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しおりを挟むドアの隅に、蹲る何か。
それは、震えている子犬だった。
真さんの髪の色に似た、焦げ茶色の毛をした子犬。
「………」
まさか…あの時の?
いや、そんな偶然あるわけがない。
ただの、似ている犬だろう。
インターホンを押した人間が、ここに置いていったのだろうか?
一体なんのつもりだ?
文句を言って突き返してきてやろうと思ったが、どこの部屋の住人が置いていったのかも、そもそもこのマンションに住む人間の仕業かどうかもわからないし、何の関係もない人の部屋にこんな時間に尋ねるのはそれこそ失礼だろうと思い、今日のところは諦めることにした。
取り敢えず、酷く震えているその子犬をそのままそこに放置することは出来ず、家の中に入れて、毛布で包んでやった。
淡いクリーム色の毛布の中で寝息を立てているその犬は、やっぱり、見れば見るほどあの時の犬に似ている。
あの犬…そう言えば、腰の辺りに特徴的な模様があったような…
その模様を確認しようと毛布を捲った時、強い光が目に突き刺さって、思わずぎゅっと目を瞑った。
そして再び目を開いた時、俺の目に飛び込んできたのは、信じられない光景だった。
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