この見合いなんとしてでも阻止します

hayama_25

文字の大きさ
上 下
21 / 78

第21話

しおりを挟む

蓮との電話を切った後、私は深いため息をついた。

心の中で渦巻く不安を抑えながら、部屋の窓から外を見つめた。

まだ昼過ぎで、太陽が高く輝いている。

「どうしてこんなことになっちゃったんだろう…」

自問自答しながら、私はベッドに腰を下ろした。

かなり疑われてる。

社長との関係が蓮にバレるのは時間の問題かもしれない。だけど、今はまだ話せない。

家にいると息が詰まるから、気分転換に外に出ることにした。近くのカフェでコーヒーを飲みながら、頭を整理しようと思った。

カフェに着くと、静かな雰囲気が心を落ち着かせてくれた。

「コーヒーお願いします」

注文を済ませて席に着くと、スマホを取り出してメッセージを確認した。

蓮からのメッセージが一件届いていた。

"もうこれ以上は何も聞かないから"

その言葉に、ドキッとしつつ、少しだけ心が軽くなった。

やっぱり蓮は、何かに気づいている。

私が本当のことを言うのを渋っているのを見て、気を使ってくれているのかもしれない。

蓮はいつも私のことを気にかけてくれている。だからこそ、嘘をつくのが辛い。

私は蓮に返信をした。


カフェでしばらく過ごした後、近くの公園に向かった。

ここは、昔から好きな空間だった。幼い頃から嫌なことがあったら良くここに来ていた。

公園のベンチに座り、周りの景色を眺めながら考えた。社長のこと、蓮のこと、そして自分の気持ち。

「どうすればいいんだろう…」

答えが出ないまま、

公園の木々が風に揺れる音を聞きながら、私はしばらくの間、ぼんやりと過ごした。


その夜、私は眠れずにベッドの中で悶々としていた。社長のことを考えると、胸が締め付けられるような感覚がする。

社長の優しさに触れるたびに、心が揺れ動くのを感じていた。

あと一ヶ月…

あと一ヶ月…

気を紛らわすために明日の予定を考えた。

予定…は特にない。

何かをしていないと落ち着かない性格だけど、今は自由な時間があることに、少しだけほっとしていた


どうしたら社長のことを忘れられるだろうか…
そんなこと、私に出来るのだろうか…

そう思いながら眠りについた。


翌朝、私は早くに目が覚めた。

日曜日の静かな朝、窓から差し込む柔らかな光が部屋を照らしていた。

今日は何をしようかと考えながら、ベッドから起き上がった。

どこにも行かず、家でゆっくり過ごすことにした。

朝から掃除をしたり、テレビを見たりして、気分転換を図った。

少しの間だけ、何も考えずにいられた。



そして、電話がかかってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。 同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。 見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、 「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」 と言われてしまう。

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います

菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。 その隣には見知らぬ女性が立っていた。 二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。 両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。 メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。 数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。 彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。 ※ハッピーエンド&純愛 他サイトでも掲載しております。

なにをおっしゃいますやら

基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。 エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。 微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。 エブリシアは苦笑した。 今日までなのだから。 今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

処理中です...