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第二章:人の優しさには縁がない
自分の居場所
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20回以上寝たことを覚えているから、あれから一ヶ月は経ったんだと思う。大きな丸太を使った家は壁と窓と屋根だけがある一階建ての2ルームで簡単な造り。防壁用に胸くらいの高さに作られた岩壁があるくらい、ここで私とモーリスとゴッホは共同で生活している。
今はゴッホもモーリスもいない。ゴッホは街に行った翌日に、離れの学校で教鞭をとることになり、今日は仕事で学校にいるらしい。まぁ地頭が良いし教養も高いから相性抜群の仕事だと思う。
モーリスは街の困りごとを魔法と馬力で解決する肉体仕事を主に行っており、その報酬で食材を持ってくるため今や私達の稼ぎ頭。
では私の仕事は? 無い、何にもしていない。ただ家の中でボーッとして、時より聞こえる声や音にビクビク震えるだけ。二人は何にも言わないけど肩身は狭い。だってただの穀潰しだから。
一度だけ、私も何かやろうと思い尋ねてみたが
「大丈夫です。旦那様は家にいてくれるだけでいいですよ」
「特にやることないので寝といてください。街に出向くといっても先輩、なんだか顔色悪そうなので無理したら毒ですから」
二人とも拒否に近いようなトーンだったので、そこからはあまり出ようと思えなくなった。何度か出てみようとチャレンジしてみたが、窓や玄関から見える人影に怯えてしまいほとんど外に出れていないのが情けない現状。
今日もまた二人が出計らった日時に起きて、夕日が落ちてくるまで不安と恐怖に押しつぶされる1日を過ごす。
「ただいま戻りました!!!」
モーリスの疲れ知らずな元気一杯の声が響き渡る。この世界は夕日が沈む前に労働が終わるらしいが、穀潰しの私にはあまり意味のない学び。
「起きておられたんですね。少々お待ちください、夕食の支度に取り組みますので」
帰ってくるとゴッホが晩御飯を振る舞ってくれる。彼女は魔法と武術に加えて生活力も抜群で本当に非の打ち所がない。
「じゃあ今日こそウチも――」
「ありがた迷惑ですので先輩の対応をしていただけると助かります」
モーリスは正直食べれたものじゃない。一度だけ食事を振る舞われたがあれは人を殺すための方法だ。しかも私だけ『愛情たっぷり』の名目からゴッホの2倍食べたため、いろいろな意味で苦しかった。
「んだよケチ臭ぇな……まぁいいか、旦那様~!!!」
「ちょ、ちょっと! まずお風呂入ったほうが、汚れ落としたほうがいいよまず」
「えぇ~そんなもん別にいいじゃないですか。今日の分は明日の分と一緒に洗いますよ」
同居することになって分かったことだが、モーリスはかなりの風呂嫌いだった。いつも『明日に入る』とか言いながら実際は1週間に一度くらい、本人は気にする様子もないため苦痛は私が請け負っているけど、援助してもらっている身文句は言えない。
しばらくするとテーブルの上に料理が運ばれていた。今日の晩御飯は『ハンバーグ』と言うものらしい。祖国で食べていた料理はここではなかったので類似料理で我慢している。この料理はナマズの内蔵をそのまま頂く料理と似ているが、こっちは焼きものだった。
「久しぶりに野菜以外の生モノとか喰ってみてぇなぁ~」
分かるよその気持ち、祖国にも焼き物料理はあるけど殆どが食べれないものを調理したもので大概は生だから、パサパサした食感がまだ慣れない。
「この世界では『生で食べる』という行為に慣れ親しんでいないのでしょう、無いものを憂いたって仕方がありません、あるものに感謝を込めていただきましょう」
「……母ちゃん」
「氷詰めにされたいですか」
言い争いながら食事を楽しむ二人を横目に黙々と食べた私は直ぐにベッドに入った。
なんだか時間が経てば経つほど疎外感が強くなってくる。少しでもいい、早く変わりたい。
今はゴッホもモーリスもいない。ゴッホは街に行った翌日に、離れの学校で教鞭をとることになり、今日は仕事で学校にいるらしい。まぁ地頭が良いし教養も高いから相性抜群の仕事だと思う。
モーリスは街の困りごとを魔法と馬力で解決する肉体仕事を主に行っており、その報酬で食材を持ってくるため今や私達の稼ぎ頭。
では私の仕事は? 無い、何にもしていない。ただ家の中でボーッとして、時より聞こえる声や音にビクビク震えるだけ。二人は何にも言わないけど肩身は狭い。だってただの穀潰しだから。
一度だけ、私も何かやろうと思い尋ねてみたが
「大丈夫です。旦那様は家にいてくれるだけでいいですよ」
「特にやることないので寝といてください。街に出向くといっても先輩、なんだか顔色悪そうなので無理したら毒ですから」
二人とも拒否に近いようなトーンだったので、そこからはあまり出ようと思えなくなった。何度か出てみようとチャレンジしてみたが、窓や玄関から見える人影に怯えてしまいほとんど外に出れていないのが情けない現状。
今日もまた二人が出計らった日時に起きて、夕日が落ちてくるまで不安と恐怖に押しつぶされる1日を過ごす。
「ただいま戻りました!!!」
モーリスの疲れ知らずな元気一杯の声が響き渡る。この世界は夕日が沈む前に労働が終わるらしいが、穀潰しの私にはあまり意味のない学び。
「起きておられたんですね。少々お待ちください、夕食の支度に取り組みますので」
帰ってくるとゴッホが晩御飯を振る舞ってくれる。彼女は魔法と武術に加えて生活力も抜群で本当に非の打ち所がない。
「じゃあ今日こそウチも――」
「ありがた迷惑ですので先輩の対応をしていただけると助かります」
モーリスは正直食べれたものじゃない。一度だけ食事を振る舞われたがあれは人を殺すための方法だ。しかも私だけ『愛情たっぷり』の名目からゴッホの2倍食べたため、いろいろな意味で苦しかった。
「んだよケチ臭ぇな……まぁいいか、旦那様~!!!」
「ちょ、ちょっと! まずお風呂入ったほうが、汚れ落としたほうがいいよまず」
「えぇ~そんなもん別にいいじゃないですか。今日の分は明日の分と一緒に洗いますよ」
同居することになって分かったことだが、モーリスはかなりの風呂嫌いだった。いつも『明日に入る』とか言いながら実際は1週間に一度くらい、本人は気にする様子もないため苦痛は私が請け負っているけど、援助してもらっている身文句は言えない。
しばらくするとテーブルの上に料理が運ばれていた。今日の晩御飯は『ハンバーグ』と言うものらしい。祖国で食べていた料理はここではなかったので類似料理で我慢している。この料理はナマズの内蔵をそのまま頂く料理と似ているが、こっちは焼きものだった。
「久しぶりに野菜以外の生モノとか喰ってみてぇなぁ~」
分かるよその気持ち、祖国にも焼き物料理はあるけど殆どが食べれないものを調理したもので大概は生だから、パサパサした食感がまだ慣れない。
「この世界では『生で食べる』という行為に慣れ親しんでいないのでしょう、無いものを憂いたって仕方がありません、あるものに感謝を込めていただきましょう」
「……母ちゃん」
「氷詰めにされたいですか」
言い争いながら食事を楽しむ二人を横目に黙々と食べた私は直ぐにベッドに入った。
なんだか時間が経てば経つほど疎外感が強くなってくる。少しでもいい、早く変わりたい。
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