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捜査最終日
注意:68. 十一日目(謹慎三日)、サユリ宅にて⑤ 恩田の過去Ⅲ
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「心を入れ替えるんで見逃して下さいっ!」
「未だ喋る元気があるんだから制裁は続行する」
法は、左足を頭上に振り上げてから槇野の右足の膝下の側面に狙
いを定めて、かかと落としの要領で脆い部分に振り下ろした。
「ポキンッ」
骨が折れた音が響くと膝下が、ぶらりとした状態で捻じれている
事が恩田の目にもはっきりと分かった。
「ぐわぁ~。痛てぇよー」
槇野は痛みに耐えきれず呻き声を漏らした。
「こ、この状況で五体満足で帰れるとは思ってません」
「器用に片足立ち出来る余裕は堅気じゃねぇ証拠だ。次は……」
法はバランスを保っている左足に狙いを定めて同じ部分を振り上
げた手刀を倍速の速さで振り下ろす。
「ポキッ」
音が異なったが蹴りと手刀の差である事は、その場に居た全員に
分かった事だが骨の折れる音を聞いていない者にとっては、地獄の
一丁目と言われても過言では無かった。
「うぉーーーっ。痛てぇー」
痛みが重なって呻き声のボリュームも高くなるが膝から崩れた状
態で直立するも瞳に絶望を浮かべてはいなかった。
「お前、根性あるじゃん。言っても未だ2回だから4回手を出した
分を考えると2回分あるよね? って事で次は……」
両手を頭の上でクロスさせてから槇野の両肘下の側面に狙いを定
めて円を描くように手刀を振り下ろした。
「バキッ」
「うぉうおーーーうぉーーっ。頭、いくら何でも痛過ぎるよー」
両腕も明後日の方向へと捻じ曲がっていて、あまりの光景に恩田
は現実ではない夢を見ているんじゃないかと直視しているのが辛く
なっていた。
「今のは同時に攻撃したから一回分だからね! つまり後一回ある
訳だ。何か今のうちに弁解した事とかあるかな?」
「〇〇さんは感度も良くて最高でした。今度こそ更生しますから」
「気安く読んでんじゃねぁぞ! それに素人じゃあるまいし褒めた
ら喜ぶと思ったら大間違いだ。火に油を注ぐようなもんだ。もちろ
ん謝っても今更遅いけどなっ」
「……」
起死回生の切り札だっただけに言葉を失う槇野。
「さてと最後の一回は何処が良いかな? 録画を観るであろう人に
今まで教えなかったのは大人げないって思われても嫌だから最後位
、動けない君に教えても良いかな。腹にいくよ」
ある程度の間合いを取ってからユラユラと体を揺らしたかと思う
と瞬歩で一気に懐に入って発勁 を解き放った。
「ボウォッ」
「あっ穴が腹に穴が開いてるぅぞっ!!」
恩田は、現実で起こった事とは考えられない位、素っ頓狂な声を
上げて静観する事が出来なくなっていた。
「賑やかなギャラリーは嫌いじゃないけど制裁はこれで終わりじゃ
ない。私が使用した技に関して言えば気を練った気功の技の奥義で
あるが普通の掌底と一緒にして貰っては困るよ。鍛錬を重ねた者だ
けが唯一扱える技なんだから。両手で放てば即死も不可能ではない」
気絶しそうな程の痛みが走って意識が朦朧としながら、弱々しい
声で槇野は懇願した。
「命だけは、たっ助けて下さい。お願いします!」
「何度も周りの人間の忠告を無視しといて命の危険が迫ったら命乞
いか? それって物凄く、自分勝手だよねっ」
「……」
「よく考えろ。同じ過ちを悪い(間違っている行為)と気付きなが
らワザと4回も繰り返している奴が居るとして。お前がその組織の
トップに立っていたとしたら、お前はそいつを許せるのか? もう
少し周りの人間に気を遣うべきだった。ルールを度々無視している
お前が堂々と生きて行ける世界なんてのは、この世には存在しない」
「じゃぁ、お、俺は一体どうすれば良いんですか?」
「あの世で詫びろっ」
蒼乃はハンディカメラを持ちながらフレームアウトすると事務所
に掛けられた”昇り龍の掛け軸”の後ろから青竜刀を取り出して法海候
に手渡した。
「丁寧な仕事振りに久々に腕が鳴るというものだ。じゃぁ、この世
の未練もスパッと断ち切ってやる」
刃こぼれ一つない職人の仕事振りを拝見して歓喜して、素振りを
数回見せた後に観念した槇野が両目を閉じた。
法は楕円を描くように舞いながら剣の間合いに入ると正面に立っ
てから右周りで駒回しの如く勢いよく回転して、その反動を利用し
て母国である中国の武器で首をはねた。
「スパンッ」
鮮血が当たり一面に飛び散り、カンフー道着だけでなく全身へと
返り血を浴びた。両手にベットリと付着した血を蒼乃から差し出さ
れたタオルで拭いていると本体と切断された生首が行き場を亡くし
てコロコロと転がり彷徨っていたのを見兼ねて、拭く手を中断して
切断された頭部の髪の毛を掴んで、ぶら下げて移動すると直立した
ままの槇野の股間の前方に頭部を立たせて置いて閉じていた両目を
開かせてから声高に宣言した。
「皆もきちんとルールは守るように心掛けて貰いたいっ」
蒼乃のハンディカメラは、ここで停止のボタンが押されて撮影が
中止となった事を意味した。
「未だ喋る元気があるんだから制裁は続行する」
法は、左足を頭上に振り上げてから槇野の右足の膝下の側面に狙
いを定めて、かかと落としの要領で脆い部分に振り下ろした。
「ポキンッ」
骨が折れた音が響くと膝下が、ぶらりとした状態で捻じれている
事が恩田の目にもはっきりと分かった。
「ぐわぁ~。痛てぇよー」
槇野は痛みに耐えきれず呻き声を漏らした。
「こ、この状況で五体満足で帰れるとは思ってません」
「器用に片足立ち出来る余裕は堅気じゃねぇ証拠だ。次は……」
法はバランスを保っている左足に狙いを定めて同じ部分を振り上
げた手刀を倍速の速さで振り下ろす。
「ポキッ」
音が異なったが蹴りと手刀の差である事は、その場に居た全員に
分かった事だが骨の折れる音を聞いていない者にとっては、地獄の
一丁目と言われても過言では無かった。
「うぉーーーっ。痛てぇー」
痛みが重なって呻き声のボリュームも高くなるが膝から崩れた状
態で直立するも瞳に絶望を浮かべてはいなかった。
「お前、根性あるじゃん。言っても未だ2回だから4回手を出した
分を考えると2回分あるよね? って事で次は……」
両手を頭の上でクロスさせてから槇野の両肘下の側面に狙いを定
めて円を描くように手刀を振り下ろした。
「バキッ」
「うぉうおーーーうぉーーっ。頭、いくら何でも痛過ぎるよー」
両腕も明後日の方向へと捻じ曲がっていて、あまりの光景に恩田
は現実ではない夢を見ているんじゃないかと直視しているのが辛く
なっていた。
「今のは同時に攻撃したから一回分だからね! つまり後一回ある
訳だ。何か今のうちに弁解した事とかあるかな?」
「〇〇さんは感度も良くて最高でした。今度こそ更生しますから」
「気安く読んでんじゃねぁぞ! それに素人じゃあるまいし褒めた
ら喜ぶと思ったら大間違いだ。火に油を注ぐようなもんだ。もちろ
ん謝っても今更遅いけどなっ」
「……」
起死回生の切り札だっただけに言葉を失う槇野。
「さてと最後の一回は何処が良いかな? 録画を観るであろう人に
今まで教えなかったのは大人げないって思われても嫌だから最後位
、動けない君に教えても良いかな。腹にいくよ」
ある程度の間合いを取ってからユラユラと体を揺らしたかと思う
と瞬歩で一気に懐に入って発勁 を解き放った。
「ボウォッ」
「あっ穴が腹に穴が開いてるぅぞっ!!」
恩田は、現実で起こった事とは考えられない位、素っ頓狂な声を
上げて静観する事が出来なくなっていた。
「賑やかなギャラリーは嫌いじゃないけど制裁はこれで終わりじゃ
ない。私が使用した技に関して言えば気を練った気功の技の奥義で
あるが普通の掌底と一緒にして貰っては困るよ。鍛錬を重ねた者だ
けが唯一扱える技なんだから。両手で放てば即死も不可能ではない」
気絶しそうな程の痛みが走って意識が朦朧としながら、弱々しい
声で槇野は懇願した。
「命だけは、たっ助けて下さい。お願いします!」
「何度も周りの人間の忠告を無視しといて命の危険が迫ったら命乞
いか? それって物凄く、自分勝手だよねっ」
「……」
「よく考えろ。同じ過ちを悪い(間違っている行為)と気付きなが
らワザと4回も繰り返している奴が居るとして。お前がその組織の
トップに立っていたとしたら、お前はそいつを許せるのか? もう
少し周りの人間に気を遣うべきだった。ルールを度々無視している
お前が堂々と生きて行ける世界なんてのは、この世には存在しない」
「じゃぁ、お、俺は一体どうすれば良いんですか?」
「あの世で詫びろっ」
蒼乃はハンディカメラを持ちながらフレームアウトすると事務所
に掛けられた”昇り龍の掛け軸”の後ろから青竜刀を取り出して法海候
に手渡した。
「丁寧な仕事振りに久々に腕が鳴るというものだ。じゃぁ、この世
の未練もスパッと断ち切ってやる」
刃こぼれ一つない職人の仕事振りを拝見して歓喜して、素振りを
数回見せた後に観念した槇野が両目を閉じた。
法は楕円を描くように舞いながら剣の間合いに入ると正面に立っ
てから右周りで駒回しの如く勢いよく回転して、その反動を利用し
て母国である中国の武器で首をはねた。
「スパンッ」
鮮血が当たり一面に飛び散り、カンフー道着だけでなく全身へと
返り血を浴びた。両手にベットリと付着した血を蒼乃から差し出さ
れたタオルで拭いていると本体と切断された生首が行き場を亡くし
てコロコロと転がり彷徨っていたのを見兼ねて、拭く手を中断して
切断された頭部の髪の毛を掴んで、ぶら下げて移動すると直立した
ままの槇野の股間の前方に頭部を立たせて置いて閉じていた両目を
開かせてから声高に宣言した。
「皆もきちんとルールは守るように心掛けて貰いたいっ」
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