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【第一話】失態
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「………クソっ。」
思わず声が漏れる。自分の貧乏揺りが止まらない。
それほどに俺は焦っているのだ。ここは都市部中央のビルの中で、周囲には人間がうじゃうじゃしている。とてもこの世の光景とは思えない。見ているだけで狂っちまいそうだ…。
それにしても、奴はまだなのか?そろそろ約束の時間だ。何が嫌で人間たちの中に紛れていなければならないのだろうか。今は…、ええと…。改めて考えると俺は時間なんてものは読めないんだった。テヘっ!
とにかく日が沈んだ頃、奴は必ずここに現れる。それを待つだけだ。あと少しだ。
ああ、人間臭い。このままじゃ人間の匂いがついて取れなくなってしまう。最悪だ。
頼む、頼むから早くきてくれ!
ベチョ
「は?」
俺の足元に、ヒヤッと冷たい感触が走る。
次の瞬間、ベタベタと不快極まりないものが込み上げてくる。
「うわーん!僕のアイス~!」
いつの間にいたのか、人間のガキが俺の前で泣き喚く。
周囲の人間が俺の方を向き、何かを囁き始めやがった。
「くっそ…、この…、ガキぃ…!」
俺はゆっくりと立ち上がる。もう限界だ、こんな所にやってくるだけでなく、こんな目に合わされるとは…。
許さん…。この俺、『怒涛のケゲス』をここまで怒らせたのはあの事案以来だ…。
いいだろう。周囲には山ほど平和ボケした人間もいることだ。身の程を教えてやる…。
俺はゆっくりとガキに手を伸ばす。さて、頭から食うか、心臓から食おうか。
伸ばした手がガキの首元を掴んだ、その時。
「ちょっとお~!!」
気づかれたか、その声がする方を向く。
「なぁ~にしてんのよぉ~!」
近づいてくるのは、おぼつかない足取りをした人間の女だった。
この女、俺に気づいているのか?
女のでかい声に、周囲の人間が注目する。
クソっ、冷静に考えれば、ここで面倒を働けば奴との取引どころか俺の存在まで危うくなってしまう…。
俺はガキの首に伸びた手を振り解く。
「なんだ?何か文句があるか?」
ここはあえて隠し通そう。なるべく穏便に済ますのだ。
「あんたぁ、この男の子に手ぇ出そうとしたでしょぉ~!」
見られたか…。しかし、俺の三日三晩の言語学習成果を舐めるなよ。
「何を言っているんだ、このガキの口元が汚れていたから拭こうとしただけだ。」
「ふーん?」
女が近づいてくる。勘弁してくれ、もう人間臭いのは懲り懲りだ…。
「…んッ?!」
俺は後方に一気に後ずさる。なんだ…?こいつの臭い…。
「何逃げてんのよ!このショタコンがあ!」
流石にまずかった。周囲の視線が完全に俺たちの方へ刺さる。
これだけ注目を集めれば、ここから穏便に済ますのは難しくなる…。
だが、あの女…、なんだ?人間の臭いはするが、何かが違う。
「手出すんならねえ、私みたいなのに出しなさいよ!」
女は真っ赤な顔で、それでいてふにゃふにゃとしている。立っているのもやっとなようだ。
肩ほどまで伸びた髪、そして黒と紺の衣服…。あれは確か『スーツ』とやらではなかったか?
こうなれば仕方がない…、馬鹿正直に訊くとしよう。
「貴様、何者だ?その臭い、ただの人間ではないな?」
そう言った途端、周囲の人間がざわつき始める。さすがの人間どもも理解はしているのだろう。
我々、『異形』の存在をな。
「何者ぉ?いいじゃない、答えてやるのが世の情け、って奴ねえ!」
俺の予想が合っているのならば、この女…。
「私の名は『九火 アカリ』。28歳独身。身長168cm、体重は…いうわけねえだろばーか!」
九火…。やはりこいつ、『異人』か…。
異人は特殊な名を持つと聞いたことがある。
さらには異人は最近、我々異形を排除するために働かされるとも聞く。
やはり、俺を殺しにきたのか。
「…んで、20歳になる前に異警官になったわけよ。それから…」
『異警官』…。それが異形を殺すもの達の名か。
だが、みすみすやられる俺でもない。
見たところ、こいつは丸腰だ。しかし異人で最も警戒すべきはその能力…。
こいつの能力を知るまで下手な真似はできん…。
「…で、なんやかんや色々合って、私は異人と人間のハーフだから能力は使えないんだけど…、って聞いてんの?!せっかくせちゅめいしてやってんのに!」
…待てよ、冷静に考えてこれはチャンスではないか?
相手は見たところ呂律も回っていないただの飲んだくれ。武器も持っているように見えない。
たとえ能力持ちでも、この状態ではまともに戦えんだろう。
ああ、何を無駄に考えていたのだこの俺ともあろう者が。目の前にいるのはただの異人。矮小で脆弱な俺の足元にも及ばない存在だ。
「クックック…。おい、異人。そろそろ無駄話は済んだか?」
「…はぁ!?今話し始めたんだけどぉ?言ってんじゃん!あの後輩、いつまで経っても何もしやしないんだから…。」
「ふん!その無駄な多弁もここまでだ!」
俺は一気に奴に駆け寄る。そして腕を前に突き出し、本来の姿を顕にする。
「まずは一匹!ここの人間全員俺の晩餐だ!無論、俺の祝杯のためのなァ!」
オレの手は徐々に鋭利な形となり、幾つかの触手へと変わった。それがあの女の喉元に迫る。ああ、久しぶりの人間だ。最後に食したのは半世紀も前か…。
「……異形を発見。対異法に基づき、即刻駆除させてもらう。」
「は?」
…カキィィン!
と言う耳を劈く音が響き、オレの触手が女の方から弾き返される。
音を聞いた周囲の人間は悲鳴を上げ、その場に伏せたり逃げ出したりしている。
何が起こったのかさっぱりだ。奴は、このオレの攻撃を…?
「…あぁ~!シュウスケ!あんたどこほっつき歩いてたのよ!」
「それはこっちのセリフですよ。張り込み中に飲酒した挙句、走り去ってったのは先輩の方ですよ。」
「何おぉ~!クソ生意気な後輩め!こちとら先輩兼彼女ぞ!もっと敬意を払え!」
「はいはい、話は後で聞きますから…。」
と半分呆れたその男はこちらを向き、オレの触手を弾いた刀を構えた。
「さて、異形。お前がここにきた理由を話してもらう。」
こいつも異警官か…。こいつは女と違って冷静だ。その姿からわかるが、そこそこのやり手だろう。
女と同じスーツとやらに身を包み、手に持つ刀とまだ腰に刺している刀、二本の刀を携えている。
「おいそれとと、オレが話すとでも?」
「話してくれると助かるのだが…。話せる異形はかなり珍しいからな。」
「ふん、生意気なガキめが。その行け好かない態度、体ごと粉微塵にしてやる!」
オレは再び、今度は両手を男の方へ伸ばす。先刻よりも多くの触手で、絶対に逃げられんように。ここで避けようものなら、女や先のガキに触手が当たる。人間はいつも、自身の持つくだらない信念から同じ人を、弱い女子供を守ろうとする。ああ、なんて愚かな存在だろうか。
「…速いな。」
オレの触手が届く寸前、奴はそう呟いた。
次の瞬間、男は右方に動き、避けの体制を取った。バカな。女とガキを見殺しにするのか?
そして、触手が突き刺さる。その衝撃がこちらへと伝わり、埃が舞う。
「…んッ!?」
オレは触手からの感覚を完全に読み取った。だが、肉を貫き潰した感覚はどこにもない。避けたのか?あの土壇場でか?では、あの女はどこに…。
「…あんたねぇ。」
一気に血の気が引く。その声はオレのすぐ後ろでしたのだ。振り返ることはできなかった。見くびっていた。ただの異人だと。いや、そもそも異人であると言う時点で攻撃に踏み込んだ自分が愚かだった。
「私埃アレルギーでくしゃみやら鼻水やら出るんだけど?どうしてくれんのかしら?」
女が手を振り翳そうとするのがわかった。それと同時に埃が晴れ、向かいの男の姿が見える。下げていたもう一方の刀が無くなっている。
「…んじゃ、あの世で反省なさい。」
…オレの最大の失態。みんな気づいているだろうか。
それは、『この事態を大きくしてしまった』ということだ。
「ザシュ」
オレの視界は二分された。
思わず声が漏れる。自分の貧乏揺りが止まらない。
それほどに俺は焦っているのだ。ここは都市部中央のビルの中で、周囲には人間がうじゃうじゃしている。とてもこの世の光景とは思えない。見ているだけで狂っちまいそうだ…。
それにしても、奴はまだなのか?そろそろ約束の時間だ。何が嫌で人間たちの中に紛れていなければならないのだろうか。今は…、ええと…。改めて考えると俺は時間なんてものは読めないんだった。テヘっ!
とにかく日が沈んだ頃、奴は必ずここに現れる。それを待つだけだ。あと少しだ。
ああ、人間臭い。このままじゃ人間の匂いがついて取れなくなってしまう。最悪だ。
頼む、頼むから早くきてくれ!
ベチョ
「は?」
俺の足元に、ヒヤッと冷たい感触が走る。
次の瞬間、ベタベタと不快極まりないものが込み上げてくる。
「うわーん!僕のアイス~!」
いつの間にいたのか、人間のガキが俺の前で泣き喚く。
周囲の人間が俺の方を向き、何かを囁き始めやがった。
「くっそ…、この…、ガキぃ…!」
俺はゆっくりと立ち上がる。もう限界だ、こんな所にやってくるだけでなく、こんな目に合わされるとは…。
許さん…。この俺、『怒涛のケゲス』をここまで怒らせたのはあの事案以来だ…。
いいだろう。周囲には山ほど平和ボケした人間もいることだ。身の程を教えてやる…。
俺はゆっくりとガキに手を伸ばす。さて、頭から食うか、心臓から食おうか。
伸ばした手がガキの首元を掴んだ、その時。
「ちょっとお~!!」
気づかれたか、その声がする方を向く。
「なぁ~にしてんのよぉ~!」
近づいてくるのは、おぼつかない足取りをした人間の女だった。
この女、俺に気づいているのか?
女のでかい声に、周囲の人間が注目する。
クソっ、冷静に考えれば、ここで面倒を働けば奴との取引どころか俺の存在まで危うくなってしまう…。
俺はガキの首に伸びた手を振り解く。
「なんだ?何か文句があるか?」
ここはあえて隠し通そう。なるべく穏便に済ますのだ。
「あんたぁ、この男の子に手ぇ出そうとしたでしょぉ~!」
見られたか…。しかし、俺の三日三晩の言語学習成果を舐めるなよ。
「何を言っているんだ、このガキの口元が汚れていたから拭こうとしただけだ。」
「ふーん?」
女が近づいてくる。勘弁してくれ、もう人間臭いのは懲り懲りだ…。
「…んッ?!」
俺は後方に一気に後ずさる。なんだ…?こいつの臭い…。
「何逃げてんのよ!このショタコンがあ!」
流石にまずかった。周囲の視線が完全に俺たちの方へ刺さる。
これだけ注目を集めれば、ここから穏便に済ますのは難しくなる…。
だが、あの女…、なんだ?人間の臭いはするが、何かが違う。
「手出すんならねえ、私みたいなのに出しなさいよ!」
女は真っ赤な顔で、それでいてふにゃふにゃとしている。立っているのもやっとなようだ。
肩ほどまで伸びた髪、そして黒と紺の衣服…。あれは確か『スーツ』とやらではなかったか?
こうなれば仕方がない…、馬鹿正直に訊くとしよう。
「貴様、何者だ?その臭い、ただの人間ではないな?」
そう言った途端、周囲の人間がざわつき始める。さすがの人間どもも理解はしているのだろう。
我々、『異形』の存在をな。
「何者ぉ?いいじゃない、答えてやるのが世の情け、って奴ねえ!」
俺の予想が合っているのならば、この女…。
「私の名は『九火 アカリ』。28歳独身。身長168cm、体重は…いうわけねえだろばーか!」
九火…。やはりこいつ、『異人』か…。
異人は特殊な名を持つと聞いたことがある。
さらには異人は最近、我々異形を排除するために働かされるとも聞く。
やはり、俺を殺しにきたのか。
「…んで、20歳になる前に異警官になったわけよ。それから…」
『異警官』…。それが異形を殺すもの達の名か。
だが、みすみすやられる俺でもない。
見たところ、こいつは丸腰だ。しかし異人で最も警戒すべきはその能力…。
こいつの能力を知るまで下手な真似はできん…。
「…で、なんやかんや色々合って、私は異人と人間のハーフだから能力は使えないんだけど…、って聞いてんの?!せっかくせちゅめいしてやってんのに!」
…待てよ、冷静に考えてこれはチャンスではないか?
相手は見たところ呂律も回っていないただの飲んだくれ。武器も持っているように見えない。
たとえ能力持ちでも、この状態ではまともに戦えんだろう。
ああ、何を無駄に考えていたのだこの俺ともあろう者が。目の前にいるのはただの異人。矮小で脆弱な俺の足元にも及ばない存在だ。
「クックック…。おい、異人。そろそろ無駄話は済んだか?」
「…はぁ!?今話し始めたんだけどぉ?言ってんじゃん!あの後輩、いつまで経っても何もしやしないんだから…。」
「ふん!その無駄な多弁もここまでだ!」
俺は一気に奴に駆け寄る。そして腕を前に突き出し、本来の姿を顕にする。
「まずは一匹!ここの人間全員俺の晩餐だ!無論、俺の祝杯のためのなァ!」
オレの手は徐々に鋭利な形となり、幾つかの触手へと変わった。それがあの女の喉元に迫る。ああ、久しぶりの人間だ。最後に食したのは半世紀も前か…。
「……異形を発見。対異法に基づき、即刻駆除させてもらう。」
「は?」
…カキィィン!
と言う耳を劈く音が響き、オレの触手が女の方から弾き返される。
音を聞いた周囲の人間は悲鳴を上げ、その場に伏せたり逃げ出したりしている。
何が起こったのかさっぱりだ。奴は、このオレの攻撃を…?
「…あぁ~!シュウスケ!あんたどこほっつき歩いてたのよ!」
「それはこっちのセリフですよ。張り込み中に飲酒した挙句、走り去ってったのは先輩の方ですよ。」
「何おぉ~!クソ生意気な後輩め!こちとら先輩兼彼女ぞ!もっと敬意を払え!」
「はいはい、話は後で聞きますから…。」
と半分呆れたその男はこちらを向き、オレの触手を弾いた刀を構えた。
「さて、異形。お前がここにきた理由を話してもらう。」
こいつも異警官か…。こいつは女と違って冷静だ。その姿からわかるが、そこそこのやり手だろう。
女と同じスーツとやらに身を包み、手に持つ刀とまだ腰に刺している刀、二本の刀を携えている。
「おいそれとと、オレが話すとでも?」
「話してくれると助かるのだが…。話せる異形はかなり珍しいからな。」
「ふん、生意気なガキめが。その行け好かない態度、体ごと粉微塵にしてやる!」
オレは再び、今度は両手を男の方へ伸ばす。先刻よりも多くの触手で、絶対に逃げられんように。ここで避けようものなら、女や先のガキに触手が当たる。人間はいつも、自身の持つくだらない信念から同じ人を、弱い女子供を守ろうとする。ああ、なんて愚かな存在だろうか。
「…速いな。」
オレの触手が届く寸前、奴はそう呟いた。
次の瞬間、男は右方に動き、避けの体制を取った。バカな。女とガキを見殺しにするのか?
そして、触手が突き刺さる。その衝撃がこちらへと伝わり、埃が舞う。
「…んッ!?」
オレは触手からの感覚を完全に読み取った。だが、肉を貫き潰した感覚はどこにもない。避けたのか?あの土壇場でか?では、あの女はどこに…。
「…あんたねぇ。」
一気に血の気が引く。その声はオレのすぐ後ろでしたのだ。振り返ることはできなかった。見くびっていた。ただの異人だと。いや、そもそも異人であると言う時点で攻撃に踏み込んだ自分が愚かだった。
「私埃アレルギーでくしゃみやら鼻水やら出るんだけど?どうしてくれんのかしら?」
女が手を振り翳そうとするのがわかった。それと同時に埃が晴れ、向かいの男の姿が見える。下げていたもう一方の刀が無くなっている。
「…んじゃ、あの世で反省なさい。」
…オレの最大の失態。みんな気づいているだろうか。
それは、『この事態を大きくしてしまった』ということだ。
「ザシュ」
オレの視界は二分された。
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