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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”
♯42.立花マイカの訪問①
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「ピッピッ」
実家の台所に切り替わった。定位置から左側を見ると
何故か立花マイカが座っており、タカフミの目の前には
上機嫌な母親が居た。立花の正面には父親がおり、普段
は見せない陽気な態度を取っているのが不思議だった。
どうやらガールフレンドか何かだと勘違いしているら
しい。
「恥ずかしい話なんですけどこと、この家に友達が来た
ことが無いんですよー。タカちゃんと仲良くしてあげて
下さいね!」
「母さん。急に恥ずかしい事、言わないでよー!」
「私も友達が少ないんです。人見知りする方で……」
「ありがとうね。何か気を遣わせてしまったかな。立花
さんは優しい子なのね」
タカフミは大好物の母親特製の手作りハンバーグに、
視線を注ぎながら”いただきます”の合図を待っていた。
「まぁまぁ、母さんも、お喋りはその位にして先に食事
にしよう」
タカフミの視線の先が食べ物である事に気付いた父親
は食事開始の挨拶を口にした。
「いたーだきますっ!」
「頂きます!」
全員の掛け声が終わるとタカフミは箸でハンバーグに
切込みを入れて食べやすい大きさにカットしていく。四
分の一になった所で口の中に入れて後、じっくり噛む暇
も無くライスを口一杯に頬張って至福の時を味わう。
「お肉ばっかり先に食べて野菜もちゃんと食べるのよっ」
「……」
口一杯に入っていて返事が出来ないタカフミの代わり
に父親が会話を繋いだ。
「子供の時は野菜が苦手なのは仕方ない気がするけど」
「お父さんが甘やかすから野菜が毎回、残ってるんです。
大人になったら急に食べられる訳じゃないんだから今の
内に食べられるようにしないと後で困るんだから……」
眉根を上げて注意する母親は怖かったが祖父が偏った
食事をしているのが原因で貧血気味である事を知ってお
り、重大な病気を発症し帰らぬ人となった事に後悔して
いるのだった。食事以外の事で怒られた記憶はなく普段
は優しい母だった。
「タカフミ、焦らず、ゆっくりでいいからね」
そう発言した父親も茹でた人参を皿の端に追いやりな
がらポテトサラダと炒めたコーンをフォークで口に運ん
でいた。
実家の台所に切り替わった。定位置から左側を見ると
何故か立花マイカが座っており、タカフミの目の前には
上機嫌な母親が居た。立花の正面には父親がおり、普段
は見せない陽気な態度を取っているのが不思議だった。
どうやらガールフレンドか何かだと勘違いしているら
しい。
「恥ずかしい話なんですけどこと、この家に友達が来た
ことが無いんですよー。タカちゃんと仲良くしてあげて
下さいね!」
「母さん。急に恥ずかしい事、言わないでよー!」
「私も友達が少ないんです。人見知りする方で……」
「ありがとうね。何か気を遣わせてしまったかな。立花
さんは優しい子なのね」
タカフミは大好物の母親特製の手作りハンバーグに、
視線を注ぎながら”いただきます”の合図を待っていた。
「まぁまぁ、母さんも、お喋りはその位にして先に食事
にしよう」
タカフミの視線の先が食べ物である事に気付いた父親
は食事開始の挨拶を口にした。
「いたーだきますっ!」
「頂きます!」
全員の掛け声が終わるとタカフミは箸でハンバーグに
切込みを入れて食べやすい大きさにカットしていく。四
分の一になった所で口の中に入れて後、じっくり噛む暇
も無くライスを口一杯に頬張って至福の時を味わう。
「お肉ばっかり先に食べて野菜もちゃんと食べるのよっ」
「……」
口一杯に入っていて返事が出来ないタカフミの代わり
に父親が会話を繋いだ。
「子供の時は野菜が苦手なのは仕方ない気がするけど」
「お父さんが甘やかすから野菜が毎回、残ってるんです。
大人になったら急に食べられる訳じゃないんだから今の
内に食べられるようにしないと後で困るんだから……」
眉根を上げて注意する母親は怖かったが祖父が偏った
食事をしているのが原因で貧血気味である事を知ってお
り、重大な病気を発症し帰らぬ人となった事に後悔して
いるのだった。食事以外の事で怒られた記憶はなく普段
は優しい母だった。
「タカフミ、焦らず、ゆっくりでいいからね」
そう発言した父親も茹でた人参を皿の端に追いやりな
がらポテトサラダと炒めたコーンをフォークで口に運ん
でいた。
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