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第二章:人の優しさには縁がない
閑話 学生時分
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ゴッホの特殊能力である『影潜み』は、魔法能力ではない。『御影族』のみが使用す出来る潜在能力――特殊技だ。
祖国――サロジュリア帝国――では、一般魔法が使える魔法人種と、特殊能力を使える亜人種に分かれている。
この二種類には大きな格差があった。
医療・教育・住処・参政権……これらを保障されているのは魔法人種のみ。亜人種は基本的に非集落部族とカテゴリーされ、劣等種族として差別されていた。
ゴッホも例外ではなく特待として修学院に入ったものの、辛い毎日に耐えなければならなかった。教師は助けないおろか、結託して虐げていた。亜人種への差別は妥当だと考えていたからだ。
私は駄目な事だと思いながらも、巻き込まれないように身を潜め、見て見ぬふりをして暮しでいた。我ながら最低野郎だと思う。
そんな中で唯一ゴッホと対等に過ごしていたのがモーリスだった。田舎生まれの彼女は、亜人種への偏見と教育を受けないまま、腕っぷしの強さを買われて入学していた。
国は都市と田舎ではかなりの格差がある。都市では日夜文明が発達している最中、田舎では教育や医療の出遅れからか迷信や非合法教育が問題となっている。
そんな彼女だからこそ、ゴッホに対しても分け隔てなく接することができたのであろう。
同じ街道から外れたアウトロー同士。
それでも掛かって来る者はモーリスの腕の前に倒れた。二人は唯一無二の親友だった。
その関係にヒビを入れたのは、私だ。
祖国――サロジュリア帝国――では、一般魔法が使える魔法人種と、特殊能力を使える亜人種に分かれている。
この二種類には大きな格差があった。
医療・教育・住処・参政権……これらを保障されているのは魔法人種のみ。亜人種は基本的に非集落部族とカテゴリーされ、劣等種族として差別されていた。
ゴッホも例外ではなく特待として修学院に入ったものの、辛い毎日に耐えなければならなかった。教師は助けないおろか、結託して虐げていた。亜人種への差別は妥当だと考えていたからだ。
私は駄目な事だと思いながらも、巻き込まれないように身を潜め、見て見ぬふりをして暮しでいた。我ながら最低野郎だと思う。
そんな中で唯一ゴッホと対等に過ごしていたのがモーリスだった。田舎生まれの彼女は、亜人種への偏見と教育を受けないまま、腕っぷしの強さを買われて入学していた。
国は都市と田舎ではかなりの格差がある。都市では日夜文明が発達している最中、田舎では教育や医療の出遅れからか迷信や非合法教育が問題となっている。
そんな彼女だからこそ、ゴッホに対しても分け隔てなく接することができたのであろう。
同じ街道から外れたアウトロー同士。
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その関係にヒビを入れたのは、私だ。
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