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2)慣れない旅路

何かが変わる

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 ワイバーンの血を浴びたあたしたち。

 ……何も起きない。

 背も伸びないし、ウエストもくびれない。飛べるようになったわけでもなけりゃー、魔力や体力が上がった感じもしない。
 うーん、骨折り損だったかな……そもそも、ワイバーンって、助けてよかったの? まぁあれだけ流暢に話しかけて来られて、問答無用で斬る! なんてひととはなるべくならお付き合いしたくないし、今のあたしたちには到底かなう相手ではないのだから、他に選択肢はなかったのかもしれないけど。



 その夜。
 あたしは寝付けずヒマを持て余してしまったので、なんとなく皆を誘ってカジノに行くことにした。

 ルミは眠いから、ハツネはギャンブルは嫌いだから、と断られてしまい、結局カジノにはひとりで行くことになった。

 ***

 とはいえ、あたしも全然ルールはわからない。とりあえずスロットマシーンにコインを1枚入れて……がしっ。レバーを力強く引いた。

 と。



 ダンッ! ダンッ! ダンッ!



 え?
 7が揃っちゃった……。
 もしかして、ワイバーンの血の効果って、これ?

 ジャラジャラジャラジャラ……止まらない払い出し。
 周りの客がざわざわし始めた。
 どうしよう。怖い!



 とりあえず、一人では心細いのでルミを呼びに行くことにした。払い出されている最中のコインなど、知ったこっちゃない。

 ……が、黒服のこわもてのお兄さんに呼び止められる。

「お客様、失礼ですが魔法で不正遊戯をされたというようなことは……。」
「ありませんっ!」

 走って逃げる。コインの払い出しはまだ止まらない。
 ルミを叩き起こして、ついでにハツネも連れてカジノに戻る。

「アキちゃん、もう夜中の2時だよ?」

 ルミが言う。……言われてみれば。あまりにカジノやカジノ周辺が明るいので気付かなかった。

 結局、ルミもハツネも大勝。ビギナーズラックではないだろう。
 さっきのこわもてのお兄さんが、ちらちらとこちらを見る。
 周りのお客さんたちも、こちらを見ている……気がする。

 なんとか無事に換金できて、大金ゲット……いいのかな、これで?



 それから2週間……経たず、1週間。
 やりとげました。ちゃんと、隣の村へのトンネルを掘りましたよ。
 報酬もちゃんと貰って、宿の確保と食事を贅沢に楽しんで。



 やっぱりワイバーンの血には運が良くなる効果があったみたいで、ちょっと掘り進んだらもう拓けてるだとかそーゆーのが続いてさくさくと仕事が片付いたというわけ。災い転じて福となる、のかな?
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