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「ランさん……ランさん!」
「うわっ」
ぼんやりと庭に立っていたランは突然ロランドに後ろから話しかけられて飛び上がりそうになった。
「どうしたんです、ぼーっとして。こんなところに突っ立っていたら今度こそ風邪を引きますよ」
「ああ、すみません」
ランはロランドにそう言われて部屋の中に入った。
「ちょっと庭の落ち葉が気になって」
「そんなのはうんと元気な時にやればいいんです。今、温かいお茶を持って来ますから」
ランは上着を脱いで、しまうと部屋の小さなソファに腰掛けた。
「はい、お茶です。これを飲んだらベッドに行ってください」
「ええ……」
「でないとランさんはじっとしてないでしょう」
ランはロランドにそう言われてベッドに入らされた。
「大人しく本でも読んでいてください」
「はぁい」
ランはこれ以上うるさく言われないように返事をした。
「ちぇ……レクスもロランドさんも子供あつかいして」
ブツブツ言いながらランは本を広げ、大人しくしていることにした。
「調子はどうだ」
「なんともないよ」
外出から帰ってきたレクスはさっそくランの部屋に様子を見にきた。
「そうか? 顔が赤い気がする」
レクスはランの前髪をかき分けると、自分の額とランの額とをくっつけた。
「ちょっと!」
まるでキスをするかのような距離に、ランの声はうわずった。
「気のせいか」
「大丈夫だって行ってるのに」
「昔はこうしてくれたじゃないか」
「熱を出していたのはレクスだけどね」
「ああ」
ちょっと無理をするとすぐに熱をだす子供だったレクスの側で、ランはそうすれば熱がさがると思い込んで何度も額をくっつけたのだった。
「そうしたらレクスの熱がオレに半分移るんだって勘違いしてたんだよ」
「そうだったのか」
レクスはそれを聞いてくすっと笑った。
「ありがとう」
「どういたしまして! 明日になったらちゃんと仕事に戻るから」
「うん、早く元気になってくれ」
レクスの手が、ランの髪をクシャクシャとかき回した。
「大丈夫だよ」
ランはそう答えた。なんにせよ、レクスにもロランドにも心配をかけた。
早く体調を戻していつもの日常に戻ろう。ランはそう思った。
だが……その日からランの熱はまた上がり下がりを繰り返すようになったのだった。
「はぁ……はぁ……」
体が熱い。熱を出してもう三日。医者は熱以外は特に症状はないと言ったが、ロランドはレクスにランの部屋に近づかないようにと言い渡した。
「……ぷは」
朦朧とした意識の中、ランは身を起こして水差しからコップに水を注いで飲み干した。
「オレ、どうしちゃったんだろう」
ランはさすがに弱気になってきた。
「医者はなんともないって言うけれど……」
その医者にも言ってないことがひとつある。ランの性別のことだ。
「まさか、な」
ランは首をふった。いままでだってこんなことは無かった。きっと何かの病気なのだ。
「うつるような病気じゃないといいんだけど」
それこそ、レクスや王城の人たちに迷惑をかけてしまう。ランはふうと重たいため息を吐いて眠りについた。
「うわっ」
ぼんやりと庭に立っていたランは突然ロランドに後ろから話しかけられて飛び上がりそうになった。
「どうしたんです、ぼーっとして。こんなところに突っ立っていたら今度こそ風邪を引きますよ」
「ああ、すみません」
ランはロランドにそう言われて部屋の中に入った。
「ちょっと庭の落ち葉が気になって」
「そんなのはうんと元気な時にやればいいんです。今、温かいお茶を持って来ますから」
ランは上着を脱いで、しまうと部屋の小さなソファに腰掛けた。
「はい、お茶です。これを飲んだらベッドに行ってください」
「ええ……」
「でないとランさんはじっとしてないでしょう」
ランはロランドにそう言われてベッドに入らされた。
「大人しく本でも読んでいてください」
「はぁい」
ランはこれ以上うるさく言われないように返事をした。
「ちぇ……レクスもロランドさんも子供あつかいして」
ブツブツ言いながらランは本を広げ、大人しくしていることにした。
「調子はどうだ」
「なんともないよ」
外出から帰ってきたレクスはさっそくランの部屋に様子を見にきた。
「そうか? 顔が赤い気がする」
レクスはランの前髪をかき分けると、自分の額とランの額とをくっつけた。
「ちょっと!」
まるでキスをするかのような距離に、ランの声はうわずった。
「気のせいか」
「大丈夫だって行ってるのに」
「昔はこうしてくれたじゃないか」
「熱を出していたのはレクスだけどね」
「ああ」
ちょっと無理をするとすぐに熱をだす子供だったレクスの側で、ランはそうすれば熱がさがると思い込んで何度も額をくっつけたのだった。
「そうしたらレクスの熱がオレに半分移るんだって勘違いしてたんだよ」
「そうだったのか」
レクスはそれを聞いてくすっと笑った。
「ありがとう」
「どういたしまして! 明日になったらちゃんと仕事に戻るから」
「うん、早く元気になってくれ」
レクスの手が、ランの髪をクシャクシャとかき回した。
「大丈夫だよ」
ランはそう答えた。なんにせよ、レクスにもロランドにも心配をかけた。
早く体調を戻していつもの日常に戻ろう。ランはそう思った。
だが……その日からランの熱はまた上がり下がりを繰り返すようになったのだった。
「はぁ……はぁ……」
体が熱い。熱を出してもう三日。医者は熱以外は特に症状はないと言ったが、ロランドはレクスにランの部屋に近づかないようにと言い渡した。
「……ぷは」
朦朧とした意識の中、ランは身を起こして水差しからコップに水を注いで飲み干した。
「オレ、どうしちゃったんだろう」
ランはさすがに弱気になってきた。
「医者はなんともないって言うけれど……」
その医者にも言ってないことがひとつある。ランの性別のことだ。
「まさか、な」
ランは首をふった。いままでだってこんなことは無かった。きっと何かの病気なのだ。
「うつるような病気じゃないといいんだけど」
それこそ、レクスや王城の人たちに迷惑をかけてしまう。ランはふうと重たいため息を吐いて眠りについた。
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