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第43話
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「はい。写真を見せてもらったことがあって。つい声をかけてしまって…驚かせてしまってすみません、」
由莉が自分の写真を見せていたことに驚きつつも、嬉しさが込み上げてきた。
いや、違う。
だって最後の由莉の表情は…。
「由莉は俺の事、なんて言ってましたか」
由莉が自分についてどう思っているのか知りたかった。
俺が考えているようなことでは決してないだろうから。
「ずっと忘れられないぐらい好きって」
彼女の言葉に、俺は喜びを感じた。
だけど、由莉が自分をそんな風に思ってくれているなんて、信じられなかった。
「ほんとか…?」
半信半疑で問い返した。
「本当ですよ。由莉がそう言ったんですから」
「でも由莉は俺の事…」
好きどころかむしろ嫌っているように感じた。
好きだったならなんで告白を断ったりなんかしたんだ?
「一度告白してもらったことがあるけど、恥ずかしくて断っちゃったって」
恥ずかしかった…?
「あれは気持ちを隠してるような表情じゃなかったけどな…本気で俺の事なんて好きじゃなさそうだった」
過去の出来事を思い返しながら言った。
一人で盛り上がって由莉のこと傷つけた。ずっとそう思っていたけど、違うかったってことか?
「きっと田中さんの勘違いですよ。だって由莉はずっと後悔してるって言ってましたもの」
彼女の言葉に、少し安心した。
由莉が自分を思ってくれていることが嬉しかった。
「由莉も俺のことが好きだった…」
俺の勘違いじゃなかったってこと…。
こんな夢みたいなことあっていいのか、?
「一度連絡してみては?」
「由莉の連絡先…」
由莉の連絡先なんて知らない。
「あ、なんなら由莉のお家お教えしましょうか?逢いに行ってあげてください」
彼女の提案に、少し驚いた。
「急に会いに行ったら迷惑じゃないか、」
今は、他に好きな人がいるかもしれないし。
「大丈夫です。由莉もきっと喜ぶと思いますよ」
「そうですかね」
そこまで言うなら逢いに行って見ようか…。
あの時はただ純粋に、由莉が喜んでくれることを願っていた。
___
「それで私の家に?」
「行ってみたはいいものの、会う勇気がなくて。ウロウロしていたら不審者だと…」
璦は全部分かってて…。
私の事をからかって楽しんでたんだ。
「そういうことだったんだ」
そんなことの為だけに、わざわざ田中さんに逢いに行って嘘を吹き込んで、一体何が目的なの?
「あの女の口車に乗せられて俺は…あいつの事を信じなければ良かった」
「璦の奴…絶対許さねぇ…」
蓮の怒りが伝わってきた。
まるであの日みたいに。
「蓮、落ち着いて」
蓮の怒りを鎮めようとした。
由莉が自分の写真を見せていたことに驚きつつも、嬉しさが込み上げてきた。
いや、違う。
だって最後の由莉の表情は…。
「由莉は俺の事、なんて言ってましたか」
由莉が自分についてどう思っているのか知りたかった。
俺が考えているようなことでは決してないだろうから。
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だけど、由莉が自分をそんな風に思ってくれているなんて、信じられなかった。
「ほんとか…?」
半信半疑で問い返した。
「本当ですよ。由莉がそう言ったんですから」
「でも由莉は俺の事…」
好きどころかむしろ嫌っているように感じた。
好きだったならなんで告白を断ったりなんかしたんだ?
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恥ずかしかった…?
「あれは気持ちを隠してるような表情じゃなかったけどな…本気で俺の事なんて好きじゃなさそうだった」
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一人で盛り上がって由莉のこと傷つけた。ずっとそう思っていたけど、違うかったってことか?
「きっと田中さんの勘違いですよ。だって由莉はずっと後悔してるって言ってましたもの」
彼女の言葉に、少し安心した。
由莉が自分を思ってくれていることが嬉しかった。
「由莉も俺のことが好きだった…」
俺の勘違いじゃなかったってこと…。
こんな夢みたいなことあっていいのか、?
「一度連絡してみては?」
「由莉の連絡先…」
由莉の連絡先なんて知らない。
「あ、なんなら由莉のお家お教えしましょうか?逢いに行ってあげてください」
彼女の提案に、少し驚いた。
「急に会いに行ったら迷惑じゃないか、」
今は、他に好きな人がいるかもしれないし。
「大丈夫です。由莉もきっと喜ぶと思いますよ」
「そうですかね」
そこまで言うなら逢いに行って見ようか…。
あの時はただ純粋に、由莉が喜んでくれることを願っていた。
___
「それで私の家に?」
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「璦の奴…絶対許さねぇ…」
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まるであの日みたいに。
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蓮の怒りを鎮めようとした。
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