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プロローグ

1. 目覚め①

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 男が目を覚ましてベッドから起き上がると眼前に淡いピンク色のネグリジェを
着た女性が立っており、こちらが起きた事が分かるとニッコリと微みを浮かべて
いる。寝巻きは、透けていて乳房が丸見えの状態なので目のやり場に困って顔を
少し赤らめる。寝る時は下着を履かない習慣かもしれないと男の本能が顔を出し
て視線を下に移すが淡い期待は砕かれて見えそうで見えない水色の壁(下着)に
阻まれていたが腰の両側にあたる場所に可愛い赤いリボンが付いた下着を身に着
けていた。
 正直、見たいのが半分だったので興奮した気持ちをある程度、落ち着かせる事
ができた瞬間でもあった。

「朝食できたから、一緒に食べるでしょ?」
 お椀型の胸を揺らしながらトーストとスクランブルエッグに野菜サラダが添え
られた皿を両手に持ちながら彼女がベッド脇のテーブルまで来ると男には彼女が
誰だか理解できた。営業先の中でも最大手の会社に勤務している美人受付嬢だ。
何回告白しても断られた苦い記憶が蘇る。

 辺りを見回して見ると彼女の部屋だという事がはっきりと分かる。ピンク色で
統一されており、可愛らしいクマの人形が置いてある。
(何故、俺が彼女の部屋にいるんだ?)
 昨日の記憶を思い出そうとするが何も出て来ず、頭が痛くなって、こめかみを
押さえる。
「隆(たかし)くん。聞こえてないの?」
 彼女は、無反応な男の態度に頬を膨らませて抗議している。
「あぁ。朝食は、後で食べるから、水を一杯くれないか?」
「まさかと思うけど、二日酔いで昨日の事、全部覚えてないの!?」
 隆は返事をする代わりに大きく頷いて体調が悪い事をアピールする。その様子
を見た彼女が冷蔵庫の奥から天然水が入ったペットボトルを取り出してコップに
注いで隆に渡した。
「ゴクッゴクッ」
 隆は、ほぼ二口で飲み干すと再びベッドの上で横になって動かなくなる。

 五分すると彼女が心配そうな顔で呼びかけてくる。
「隆くん。会社に行かなくても良いの?」
「ウチの会社は、ノルマさえ達成できれば昼から出勤でも誰も文句は言われない
んだ」
 頭の痛みが和らいだのか隆は、まともな会話が出来るようになっていた。
「そうなんだ。羨ましいな。私、今日は、朝当番の日だから先に出るね。家の鍵
は玄関のノブに引っ掛けておくから戸締り宜しくね!」
 彼女の後姿を見ると見慣れた制服姿だった。
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