この見合いなんとしてでも阻止します

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第65話

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 時間が経つにつれて、私は次第に酔いが回り始めた。

 グラスを何度も傾けるたびに、心地よい酩酊感が体に広がっていく。

 言葉が少しずつ曖昧になり、視界がかすんでくるのが分かる。

 そんな私を見て、蓮は心配そうな表情を浮かべる。

「大丈夫か?」

 その優しい瞳が、私の心にじんわりと温かさをもたらす。

「うん、大丈夫だよ~」

 私は笑いながら答えるが、口調はすでにしっかりしていない。

 蓮の心配を和らげたい一心で、強がりを見せた。

「大丈夫じゃなさそうだけど?」

 そう言って蓮は私のグラスを取り上げる。

 その行動に、私は軽い抗議の声をあげるが、彼の心配そうな表情にすぐに納得する。

「今日は蓮がいてくれてよかった」

 酔っ払った勢いで、私は蓮に感謝の気持ちを伝える。

「はいはい、」

 全く相手にしてないみたいだ。

「本心なのに~」

 私は口を軽くふくらませた。

 普段はこんな事しないけど、酔っているからか、幼稚な行動をしてしまう。

「心桜、酔ってるだろ。これ以上飲まない方がいい」

 グラスを取り返そうとするけど、上手く力が入らない。

「返してよー」

 すると、蓮はグラスに入ったウィスキーを全て飲み干した。

「はい。帰ろう、家まで送って行くよ」

 そして、からのグラスを私に差し出した。
 もう、残ってないじゃん。

 それに家まで…帰れない。

「もう無理…眠たい…」

 言葉が途切れ途切れになりながらも、私は正直な気持ちを口にする。

 瞼が重くなり、意識がどんどん遠のいていく。

「おい、ここで寝るなよ」

 その声に少しだけ意識が戻るが、眠気には抗えない。

「ごめん、蓮。もう無理かも…」

 力尽きたように、私はカウンターに頭を乗せた。

 蓮は困惑しながらも、私を起こそうとする。

「仕方ないな。家まで送っていくから、しっかりしろ」

 私は動ける気がしない。
 体が重く、意識が遠のいていく。

「動けない…ここで寝る…」

 私は力なく答えた。

 その言葉に、蓮はため息をつきながらも、私を起こそうとする。

「はぁ?だからやめとけって言ったのに」

 蓮の声には少しの苛立ちが含まれているが、その背後には深い心配が感じられる。

「聞こえませーん」

 私は無理やり笑いながら、彼の言葉を受け流す。

 閉店になるまでここで寝て、始発の電車で帰ればいいや。

「はぁ、おい、ここで寝るなって。帰るぞ」

 どう頑張っても眠気には抗えない。

「いやぁ、」

 私は力なく答える。

 こんな面倒なやつ置いて帰っていいのになぁ。

「じゃあ置いて帰るぞ」

 蓮は困惑しながらも、私を起こそうとする。

「別にいいよーだ」

「っ、たく。ほら、立って」

 蓮の言葉に逆らう気力もなく、私は彼に身を任せることにした。

 蓮の腕に支えられながら、バーを後にする。



 冷たい風が少しだけ酔いを醒ましてくれるけど、完全に意識が戻ることはなかった。

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