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大学を…編 2

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「この前授業休んでたけど、私に会いたくなくて逃げたの?」

 彼女が冷たく言い放った。
 私は心臓がドキッとした。

「そんなんじゃない」

 私はすぐに否定した。
 だけど、心の中では不安が渦巻いていた。

「今日も別に来なくてよかったのに」

 と彼女が続けた。

「あなたにそんな事言われる筋合いない」

 私は反論したが、声が震えていた。

「はっ、調子乗ってんじゃないわよ」

 彼女が嘲笑した。

「別にそういうつもりじゃ」

「あんまり調子に乗ってるようなら…一生踊れない体にしてやろうか」

 なんて、こんなのただの脅迫でしかない。

 私は恐怖を感じながらも、冷静を装った。

「踊れない体…?どうやって、?」

 私は挑発的に尋ねた。

「そんなの簡単よ、ただ足を狙えばいいだけだもの。前にあなたにしたみたいに」

 彼女が冷たく言った。

「そんなことしていいとでも?」

「事故に見せかければ罪も軽くなるし。私はあなたを彼らに近づかせないためならなんだってするわ」
彼女が続けた。

「ふっ」

「何がおかしいの、」

 彼女が苛立ったように言った。

「ごめんなさい。生憎、私も黙ってやられてるような人間じゃないの」

「は…?」

「これを事務所に渡したらどうなるのかな、」

 私はポケットからボイスレコーダーを取り出した。

「まさか、」

「今までの会話全部録音させて貰ってました」
「まさか、脅してるつもり?」

 脅してなんかいない。これはあくまで

「自己防衛してるだけ」

「こんなのあんたが思いつくわけない」

 私だけが傷つかなくても、耐えなくてもいいって言ってくれたから。

「私は一人なんかじゃないから」

 あの日…

「純怜、答えたくなかったら別に答えなくていいんだけどね、その足、」

 雄大お兄ちゃんが心配そうに尋ねた。

 もしかして、バレて、

「こ、これは、私の不注意だから、誰のせいでもないです」

 私は焦りながら答えた。

「まだ何も言ってないけど」

 雄大お兄ちゃんはそう言うと苦笑いした。

「あ…」

 しまった。
 逆に怪しまれてしまった。

「そこまで動揺するって事は本当は何かあるんだね?」

 雄大お兄ちゃんが鋭く言った。

「別に…」

 私は視線をそらした。

「そんな事をされたのに、どうしてその人を庇いたいのか俺には理解できないんだけど」

 雄大お兄ちゃんが問い詰めた。

「ごめんなさい、」

「謝って欲しいわけじゃなくて、ただ、もっと自分の事を大切にして欲しいんだよ」

「でも、」

 私が認められるようにもっと頑張れば、


「何を言われてるのか知らないけど、純怜が黙って聞いてる必要あるのかな、」
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