高嶺の花には彼氏ができない!?

hayama_25

文字の大きさ
上 下
14 / 56
ひまわりの咲く頃に

第13話:揺れる心の花

しおりを挟む
 私たちの間に割り込むようにして、入ってきた。

 「なんの話しをしてたの?」

 もしかしたら、私と同じ気持ちかもしれない。

 そう思ったのに、お兄ちゃんが来たから最後まで聞けなかったんだよ。とは言えない。

 ムカつくから教えてあげない。

 「…お兄ちゃんには言わない」
 「えぇ、何それ~」

 「花の話をしてただけですよ。ね、美月」

 お兄ちゃんには知られたくないという私の心情を読み取ってくれたのか、その事には触れないでくれた。

 確かに、お花の話をしていたのは事実だから。

「そうそう、」

 お兄ちゃんは少し疑わしげに私たちを見たけど、やがて肩をすくめた。

 「まぁ、いいけど。花に水やりしよっか」

「うん、そうしよう」

 と私は答えた。

 お兄ちゃんが庭に向かうと、私と彼は少しだけ目を合わせた。

 彼の目には、何か言いたげな光が宿っていたけれど、言葉にはならなかった。

「美月、ちょっと手伝ってくれる?」

 お兄ちゃんの声が庭から聞こえてきた。

「あ、うん。今行く」

 そう答えながら、私は彼に小さく微笑んだ。

「蒼大も行こ」

 そう言い、庭に向かって歩き出した。

 お兄ちゃんと一緒に花に水をやりながら、心の中では彼との会話の続きを楽しみにしていた。

 何か大切なことが、まだ言葉になっていない気がしてならなかった。

 庭の花々が輝く中で、私たちの心も少しずつ開いていくような気がした。

「花って何の話?」

 お兄ちゃんが水やりをしながら尋ねてきた。

「え?」

「いや、さっき花の話してたって言ってたから」

「あ、ああ。昨日楽しかったねって」

「それだけ?」
「ん?」

「あと、ひまわり。昨日のお礼してた。それだけ」

「…じゃあ告白された?」

 お兄ちゃんの言葉に、私は一瞬ドキッとした。

「え、なんで…」
 どう答えたらいいのか分からず、言葉に詰まってしまった。

 どうしてバレて…
 もしかして、花言葉、知ってたの…?

「美月、顔が赤いよ」
 お兄ちゃんがからかうように笑った。

「そ、そんなことないよ!」

 慌てて否定したけど、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

「まあ、仲良いのが一番だからね」
 お兄ちゃんはそう言って、再び水やりに集中した。

 意外だ…
 もっと問い詰められるかと思ってた。

 その時、蒼大が庭にやってきた。
「美月、ホース取って」

「あ、うん」

 私は蒼大にホースを渡し、一緒に花に水をやり始めた。

「さっきの続き、話したいな」
 蒼大が小声で囁いた。

「うん、私も」
 私は彼に微笑み返しながら答えた。

「じゃあ、また後でまた話そうね」
 蒼大の言葉に、私は小さく頷いた。

 お兄ちゃんがいる前では、これ以上話を続けるのは難しい。

 でも、心の中では蒼大の言葉の続きを楽しみにしていた。

「今日はこれぐらいにしよっか」
 お兄ちゃんが満足そうに言った。

「うん、そうだね」
 私はそう答えながら、蒼大と目を合わせた。

 その後、私たちは庭の手入れを終え、教室に向かった。

 蒼大と二人きりになれる時間が待ち遠しかった。

 彼が何を言おうとしていたのか、早く知りたい。


 そして、私の気持ちも少しずつ伝えていけたらいいなと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の低田悠真のクラスには『高嶺の花』と呼ばれるほどの人気がある高嶺結衣という女子生徒がいる。容姿端麗、頭脳明晰、品行方正な高嶺さんは男女問わずに告白されているが全て振っていた。彼女には好きな人がいるらしい。  ゴールデンウィーク明け。放課後にハンカチを落としたことに気付いた悠真は教室に戻ると、自分のハンカチの匂いを嗅いで悶える高嶺さんを見つける。その場で、悠真は高嶺さんに好きだと告白されるが、付き合いたいと思うほど好きではないという理由で振る。  しかし、高嶺さんも諦めない。悠真に恋人も好きな人もいないと知り、 「絶対、私に惚れさせてみせるからね!」  と高らかに宣言したのだ。この告白をきっかけに、悠真は高嶺さんと友達になり、高校生活が変化し始めていく。  大好きなおかずを作ってきてくれたり、バイト先に来てくれたり、放課後デートをしたり、朝起きたら笑顔で見つめられていたり。高嶺の花の高嶺さんとの甘くてドキドキな青春学園ラブコメディ!  ※2学期編3が完結しました!(2024.11.13)  ※お気に入り登録や感想、いいねなどお待ちしております。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

愛すべき『蟲』と迷宮での日常

熟練紳士
ファンタジー
 生まれ落ちた世界は、剣と魔法のファンタジー溢れる世界。だが、現実は非情で夢や希望など存在しないシビアな世界だった。そんな世界で第二の人生を楽しむ転生者レイアは、長い年月をかけて超一流の冒険者にまで上り詰める事に成功した。  冒険者として成功した影には、レイアの扱う魔法が大きく関係している。成功の秘訣は、世界でも4つしか確認されていない特別な属性の1つである『蟲』と冒険者である紳士淑女達との絆。そんな一流の紳士に仲間入りを果たしたレイアが迷宮と呼ばれるモンスターの巣窟で過ごす物語。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

処理中です...