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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”
♯44.立花マイカの交渉①
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男の言葉は丁寧だったが話を聞かなければ、この先、
何をされるか分からない程の威圧感が伝わっていたので
話を聞くことに決めたタカフミだった。
「中々、戻ってきませんね」
「宅配便のやり方なら、知っている筈だし不審者が現れ
たと考えるのが普通かな。ちょっと様子を見て来ますね」
「それには及びません。訪問しているのは、知り合いの
執事ですから……」
「執事がどうして我が家に!?」
「私が先程、お願いをして来て頂きました」
「一体何の為に?」
「お父様と二人っきりで話したい事がありましたので」
「つまり計画的に行われている状況ですかっ」
「単刀直入に言います。私にあなたの喧嘩空手を教えて
下さい!」
「担当直入過ぎて話が見えてきませんが私が空手をして
いる理由は何だい?」
「タカフミ君が知らない理由は私には分かりませんが、
自宅生活で黒い手袋を着用されているのは拳ダコを隠す
為ですよね」
立花はそう言い終わると同時に相手の手袋をめくり上
げた。そこには異常に皮膚が盛り上がった個所が何か所
もあり、毎日、巻き藁などの硬いものを叩いてないと出
来ない動かぬ証拠だった。
「動きは合格ラインだが殺気がある攻撃を私に向けてい
れば君が吹き飛んでいた可能性は避けられなかったよ!」
目を見開いて話す口調には執事の宮間とは違う、妙な
凄みがあり、気持ちが折れそうになるが下唇を噛んだ仕
草を出して自分を振るい立たせてから、言葉を続ける。
「やっぱり、最凶の空手家である清武さんは違いますね。
島に伝わる伝説の奥義を唯一会得した人物であり、その
技は、前を向きながら後ろに下がる”月歩”ですよね?
交換条件と行きませんか?」
「ほぉー。随分と詳しいじゃねぇか。俺に小学生のガキ
が交渉するのか? まさか脅してんじゃないよな!?」
立花の顔を凝視しながら、あごの輪郭を親指と人差し
指で何度も往復させながら言葉を吐いた清武。興味を示
しているのは間違いなく、ここまでは順調な滑り出しで
計画通りであった。問題はここからの詰めの作業である。
相手を怒らせたままでは交渉決裂は目に見えている。
何をされるか分からない程の威圧感が伝わっていたので
話を聞くことに決めたタカフミだった。
「中々、戻ってきませんね」
「宅配便のやり方なら、知っている筈だし不審者が現れ
たと考えるのが普通かな。ちょっと様子を見て来ますね」
「それには及びません。訪問しているのは、知り合いの
執事ですから……」
「執事がどうして我が家に!?」
「私が先程、お願いをして来て頂きました」
「一体何の為に?」
「お父様と二人っきりで話したい事がありましたので」
「つまり計画的に行われている状況ですかっ」
「単刀直入に言います。私にあなたの喧嘩空手を教えて
下さい!」
「担当直入過ぎて話が見えてきませんが私が空手をして
いる理由は何だい?」
「タカフミ君が知らない理由は私には分かりませんが、
自宅生活で黒い手袋を着用されているのは拳ダコを隠す
為ですよね」
立花はそう言い終わると同時に相手の手袋をめくり上
げた。そこには異常に皮膚が盛り上がった個所が何か所
もあり、毎日、巻き藁などの硬いものを叩いてないと出
来ない動かぬ証拠だった。
「動きは合格ラインだが殺気がある攻撃を私に向けてい
れば君が吹き飛んでいた可能性は避けられなかったよ!」
目を見開いて話す口調には執事の宮間とは違う、妙な
凄みがあり、気持ちが折れそうになるが下唇を噛んだ仕
草を出して自分を振るい立たせてから、言葉を続ける。
「やっぱり、最凶の空手家である清武さんは違いますね。
島に伝わる伝説の奥義を唯一会得した人物であり、その
技は、前を向きながら後ろに下がる”月歩”ですよね?
交換条件と行きませんか?」
「ほぉー。随分と詳しいじゃねぇか。俺に小学生のガキ
が交渉するのか? まさか脅してんじゃないよな!?」
立花の顔を凝視しながら、あごの輪郭を親指と人差し
指で何度も往復させながら言葉を吐いた清武。興味を示
しているのは間違いなく、ここまでは順調な滑り出しで
計画通りであった。問題はここからの詰めの作業である。
相手を怒らせたままでは交渉決裂は目に見えている。
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