【完結】出来損ないのオメガですが王族アルファに寵愛されてます~二度目の恋は天使と踊る~

高井うしお

文字の大きさ
上 下
13 / 82

-4

しおりを挟む
「レクス、風呂あがったよ」

 食事を終えて、レクスが風呂に入った後ランも体を流しに行った。ほかほかに温まった体にガウンを着込んでランが居間に行くと、レクスは本を読んでいた。

「何読んでるの」
「明日の予習に、建築の本を」
「はー……真面目だなぁ」

 よく見ると居間には沢山の本が並んでいる。

「すごい本がいっぱいだね」
「ここにあるのは一部だ。別に図書室がある」
「へえ」
「ランも好きに読んでいいよ」
「うん……」

 ランはちょっと尻込みしながら並んでいる本を眺めた。難解そうな専門書だけでなくて小説なんかもあるようだ。ランはそれを一冊借りることにした。

「これ借りる」
「ああ、それ面白かったよ」
「ほんと?」

 そう言いながら、ソファにクッションを重ねてランは本を読み出した。

「ねぇ」
「何? なんかわかんないとこあった?」
「そうじゃなくて……昔もこんなことよくしてたね」
「ああ……そうだな」

 レクスが小さい頃はすぐ体調を崩すからあまり外で遊べなかったので、二人で本を読んだりしていた。

「ちゃんと覚えてるよ」

 レクスはそう言って、本を閉じた。

「そろそろ寝る」
「そうだね。じゃまた明日」
「……ああ」

 こうしてバタバタしたランの一日は終わった。



 翌日、ランは早くに目が覚めた。

「あー、ねむ……」

 寝ぼけ眼でベッドから起き上がる。

「そっか……ここお城かぁ……」

 どうりでドブ臭い匂いもしない訳である。ランは顔でも洗おうと部屋を出た。

「あ、ラン様……いや、ランさん。もうお目覚めでしたか」
「ロランドさん」

 部屋を出た途端にランはロランドにハチ会った。

「洗顔の準備をします」
「いいです。自分のことは自分でやりますので……!」
「そうですか?」

 ランは慌ててロランドを止めて顔を洗った。

「お着替えをご用意しました。昨日はすみません、てっきりレクス様の着替えだと思ったのでサイズが大きかったでしょう」

 顔を拭きながらランが洗面所から出ると、ロランドが着替えを持って待機していた。

「すみません……」
「いえ」

 シンプルな立ち襟のシャツに青いズボン。それをランは受け取ると部屋にいそいそと戻った。

「あせったぁ」

 ランの家は貴族といってもハウスキーパーが一人居るだけで、自分のことは大概自分でやっていた。だからこういうのはどうも慣れない。

「僕、ここでやっていけるのかな」

 あまりの生活様式の違いに、ランは少し先行きが不安になった。
しおりを挟む
第8回BL小説大賞の投票がはじまりました。清き一票をお待ちしております。
感想 9

あなたにおすすめの小説

みにくいオメガの子

みこと
BL
オメガの由紀は高校を卒業するまでに番を見つけたい。しかし、他のオメガと違い全くモテない。お見合いも紹介もいつも散々な結果に終わっていた。 このまま誰にも必要とされずに一生を終えるかと不安になる。そんな由紀に驚きの事実が判明して…。 またもやオメガバースです。オメガバースの説明はありません。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

厘/りん
BL
 ナルン王国の下町に暮らす ルカ。 この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。 ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。 国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。 ☆英雄騎士 現在28歳    ルカ 現在18歳 ☆第11回BL小説大賞 21位   皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。    

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

愛しい番の囲い方。 半端者の僕は最強の竜に愛されているようです

飛鷹
BL
獣人の国にあって、神から見放された存在とされている『後天性獣人』のティア。 獣人の特徴を全く持たずに生まれた故に獣人とは認められず、獣人と認められないから獣神を奉る神殿には入れない。神殿に入れないから婚姻も結べない『半端者』のティアだが、孤児院で共に過ごした幼馴染のアデルに大切に守られて成長していった。 しかし長く共にあったアデルは、『半端者』のティアではなく、別の人を伴侶に選んでしまう。 傷付きながらも「当然の結果」と全てを受け入れ、アデルと別れて獣人の国から出ていく事にしたティア。 蔑まれ冷遇される環境で生きるしかなかったティアが、番いと出会い獣人の姿を取り戻し幸せになるお話です。

処理中です...