【完結】出来損ないのオメガですが王族アルファに寵愛されてます~二度目の恋は天使と踊る~

高井うしお

文字の大きさ
上 下
79 / 82

24話 特別な夜★

しおりを挟む
「は……来た」

 それから数日後にランの発情期が来た。オメガになってから、こんなに待ち遠しい発情ヒートは初めてだ。
 ロランドも発情ヒートに当てられないように別室でルゥの面倒を見て貰っている。

「レクス……」

 ランはシャツを一枚羽織っただけの姿で、レクスの部屋のドアを叩いた。

「ラン……」
発情ヒートっ、来たから……」
「うん」

 レクスはもどかしげにしているランを力強く引き寄せ、ベッドまで導いた。
 上に多い被さり、じっと発情しているランを見つめる。ランはレクスの髪が首元にあたるだけで身もだえている。

「あっ……」
「特別な夜にしよう、ラン」

 レクスはそう言ってランに口づけた。柔らかいランの唇を、レクスの舌が割って入っていく。
 真珠のような歯列をなぞり、たどり着いたランの舌先をつつくようにして、彼の舌が応じてくれるのを待った。

「ん……ふ……ふぁ」

 絡みつく二人の舌が、くちゅくちゅと音を立てる。飲み込みきれないどちらのものともわからない唾液がランの口の端からこぼれた。

「んう……」

 息も止まりそうな濃い口づけの後に、名残惜しげな銀の橋が渡った。

「はぁ……レクス……」

 ぞくっとした感覚の後に、ランのフェロモンが発せられた。そのくらくらする甘い香りを吸い込んで、レクスの本能が頭をもたげる。

「ラン、見せて……」
「ん……」

 レクスの命じる声に、ランは頷いてシャツのボタンを外した。レクスはその布を、大事なプレゼントを開くようにはぎ取る。

「綺麗だよ。ラン」

 殴られた痕もすっかり良くなった。真っ白なランの胸の突起にレクスは舌を這わす。

「ここ好きだろう、ラン」
「うん……好きぃ……」
「手、繋ごうか」
「繋ぐ……」

 ぼうっとした顔で、ランはまるで幼子のようにレクスに身を任す。
 その様子が愛しくて可愛くて、でも獣のように奪いたい欲望がレクスの仲に渦巻く。

「あったかい」

 レクスの大きな、少しかさついた手の感触にランはほっとする。
 それもつかの間、レクスが突起を弄ぶ刺激にランは身じろぎした。

「んっ……んっあ……」

 レクスはそのままランの全身をくまなく舐め回すようにキスをした。

「ああ……レクス……もっと、もっと」

 そのキスの雨にランの頭の中はすっかり蕩けてしまう。レクスを欲しい気持ちが止まらない。
 でも今日はそれでいいと思った。レクスに全てを見せて、全部任せて。だって今夜は特別な夜だから。

「あうっ……」

 ふわふわとした快感に身を任せていたランは、唐突に下肢にぬめっとした温かい感覚を覚えて呻いた。
 レクスがランの花茎を飲み込んで、その舌でランの官能を昂ぶらせようと蠢いた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

運命の息吹

梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。 美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。 兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。 ルシアの運命のアルファとは……。 西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか? お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...