98 / 136
捜査最終日
98. 十一日目(謹慎三日)、元部下との再会②
しおりを挟む
「私は、あなたの強靭な肉体と周りの雑音が全く気にならない程のタフな精神力
に、ずっと強い憧れを抱いていました。そんな存在のあなたは突然、「本当は、
ラーメン屋になりたかったと告げて周りに納得できる説明も無く、私を置き去り
にして去ってしまいましたよね。あなたの右腕と呼ばれるようになるまでに裏で
どれだけ汚い事をして来たと思ってるんですか!? 人をおちょくるのも大概に
して欲しいです。王様は何をしても許されると思っているんだったら、大間違い
も良い所ですよっ!!」
「お前にも言い分がある事は分かっていた。それをきちんと聞かなかった事は、
素直に謝る。ラドン、済まなかった」
積年の怒りを爆発させた後に法海侯からの謝罪の言葉があったので努めて冷静
に話し始めるラドン。
「その言葉をずっと待ってました。私はトップに立つ器では無いと自己分析して
いましたので裏で支配する事に考えが及びました。そっちの方が性に合ってると
思いませんか?」
「言われて見ればそうかもしれん……」
「それで話は飛ぶのですが一年前から四天王時代に変わって来ておりまして混沌
が足らない均衡状態が続いてまして”生ける伝説”のあなたの首に懸賞金を掛けま
した。と言っても昔とは時代が違いますから実際に頭部を切断するという事では
無く、倒す事が絶対条件です!」
「四天王時代ってのは?」
東京の事情に疎くなっている法海侯が真顔で質問する。
「これは失礼しました。長い間、東京を離れてる方には知らない情報でしたね。
新宿、原宿、渋谷、池袋の各エリアに個性的な武闘派チームがありまして現在、
代表者4人に寄る休戦協定が結ばれている状態です」
「成程、休戦協定を提案したのはラドンお前だな」
「えぇ、おっしゃる通りです」
「そのお前が俺の首に懸賞金を掛けた本当の目的は何だ? 俺に対する復讐か?」
「それもありますが無敗伝説を終わらせて新時代の到来を明確に標したいんです
よ。この四天王は”タイマン勝負”に拘りが無い男達です。ですのでタッグで組む
可能性も十分にありますし、それ以上も有り得ます」
「今はそういう時代なのか。漢としてのプライドってもんが無いんだな。実際に
手合わせして無いんで実力が未知数だ。二人以上で組まれたら、流石に負けるか
もしれん」
「本気で仰ってますか?」
初めて聞く弱気とも取れる発言に驚くラドン。
「好きに捉えて貰って構わないさ。堅気になって名古屋で知り合いが増えたんだ。
そこで、こちらも助っ人を準備しておく。柔術家、現役のプロレスラー、キック
ボクシング経験者の三人に協力して貰うよ。他にも血の気の多い奴は居るがな」
「随分と知り合いの方を信頼されているんですね!」
「まぁな。強い奴と戦うのは割と好きな連中でね。そうそう、お前の事だ。負け
たら罰ゲームがあるんだろ? さっさと話せよ」
「バレてましたか。全裸で直立不動の姿勢で正座してからの土下座&某冒険漫画
に登場するピンク色のカンフー道着を着た世界一の殺し屋のモノマネを披露して
貰います」
「俺に恥ずかしい格好と後手を組ませたい訳か。確かにモノマネは屈辱的かもし
れん……」
「やはり、罰ゲームに相応しい内容ですねっ」
「こっちも四天王を全て倒したら俺の店のラーメンをラドン。お前を含む四天王
全員に食べて貰う。俺が辿り着いた究極の一杯を」
「それで良いなら、こちらに問題はありません。では、この書類に判子を押して
下さい。拇印で結構です」
法海侯はラドンが作成した決闘状の書類にざっと目を通した後、末尾にサイン
と拇印をして椅子から立ち上がった。
に、ずっと強い憧れを抱いていました。そんな存在のあなたは突然、「本当は、
ラーメン屋になりたかったと告げて周りに納得できる説明も無く、私を置き去り
にして去ってしまいましたよね。あなたの右腕と呼ばれるようになるまでに裏で
どれだけ汚い事をして来たと思ってるんですか!? 人をおちょくるのも大概に
して欲しいです。王様は何をしても許されると思っているんだったら、大間違い
も良い所ですよっ!!」
「お前にも言い分がある事は分かっていた。それをきちんと聞かなかった事は、
素直に謝る。ラドン、済まなかった」
積年の怒りを爆発させた後に法海侯からの謝罪の言葉があったので努めて冷静
に話し始めるラドン。
「その言葉をずっと待ってました。私はトップに立つ器では無いと自己分析して
いましたので裏で支配する事に考えが及びました。そっちの方が性に合ってると
思いませんか?」
「言われて見ればそうかもしれん……」
「それで話は飛ぶのですが一年前から四天王時代に変わって来ておりまして混沌
が足らない均衡状態が続いてまして”生ける伝説”のあなたの首に懸賞金を掛けま
した。と言っても昔とは時代が違いますから実際に頭部を切断するという事では
無く、倒す事が絶対条件です!」
「四天王時代ってのは?」
東京の事情に疎くなっている法海侯が真顔で質問する。
「これは失礼しました。長い間、東京を離れてる方には知らない情報でしたね。
新宿、原宿、渋谷、池袋の各エリアに個性的な武闘派チームがありまして現在、
代表者4人に寄る休戦協定が結ばれている状態です」
「成程、休戦協定を提案したのはラドンお前だな」
「えぇ、おっしゃる通りです」
「そのお前が俺の首に懸賞金を掛けた本当の目的は何だ? 俺に対する復讐か?」
「それもありますが無敗伝説を終わらせて新時代の到来を明確に標したいんです
よ。この四天王は”タイマン勝負”に拘りが無い男達です。ですのでタッグで組む
可能性も十分にありますし、それ以上も有り得ます」
「今はそういう時代なのか。漢としてのプライドってもんが無いんだな。実際に
手合わせして無いんで実力が未知数だ。二人以上で組まれたら、流石に負けるか
もしれん」
「本気で仰ってますか?」
初めて聞く弱気とも取れる発言に驚くラドン。
「好きに捉えて貰って構わないさ。堅気になって名古屋で知り合いが増えたんだ。
そこで、こちらも助っ人を準備しておく。柔術家、現役のプロレスラー、キック
ボクシング経験者の三人に協力して貰うよ。他にも血の気の多い奴は居るがな」
「随分と知り合いの方を信頼されているんですね!」
「まぁな。強い奴と戦うのは割と好きな連中でね。そうそう、お前の事だ。負け
たら罰ゲームがあるんだろ? さっさと話せよ」
「バレてましたか。全裸で直立不動の姿勢で正座してからの土下座&某冒険漫画
に登場するピンク色のカンフー道着を着た世界一の殺し屋のモノマネを披露して
貰います」
「俺に恥ずかしい格好と後手を組ませたい訳か。確かにモノマネは屈辱的かもし
れん……」
「やはり、罰ゲームに相応しい内容ですねっ」
「こっちも四天王を全て倒したら俺の店のラーメンをラドン。お前を含む四天王
全員に食べて貰う。俺が辿り着いた究極の一杯を」
「それで良いなら、こちらに問題はありません。では、この書類に判子を押して
下さい。拇印で結構です」
法海侯はラドンが作成した決闘状の書類にざっと目を通した後、末尾にサイン
と拇印をして椅子から立ち上がった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


岬ノ村の因習
めにははを
ホラー
某県某所。
山々に囲われた陸の孤島『岬ノ村』では、五年に一度の豊穣の儀が行われようとしていた。
村人達は全国各地から生贄を集めて『みさかえ様』に捧げる。
それは終わらない惨劇の始まりとなった。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる