要約すれば愛

13 水色の傘 ※イジメの描写が含まれます

今朝、画鋲が貼り付けられていた椅子に座り、あたしはノートを開く。

黒板に書かれている文字なんて見向きもせずに、ただひたすら真っ白なページにペンを走らせる。



あいつらを殺してやる。


いつか絶対に復讐する。



そんな真っ黒な感情に支配されるまま、ただ真っ白なページを黒く染めていく。





昼休み。

トイレの鏡で、ハサミで切られた前髪を整える。

お母さんが結んでくれたお下げが、似合わなくなった短い前髪。



あいつらを殺してやりたい。


同じ目にあわせてやりたい。



鏡の中のあたしの目が、まるで知らない人みたいに見えた。





放課後。

いつの間にか雨が降っていて、あたしの靴は外に放り出され、泥にまみれていた。

傘立てに入れていた傘は、ビリビリに破れていた。



あいつらをいつか殺す。


あたしは一生許さない。



流れ続けて止まらない涙を、上から上から雨が流していく。





赤信号で立ち止まる。

向こう側の歩道に、淡い水色の傘。

お母さんの、淡い水色の傘が見えた。



あいつらを殺してやりたい。


あたしは…





あたしは………



笑って生きていきたい。





本当は、ただそれだけ。