この見合いなんとしてでも阻止します

27話

　雨音が心を少しだけ落ち着かせてくれるような気がした。

　傘の下で静かに歩きながら、今日の出来事を振り返る。

　社長の優しさに触れた瞬間、少しだけ心が温かくなった。

　ふと立ち止まり、傘を少し傾けて雨に打たれることにした。

　  
　冷たい雨が肌に触れると、まるで心の中のモヤモヤを洗い流してくれるような気がした。

　雨に打たれながら立ち尽くすと、冷たさが次第に体に染み込んできた。

　私は再び傘をしっかりと差し直し、雨から身を守ることにした。

　そして、家に向かって、ただ歩き続けた。

　雨音が心の中のざわめきを静め、ただ前に進むことだけに集中できる。

　家に着く頃には、雨に打たれたおかげか、心の中の重さも少しだけ軽くなっていた。

　誰にも見つからないように、静かに家の中に入った。

　体が冷え切っていることに気づき、すぐにお風呂を炊くことにした。

　お湯が沸くのを待ちながら、リビングで少し休んでいると、突然くしゃみが出た。

「うぅ、寒い…」 
　雨に濡れたせいで体が冷えたのかもしれない。

　お風呂が沸く音が聞こえると、急いで浴室に向かった。

　温かいお湯に浸かると、冷えた体がじんわりと温まり、心も少しずつほぐれていくのを感じた。

　お風呂から上がると、ふわふわのタオルで体を拭き、パジャマに着替えた。

　リビングに戻ると、私はお気に入りのハーブティーを淹れることにした。

　湯気が立ち上るカップを手に取り、寝室へ向かい、ベッドに腰を下ろす。

　窓の外ではまだ雨が降り続いている。

「今日は色々あったなぁ…」
　静かに呟いた。

　社長の優しさや、雨に打たれた瞬間のことを思い出しながら、心の中で一つ一つ整理していく。

　ハーブティーを飲みながら、次第にウトウトしてきた。

　カップをテーブルに置き、ベッドに寝転んだ。

　布団に包まれながら、今日の出来事を思い返し、少しずつ眠りに落ちていった。


　翌朝、目覚まし時計の音で目を覚ました。

　体を起こすと、喉に違和感を感じた。

「風邪ひいちゃったかな…」

　と心配しながらも、まだ軽い症状だと思い、会社に行く準備を始めた。

　まずは洗面所で顔を洗い、冷たい水が少しだけ目を覚まさせてくれた。

　鏡に映る自分の顔を見ると、顔が少し赤い気がした。

　次に、キッチンで簡単な朝食を用意した。

　けど、食欲があまりなく、パンを一口だけかじり、牛乳を飲むとお腹がいっぱいになった。

　朝食を終えた後、クローゼットから服を選び、身支度を整えた。

　髪を整え、軽くメイクをして、念の為にマスクをして玄関へ向かった。



　すっかり雨は止んでいた。