30 / 41
初めてのサイン会編 3
しおりを挟む
「あ、起きた…?」
天馬兄が優しく声をかけてきた。
「天馬兄…。大丈夫、です、」
私はぼんやりとした頭で答えた。
過呼吸になって…私、また倒れたのか。
そういえば、前に過呼吸になった時も天馬兄がそばにいてくれたなぁ。
「…辛かったな」
天馬兄が心配そうに言った。
「その、サイン会は…」
「中止になった」
中止に…。
私が過呼吸なんかになったからだ。
ファンのみんな、この日を楽しみにしていたのに、私のせいで、
「そんな…」
私は涙をこらえながら言った。
「んな顔すんな」
天馬兄が優しく言った。
「え?」
私、今どんな顔してた…?
「純怜のせいじゃないから。自分を責めるな」
天馬兄が強く言った。
「だけど、私のせいで…」
私は涙声で言った。
「純怜のせいじゃない。あんな事されたら、さすがに俺でも怖い」
「あ、あの人はどうなったんですか?」
私は恐る恐る尋ねた。
「さあな。強制退場させられた事しか知らないけど、適切な対処をしてるんじゃないか?」
「そっか…」
あの人のしたことは許されることじゃない。
けど、それだけスターライトを応援していたファンだった。
「みんな心配してるからそろそろ行くか」
「はい、」
みんなにも心配かけちゃったから、謝らないと。
「立てるか?」
「多分…」
「支えてやるから立ってみて」
と天馬兄が手を差し伸べた。
「うん…」
私はその手を握り、立ち上がろうとした。
けど、足に力が入らなかった。
「あ、ダメだ…。足に力が入らないです」
立てそうにない。
「ごめん天馬兄、まだ無理そ…きゃっ、」
「軽っ」
天馬兄が私をお姫様抱っこしながら言った。
体重管理はしっかりしてるから、折れるほどじゃないと思うけど、
「お、重たいから下ろしてよ」
私は恥ずかしそうに言った。
お姫様抱っこなんて初めてしてもらった。
女子なら一度は夢見るお姫様抱っこだけど、意外とドキドキするよりも体重の方が気になっちゃう。
「俺はそんなにか弱くないぞ」
「それはそうだけど、」
それに、この体勢は…なんだか恥ずかしい。
「もしかして…照れてんの?」
天馬兄がからかった。
「な、そんなんじゃないけど…」
私は顔を赤くしながら答えた。
図星だけど、からかわれたことが悔しくて強がってしまった。
「そんじゃあ大丈夫だな。行くぞ」
天馬兄に抱えられながら、私は周りの景色をぼんやりと見つめた。
廊下を歩く音が響き、少しずつみんなの声が近づいてくるのがわかった。
心臓がドキドキして、恥ずかしさと安心感が入り混じった気持ちだった。
天馬兄が優しく声をかけてきた。
「天馬兄…。大丈夫、です、」
私はぼんやりとした頭で答えた。
過呼吸になって…私、また倒れたのか。
そういえば、前に過呼吸になった時も天馬兄がそばにいてくれたなぁ。
「…辛かったな」
天馬兄が心配そうに言った。
「その、サイン会は…」
「中止になった」
中止に…。
私が過呼吸なんかになったからだ。
ファンのみんな、この日を楽しみにしていたのに、私のせいで、
「そんな…」
私は涙をこらえながら言った。
「んな顔すんな」
天馬兄が優しく言った。
「え?」
私、今どんな顔してた…?
「純怜のせいじゃないから。自分を責めるな」
天馬兄が強く言った。
「だけど、私のせいで…」
私は涙声で言った。
「純怜のせいじゃない。あんな事されたら、さすがに俺でも怖い」
「あ、あの人はどうなったんですか?」
私は恐る恐る尋ねた。
「さあな。強制退場させられた事しか知らないけど、適切な対処をしてるんじゃないか?」
「そっか…」
あの人のしたことは許されることじゃない。
けど、それだけスターライトを応援していたファンだった。
「みんな心配してるからそろそろ行くか」
「はい、」
みんなにも心配かけちゃったから、謝らないと。
「立てるか?」
「多分…」
「支えてやるから立ってみて」
と天馬兄が手を差し伸べた。
「うん…」
私はその手を握り、立ち上がろうとした。
けど、足に力が入らなかった。
「あ、ダメだ…。足に力が入らないです」
立てそうにない。
「ごめん天馬兄、まだ無理そ…きゃっ、」
「軽っ」
天馬兄が私をお姫様抱っこしながら言った。
体重管理はしっかりしてるから、折れるほどじゃないと思うけど、
「お、重たいから下ろしてよ」
私は恥ずかしそうに言った。
お姫様抱っこなんて初めてしてもらった。
女子なら一度は夢見るお姫様抱っこだけど、意外とドキドキするよりも体重の方が気になっちゃう。
「俺はそんなにか弱くないぞ」
「それはそうだけど、」
それに、この体勢は…なんだか恥ずかしい。
「もしかして…照れてんの?」
天馬兄がからかった。
「な、そんなんじゃないけど…」
私は顔を赤くしながら答えた。
図星だけど、からかわれたことが悔しくて強がってしまった。
「そんじゃあ大丈夫だな。行くぞ」
天馬兄に抱えられながら、私は周りの景色をぼんやりと見つめた。
廊下を歩く音が響き、少しずつみんなの声が近づいてくるのがわかった。
心臓がドキドキして、恥ずかしさと安心感が入り混じった気持ちだった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。
すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!?
「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」
(こんなの・・・初めてっ・・!)
ぐずぐずに溶かされる夜。
焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。
「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」
「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」
何度登りつめても終わらない。
終わるのは・・・私が気を失う時だった。
ーーーーーーーーーー
「・・・赤ちゃん・・?」
「堕ろすよな?」
「私は産みたい。」
「医者として許可はできない・・!」
食い違う想い。
「でも・・・」
※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。
※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
それでは、お楽しみください。
【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる