この見合いなんとしてでも阻止します

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第49話

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 会社に着いて、私はいつものようにデスクに向かい、仕事を始める準備をした。

 パソコンを立ち上げ、今日のタスクを確認する。

 今日もいつも通り、忙しい一日になりそうだ。

 心の中では、これからのことが頭を離れなかった。だけど、表情には出さないように努めた。

 そして、いつも通り蓮が来て挨拶をする。

「おはよう、由莉」
「おはよう、蓮」

 そして、時間が来ていつも通り仕事をする。

 デスクに向かい、書類を整理し、メールを確認する。

 日常のルーティンが続く。

 心の中ではこれからのことがずっと引っかかっていた。

 あの子は…本当に来るんだろうか。

 来るようにわざと話の内容は言わなかったけど、どうでもいいと思われてるんじゃないかな。

 もしも来ないんだとしたら、

 私が話す内容なんてどうでもいい。
 そう思ってる。

 だけど、もしも来たらその時は…。

 結局そんなことを考えていたらあっという間に時間が過ぎて、定時になった。

 もちろん今日は残業なんてしてられないから、頭も体も動かして、何とかノルマを果たすことができた。

 そして、いつも通りじゃないのは…


 帰る準備をしていた時、

「由莉、仕事終わった?家まで送ろうか?」

 蓮が声をかけてきた。

 きっと昨日のこと気にして…

「ううん。大丈夫だよ」

 昨日だって自分のことせめてたもんな、

「遠慮するなって」

 そうだけど、そうじゃないんだよな。

「ほんとに、今日は予定があって」

 私は少し申し訳なさそうに答えた。 

「あ、そっか。気をつけて」

 蓮は少し残念そうに見えた。

 その表情を見ると、胸が痛んだ。

「うん。ありがとう」
「楽しんで」

 楽しむか…。

 妹と外食をする。
 普通なら楽しむべきなんだよね。

 私たちはどうしてそれが出来ないんだろうか。
 どこから間違えてしまったんだろうか。

「…そういうんじゃないんだよね」

 これからのことを考えると、楽しむという言葉がしっくりこなかった。

「え?」

 蓮が驚いたように問いかける。

「全てを終わらせに行くの」

 私は真剣な表情で言った。

 こんなこと蓮に言っても仕方ないか。

「終わらせに?」

 蓮はさらに驚いたようだった。

 驚くと言うより、不審がってると言う方が正しいだろうか。

「あ、遅れちゃう。じゃあまた月曜日」

 私は微笑みながら言った。

 これ以上は、何か勘づかれたら困るから、時間が無いふりをして立ち去ることにした。

 蓮は変なとこ勘が鋭いから侮れない。

 璦と食事するなんて言ったら、着いていくなんて言い出しそうだし。

 今回は二人きりじゃないと意味無い。

 それに、ただ余計な心配かけたくない。

「お、おう」

 蓮は少し戸惑いながらも、頷いた。


 いつも通りじゃないのは今からだ。

 私は心の中で自分を奮い立たせ、これからの対話に向けて気持ちを整えた。
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