93 / 136
捜査最終日
注意:93. 十一日目(謹慎三日)、山城の告白⑫
しおりを挟む
ある日、妻は用事で夜遅くと言って出掛けるフリをして、
突然、連絡も無しに夕方、家に帰宅してきたんです。私は、
自宅に一人っきりになるとカーテンを開けて全裸で中学時代
のユカの写真を眺めながらマスターベーションをするのが日
課でしたから、あまりの異様な光景に浮気の現場に鉢合わせ
るよりもショックだったみたいで有無も言わさず離婚の一点
張りでした」
「そりゃ、奥さんからすれば、そうなるでしょうね!」
「私は近所の手前もあるので直ぐには無理だと話して前向き
に離婚を進める事を条件に彼女に譲歩して貰いました」
「やはり離婚というと慰謝料を請求されたんですか?」
「ユカからは慰謝料に関しては1銭も要求しないと言ってく
れましたが中学時代の写真は目の前で処分して欲しいと懇願
されましてね……」
「奥さんの要求は、そう来ましたか。ユカさんにとっては、
悪夢の写真でも山城さんにとっては大切な写真だったんです
よね!?」
「えぇ、私にとっては。唯一、男の部分を身近に感じられる
貴重な宝物だったので断腸の思いで処分に応じました。灰皿
の上にメラメラと燃えながら湾曲する2枚の写真を見ながら
嗚咽まじりに号泣してました。あんなに泣いたのは初めてか
もしれません」
「その姿を奥さんであるユカさんに監視されていたんですよ
ね。裏切り行為をした夫に対して彼女にとっての復讐だった
んでしょうか?」
「好きだった人が変質者みたいに見えたかもしれません。私
は彼女の気持ちを考える余裕すら無くなってましたから……」
「ユカさんは山城さんによって再び、人間不信になった可能
性がありますよね?」
「恐らく間違いないでしょう。しかし、問題は彼女ではあり
ません。私にとって大切なのは至急、新たな宝物と成り得る
写真が必要だった事ですよ。ハッハッハッ」
突然の笑い声に頭がイカれてしまったのではないかと疑う
後藤だったが山城は、そんな想いに構わず話を続けた。
「実は後藤さん。あなたが知りたい事と繋がっているんです
よ。数日前に、ある人物から非通知の電話が掛かってきまし
て一週間以内に後藤と名乗る巡査が訪れるので、その人物に
室木の携帯電話の番号を教えてやって欲しいと頼まれました」
「知らない人物ですよね!?」
「そうです。全く知らない男性の声でした。その男は私には
あなたが熱望する写真を提供する事が出来ると言い切りまし
て玄関に小包を届けてあるから、それを見て判断して欲しい
と提案してきました。きっと気に入るだろうとも」
「実に怪しい話になってきましたね。で小包には何が入って
いたんですか?」
「中には、ユカの裸の写真の別アングルの加工写真の2枚と
VHSテープが一本ありました。後、携帯番号もありました」
「写真よりもテープの中身が気になりますね!」
「ツレないな~。ここまで話を聞いた仲じゃないですかっ」
山城は後藤の両手首を握りながら懇願する瞳で見ていた。
突然、連絡も無しに夕方、家に帰宅してきたんです。私は、
自宅に一人っきりになるとカーテンを開けて全裸で中学時代
のユカの写真を眺めながらマスターベーションをするのが日
課でしたから、あまりの異様な光景に浮気の現場に鉢合わせ
るよりもショックだったみたいで有無も言わさず離婚の一点
張りでした」
「そりゃ、奥さんからすれば、そうなるでしょうね!」
「私は近所の手前もあるので直ぐには無理だと話して前向き
に離婚を進める事を条件に彼女に譲歩して貰いました」
「やはり離婚というと慰謝料を請求されたんですか?」
「ユカからは慰謝料に関しては1銭も要求しないと言ってく
れましたが中学時代の写真は目の前で処分して欲しいと懇願
されましてね……」
「奥さんの要求は、そう来ましたか。ユカさんにとっては、
悪夢の写真でも山城さんにとっては大切な写真だったんです
よね!?」
「えぇ、私にとっては。唯一、男の部分を身近に感じられる
貴重な宝物だったので断腸の思いで処分に応じました。灰皿
の上にメラメラと燃えながら湾曲する2枚の写真を見ながら
嗚咽まじりに号泣してました。あんなに泣いたのは初めてか
もしれません」
「その姿を奥さんであるユカさんに監視されていたんですよ
ね。裏切り行為をした夫に対して彼女にとっての復讐だった
んでしょうか?」
「好きだった人が変質者みたいに見えたかもしれません。私
は彼女の気持ちを考える余裕すら無くなってましたから……」
「ユカさんは山城さんによって再び、人間不信になった可能
性がありますよね?」
「恐らく間違いないでしょう。しかし、問題は彼女ではあり
ません。私にとって大切なのは至急、新たな宝物と成り得る
写真が必要だった事ですよ。ハッハッハッ」
突然の笑い声に頭がイカれてしまったのではないかと疑う
後藤だったが山城は、そんな想いに構わず話を続けた。
「実は後藤さん。あなたが知りたい事と繋がっているんです
よ。数日前に、ある人物から非通知の電話が掛かってきまし
て一週間以内に後藤と名乗る巡査が訪れるので、その人物に
室木の携帯電話の番号を教えてやって欲しいと頼まれました」
「知らない人物ですよね!?」
「そうです。全く知らない男性の声でした。その男は私には
あなたが熱望する写真を提供する事が出来ると言い切りまし
て玄関に小包を届けてあるから、それを見て判断して欲しい
と提案してきました。きっと気に入るだろうとも」
「実に怪しい話になってきましたね。で小包には何が入って
いたんですか?」
「中には、ユカの裸の写真の別アングルの加工写真の2枚と
VHSテープが一本ありました。後、携帯番号もありました」
「写真よりもテープの中身が気になりますね!」
「ツレないな~。ここまで話を聞いた仲じゃないですかっ」
山城は後藤の両手首を握りながら懇願する瞳で見ていた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
鎌倉最後の日
もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる