとは思わなかった。
家に帰ると、私はそのまま自分の部屋に向かった。
部屋に入ると、ベッドに腰を下ろし、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。
その夜、私は自分の部屋で一人、柊先輩との思い出を思い返していた。
先輩との楽しい時間や、笑顔、そして今回の辛い決断。
すべてが頭の中を巡り、涙がこぼれそうになった。
"これで良かったんだ"
と自分に言い聞かせるように、深呼吸をした。
分かってはいたものの、やっぱり辛い。
今すぐにでも駆け出して、先輩の家に行きたい。
やっぱりさっきの言葉は、聞かなかったことにして欲しいって言いたい。
だけど、お互いのために、今は距離を置くことが必要で…私の決断は正しかったんだと思う。
間違っていたとしても、後悔はしない。
はずなのに、涙が出てくるのはどうしてなんだろう。
思い切り泣いて、気づいたらそのまま眠っていた。
翌日、学校に行くなり遥希くんに声をかけられた。
「…また泣いたの?」
「え、やっぱり分かる…?」
「分かるよ、そんなに目が赤いんだから」
「だよね、」
朝起きて、真っ赤に腫れている目を急いで冷やしたけど、手遅れだったみたい。
「どうして泣いたの。またあの先輩のせい?」
遥希くんには、まだ先輩と距離置いたことを話せていない。
私は少しの間、言葉を探して、静かに答えた。
「うん。昨日話し合って、少しの間だけ距離を置くことにしたの」
遥希くんは驚いた表情を見せた。
「そ、うだったんだ…辛かったね」
「うん、でも後悔はしてないよ」
「そっか。心桜がそう決めたなら、それが正しいんだと思うよ」
遥希くんはいつも私の欲しい言葉をくれる。
「ありがとう、遥希くん」
「いいよ。相談に乗ることぐらいしかできないけど、」
ぐらいなんかじゃない。
「私、遥希の言葉にいつも救われてるよ。だから、ほんとにいつもありがとう」
「心桜ちゃん…少しでも力になれていたなら嬉しいよ」
遥希の優しさに感謝しながら、少しだけ心が軽くなった気がした。
やっぱり持つべきものは…
"そう思ってるのは美桜だけかもしれないよ"
…いいんだよね、私、遥希くんの隣にいても。
友達…だもんね、
心の中では、先輩の言葉が何度も繰り返されていた。
"俺は美桜のことを諦めるつもりはないから"
"美桜が戻ってくるのを待ってるから"
その言葉に、少しだけ安心したものの、同時に不安も感じていた。
自分の気持ちを整理するためには、時間が必要だと分かっていたけど、柊先輩と離れることがこんなにも辛いとは思わなかった。
家に帰ると、私はそのまま自分の部屋に向かった。
部屋に入ると、ベッドに腰を下ろし、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。
その夜、私は自分の部屋で一人、柊先輩との思い出を思い返していた。
先輩との楽しい時間や、笑顔、そして今回の辛い決断。
すべてが頭の中を巡り、涙がこぼれそうになった。
"これで良かったんだ"
と自分に言い聞かせるように、深呼吸をした。
分かってはいたものの、やっぱり辛い。
今すぐにでも駆け出して、先輩の家に行きたい。
やっぱりさっきの言葉は、聞かなかったことにして欲しいって言いたい。
だけど、お互いのために、今は距離を置くことが必要で…私の決断は正しかったんだと思う。
間違っていたとしても、後悔はしない。
はずなのに、涙が出てくるのはどうしてなんだろう。
思い切り泣いて、気づいたらそのまま眠っていた。
翌日、学校に行くなり遥希くんに声をかけられた。
「…また泣いたの?」
「え、やっぱり分かる…?」
「分かるよ、そんなに目が赤いんだから」
「だよね、」
朝起きて、真っ赤に腫れている目を急いで冷やしたけど、手遅れだったみたい。
「どうして泣いたの。またあの先輩のせい?」
遥希くんには、まだ先輩と距離置いたことを話せていない。
私は少しの間、言葉を探して、静かに答えた。
「うん。昨日話し合って、少しの間だけ距離を置くことにしたの」
遥希くんは驚いた表情を見せた。
「そ、うだったんだ…辛かったね」
「うん、でも後悔はしてないよ」
「そっか。心桜がそう決めたなら、それが正しいんだと思うよ」
遥希くんはいつも私の欲しい言葉をくれる。
「ありがとう、遥希くん」
「いいよ。相談に乗ることぐらいしかできないけど、」
ぐらいなんかじゃない。
「私、遥希の言葉にいつも救われてるよ。だから、ほんとにいつもありがとう」
「心桜ちゃん…少しでも力になれていたなら嬉しいよ」
遥希の優しさに感謝しながら、少しだけ心が軽くなった気がした。
やっぱり持つべきものは…
"そう思ってるのは美桜だけかもしれないよ"
…いいんだよね、私、遥希くんの隣にいても。
友達…だもんね、
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