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プロローグ
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泰雅さんとの出会いは、今から一年前のこと。
私はまだ大学生になったばかりで、彼は私が働いていたバイト先の常連客だった。
人通りが少ない所にあり、こじんまりしたお店だけど、コーヒー好きなら知らない人はいない隠れた名店らしい。
私は日頃コーヒーを好んで飲むことはないので勿論そんな事は知らなかった。それなのに、どうしてここを選んだか?
それは…
雰囲気がとっても良かったし、何かビビっと来るものがあったから。
バイトを初めて1週間が経った頃、泰雅さんと初めて出会った。
「あれ?僕たち初めましてだよね。大和、この子がこの前言ってたバイトの?」
「そうです」
「ここの常連で、白川泰雅って言うんだ。これからたくさん会うと思うから、仲良くしてね」
イケメンだ…
「渡邉 陽菜です。よろしくお願いします」
「陽菜ちゃん、おかしなこと聞くけど、俺たち一度どこかで会ったことない?」
「え?」
こんなかっこいい人なら、すれ違っただけでも記憶に残るはずだけど…
「先輩みたいな見た目の人沢山いるのに、いちいち覚えてるわけないじゃないですか」
「何!?沢山とはなんだ沢山とは!道歩いててこんなイケメン、なかなか見かけないだろ!」
仰る通りなんですけど、自分で言っちゃうんだ…
大和さんもなかなかのイケメンだから、イケメンの基準が高いのかも。
「えっと、人違いじゃないですかね...」
どれだけ考えても、思い出せそうにない。
「んー、そうなのかなー。ほんとに、どこかで見た気がするんだけどなぁ、」
そんなに見つめられたら、恥ずかしくて爆発しちゃいそう。
顔が赤くなってるのバレなきゃいいけど
「もしかして緊張してる?」
「え、」
「固まってるから」
バレてた。
「人と話すのが苦手で...すみません」
「全然謝ることじゃないよ。ただ、俺がおじさんだから話すのが嫌なのかと思って」
おじさん…
私とそんなに歳離れてないように見えるけど
「おじさんだなんて、そんなことないですよ。大学生にしか見えません」
「ははっ、お世辞でも嬉しいよ!」
「お世辞じゃないですよ」
こんなにかっこいいんだから。
「陽菜ちゃんは大学生?」
「はい」
「そっか。じゃあ俺の事、泰雅さんって呼んでくれる?」
「へ、」
じゃあ。の理由がよく分からないのですが…
「陽菜ちゃんと仲良くなりたいから」
「でも…」
年上の方を呼び捨てで呼ぶ訳には…
「なら、1回でいいからさ、ね?お願い!」
「えっと…」
「嫌なのか、そうだよね。おじさんに名前呼びしたくな『…泰雅さん、』」
おじさんって言ったら私が言うこと聞くと思ってるんだ。ずるい。
「ふふ。ありがとう。陽菜ちゃんがそう呼びたくなるまで待つね」
この人…結構グイグイ来るタイプだ
「先輩グイグイ行き過ぎ。陽菜が困ってるだろ」
「ごめんごめん。あ、そうだ陽菜ちゃん!犬好き?」
「好きですけど…」
「俺の家に可愛いワンチャンがいるんだ」
そう言って写真を見せてくれた。
「かわいい...」
「でしょ~」
「名前なんですか?」
「ポチだよ」
「ポチ…」
猫といえばタマ。
「犬といえばポチだよね」
「ふふ、そうですね、」
「あ、笑った顔も可愛いね」
「そ、んな事ないですよ」
初めはただのフレンドリーで気さくな男性としか思ってなかった。
温厚で優しくて大人で。だけど、子供みたいに無邪気に笑う一面もあって...そんな所に惹かれていった。
そして、気づいたら、抜け出せないほど好きになっていた。
私はまだ大学生になったばかりで、彼は私が働いていたバイト先の常連客だった。
人通りが少ない所にあり、こじんまりしたお店だけど、コーヒー好きなら知らない人はいない隠れた名店らしい。
私は日頃コーヒーを好んで飲むことはないので勿論そんな事は知らなかった。それなのに、どうしてここを選んだか?
それは…
雰囲気がとっても良かったし、何かビビっと来るものがあったから。
バイトを初めて1週間が経った頃、泰雅さんと初めて出会った。
「あれ?僕たち初めましてだよね。大和、この子がこの前言ってたバイトの?」
「そうです」
「ここの常連で、白川泰雅って言うんだ。これからたくさん会うと思うから、仲良くしてね」
イケメンだ…
「渡邉 陽菜です。よろしくお願いします」
「陽菜ちゃん、おかしなこと聞くけど、俺たち一度どこかで会ったことない?」
「え?」
こんなかっこいい人なら、すれ違っただけでも記憶に残るはずだけど…
「先輩みたいな見た目の人沢山いるのに、いちいち覚えてるわけないじゃないですか」
「何!?沢山とはなんだ沢山とは!道歩いててこんなイケメン、なかなか見かけないだろ!」
仰る通りなんですけど、自分で言っちゃうんだ…
大和さんもなかなかのイケメンだから、イケメンの基準が高いのかも。
「えっと、人違いじゃないですかね...」
どれだけ考えても、思い出せそうにない。
「んー、そうなのかなー。ほんとに、どこかで見た気がするんだけどなぁ、」
そんなに見つめられたら、恥ずかしくて爆発しちゃいそう。
顔が赤くなってるのバレなきゃいいけど
「もしかして緊張してる?」
「え、」
「固まってるから」
バレてた。
「人と話すのが苦手で...すみません」
「全然謝ることじゃないよ。ただ、俺がおじさんだから話すのが嫌なのかと思って」
おじさん…
私とそんなに歳離れてないように見えるけど
「おじさんだなんて、そんなことないですよ。大学生にしか見えません」
「ははっ、お世辞でも嬉しいよ!」
「お世辞じゃないですよ」
こんなにかっこいいんだから。
「陽菜ちゃんは大学生?」
「はい」
「そっか。じゃあ俺の事、泰雅さんって呼んでくれる?」
「へ、」
じゃあ。の理由がよく分からないのですが…
「陽菜ちゃんと仲良くなりたいから」
「でも…」
年上の方を呼び捨てで呼ぶ訳には…
「なら、1回でいいからさ、ね?お願い!」
「えっと…」
「嫌なのか、そうだよね。おじさんに名前呼びしたくな『…泰雅さん、』」
おじさんって言ったら私が言うこと聞くと思ってるんだ。ずるい。
「ふふ。ありがとう。陽菜ちゃんがそう呼びたくなるまで待つね」
この人…結構グイグイ来るタイプだ
「先輩グイグイ行き過ぎ。陽菜が困ってるだろ」
「ごめんごめん。あ、そうだ陽菜ちゃん!犬好き?」
「好きですけど…」
「俺の家に可愛いワンチャンがいるんだ」
そう言って写真を見せてくれた。
「かわいい...」
「でしょ~」
「名前なんですか?」
「ポチだよ」
「ポチ…」
猫といえばタマ。
「犬といえばポチだよね」
「ふふ、そうですね、」
「あ、笑った顔も可愛いね」
「そ、んな事ないですよ」
初めはただのフレンドリーで気さくな男性としか思ってなかった。
温厚で優しくて大人で。だけど、子供みたいに無邪気に笑う一面もあって...そんな所に惹かれていった。
そして、気づいたら、抜け出せないほど好きになっていた。
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