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第一章:始まりの世界 ”準備運動編” 

♯50.かけっこバトル②

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「俺からも一言だけ言わせて貰う。旗にも書いてある
けど勝負がついても決められた時間は、この場所で待
機する事。もしこの場所を離れれば勝負は無効となる
から気を付けて欲しい。但し、チームの一人が残って
いればトイレも自由に行って貰って構わない」
 哀川の補足説明が終わると20人程のギャラリーが
結果の予想を話し合っていた。開始まで一分を切った
所で各チームの最初の走者に立花マイカからバトンが
渡されて各自スタートラインに立った。

 相手のチームは牧村からでタカフミのチームからは
哀川が選出される事となった。タカフミは最初のイン
パクトを重視していたので運動音痴の自分が先に出る
のは場をシラけさせてしまうと読んだのだ。ギャラリ
ーの反応が悪ければクチコミも悪い方に流れるので、
それだけは避けなければならないとも考えていた。

(何か聞いてたのと少し話が違う感じがするんだけど
参加して大丈夫なんだろうか……。立花さんは居たけ
ど同チームという感じでもないし、明石先輩は見学に
も来ていない。失敗したのかな?)
 堀部が落ち着かない様子だったのでタカフミは今回
の流れをヒソヒソ話で簡単に説明した。
「立花は表向きは中立の立場を取っているので作戦会
議以外の対決には直接参加はしない。進行や解説等の
裏方に回って貰う。明石先輩に関してはいきなり見学
ってのも目立ちすぎるし呼んでいない。あくまでも、
小学生間で解決できないトラブルが発生した時のみに
協力をして貰う事になっているんだ!」
 もっともらしい意見を並べただけだが当の本人達に
説明していない状態で事後報告の流れであった。

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