高嶺の花には彼氏ができない！？

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絆の花

第49話：悪夢再び

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　歩乃華の身に何かあったらどうしよう。

　歩乃華が怪我をしていたら、それは私のせいだ、

　頭が真っ白になった。

　心臓が早鐘のように打ち、息が詰まるような感覚に襲われる。

「…私の近くにいない方がいいんだ」

　声が震え、涙がこぼれそうになるのを必死に堪える。

「美月…？」

　蒼大の声が遠く感じる。

　彼の心配そうな顔がぼやけて見える。

「私のせいだ。私のせいでみんな、みんな不幸になるんだ、」

　言葉が喉に詰まり、涙が頬を伝う。

「何言ってるの、そんなわけないでしょ」

　蒼大が手を伸ばしてくるが、私は一歩、後ずさりをした。

　胸の奥が締め付けられるような感覚に襲われ、涙が止まらない。

「美月、落ち着いて。もし歩乃華ちゃんに何かあっても、それは美月のせいなんかじゃないよ」

　蒼大の声が優しく響くが、私の心には届かない。

「でも、」

　声が震える。

　自分の無力さが痛いほど感じられる。

「俺の目を見て」

　蒼大の言葉に促されるけど、私は彼の目を見つめることができない。

「美月！」
「っ、」

　蒼大の声が再び響き、私はハッとする。

「いい？こういう時だからこそ、美月がしっかりしないと」

　こういう時だから…

「分かった」

「行こう」

　そう言い、私の手を引いた。

「…うん」

　彼の手を握りしめながら、教室を飛び出した。

　廊下を走りながら、私は心臓が激しく鼓動するのを感じた。

　歩乃華に何があったのか、頭の中で様々な考えが巡った。

　蒼大の手の温かさが、少しだけ心を落ち着かせてくれた。

　歩乃華、無事でいて…

　私は心の中で祈りながら、蒼大と一緒に歩乃華の元へと急いだ。

　廊下に出て少し走った先に、人だかりができているのが見えた。

　心臓がドキドキと高鳴り、何か悪いことが起きているのではないかという不安が胸を締め付けた。

　近づくと、歩乃華とクラスメートの一人が髪の毛を掴み合っているのが見えた。

　二人の顔には怒りと苦痛が浮かんでいた。

「歩乃華…！やめて！」

　私は叫びながら二人の間に割って入った。

　蒼大もすぐに駆け寄り、二人を引き離そうとした。

「早く手を離して！」

　今度はどっちが先に手を離すかでも揉め始めたけど、

　蒼大が両者の腕を引き剥がしたことで収まった。

　歩乃華がこんな喧嘩をするなんてめずらしい。

「歩乃華、何があったのか話してくれない？」

　私は彼女の肩に手を置き、落ち着かせようとした。

　歩乃華の息は荒く、肩が上下していた。
　それだけでなく、目には涙が浮かんでいた。

「こいつが先に髪の毛を引っ張ってきたのよ！」

　クラスメートが怒りに満ちた声で言い放ち、歩乃華を指さした。

　彼女の顔には憤りが浮かんでいた。

「本当なの、歩乃華？」

　私は歩乃華の目を見つめながら尋ねた。

　歩乃華は唇を噛みしめ、何も言わなかった。

　彼女の目には、何かを言いたいけれど言えない葛藤が見えた。

「どうして、」

　何の理由もなく、暴力を振るうはずがない。
　そんな子じゃない。

　きっと何か理由があるはず。
　それなのに、どうしてさっきから何も言わないの。

　すると、一人の生徒が口を開いた。

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