この見合いなんとしてでも阻止します

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第66話

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 街のネオンがぼんやりと輝き、夜の静けさが私たちを包み込む。

 蓮の腕の温かさが、心に安心感をもたらしてくれる。

 その優しさに感謝しながらも、言葉にする余裕はない。

「大丈夫か?ゆっくりでいいから、しっかり歩けよ」

 蓮の声が優しく響く。

「二次会行こうよ~」

 私は酔った勢いで蓮に提案する。

 今はただ、何もかも忘れて楽しい時間を過ごしたかった。

 だけど、蓮は眉をひそめながら答える。

「行くわけないだろ。それより足にもっと力入れて」

 蓮の言葉に少しばかり不満を感じながらも、その言葉に従おうとする。

 だけど、足が思うように動かない。

「えぇー、じゃあ三次会は?」

 私は冗談半分で問いかける。

 酔いのせいで思考が軽くなり、次々と無理な提案をしてしまう。

「はぁ?」

 蓮のため息に、私は少しだけ意識が戻る。

「もう、そんなに怒らないでよ、」

 私は蓮の顔を見上げながら呟く。

 蓮の優しさを感じながらも、酔いのせいでわがままな言葉が口をついて出る。

 蓮の表情に浮かぶ苛立ちを見て、少しばかりの罪悪感を感じるが、その感情を抑えることができない。

「呑めもしないくせに、呑みたい気分だの特別だの何とか言って結局酔っ払って、怒りたくもなるだろ」

 蓮の声には苛立ちが混じっている。

 蓮の言葉が正しいことを理解しつつも、その事実を受け入れるのが辛い。

「じゃあ置いて帰ればいいじゃんか!」

 私は反抗的な態度を見せる。

 蓮が私を見放さないことを知っているからこその強がりだった。

「おい、暴れるなって」

 蓮が私をなだめようとするが、酔いのせいで感情が抑えられない。

「蓮のバカ!バカアホマヌケ!」

 私は子供っぽく叫びながら、蓮に八つ当たりする。

 本当はこんなことを言いたいわけじゃないのに。
 どうしてこんなことを言ってしまうんだろう。

「はいはい。俺はバカでアホでマヌケですよ。これで満足ですか?」

 蓮は諦めたように答えるけど、その声にはまだ優しさが滲んでいた。

「蓮はバカでもアホでもマヌケでもないのに…!」

 私は涙声で呟く。

「はぁ、お前ってほんっと酔うと面倒臭いよな。普段もそれぐらい…」

 そう言う蓮の顔がどこか悲しそうだった。

「面倒くさくない!」

 私は子供っぽく反論するが、その言葉に自分でも少し笑いそうになる。

「はいはい」

 蓮の表情には疲れが見えるが、その背後には私に対する深い心配が感じられる。

「うぅ…」

 自分でも気づかなかったけど、相当酔ってるみたいだ。

「おい、どうした、大丈夫か?」

 これ以上足に力が入らない。それに、睡魔が襲ってきて、意識が飛びそうだ。


「もう、歩けない。ここで寝る…」

 私は力なく言い放ち、その場に座り込もうとした。


 体が重く、意識が遠のいていく。
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