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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

♯17. Nリバイバルの致命的な欠陥

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 その頃、噴水周りのコンクリートで座りながら眠って
いるタカフミに絡んでくる酔っぱらいのOLが現れたの
でB探偵は慌てて立花に連絡を入れた。
「マイカさん。報告します。只今、Nリバイバルを発動
中に酔っぱらいのOLが現れて必要以上にタカフミ君の
体に触れて起こそうとしています!」
「その女。何してくれてんのよっ。あなたも知っての通
り、Nリバイバルには、致命的な欠陥があって発動中に
他人が体の一部に触れる継続時間が3秒以上で脳内再生
の映像は、中断されてノイズが入った画面に切り替わり
その状態が3分以上継続されたら脳に甚大じんだいなダメージを
受けて目を覚ましてから何らかの後遺症こういしょうが表に出てくる
可能性が高まるんだから、その性悪しょうわる女を何とか引き離し
て頂戴! 良い事。絶対に3分以上触れさせないで頂戴。
もし失敗したら、あなたに出資した金額を全額返金して
貰うから、そのつもりで対処して!!」
 声を荒げる立花に対してリカ姐は緊急事態になった事
を即座に理解して肩にそっと手を置いた。
(昔はどうかしらないけど今は本気でタカフミ君の事を
心配してるんだね)
「はいはい。喧嘩絡みでは無いので酔っぱらいの話を私
が受け止めれば大事にはいたらないと思いますがね」
 あまりの豹変ひょうへんぶりに理不尽りふじんさを覚えて不機嫌な態度が
言葉に出てしまうB探偵。
「”はい”は一回で良いの! さっさと引き離して不快な
想いを取り除いてくれるかしら」
「分かりました。善処ぜんしょします!」
 電話越しでも眉毛を釣り上げてるのが分かる位の剣幕けんまく
に言葉遣いを改めたB探偵だった。

「マイカ、何をそんなにイラついてるの?」
「彼に後遺症が出たら耐えられないの。後遺症の中には
両手両足の麻痺や勃起不全もあるから……」
(成程、後者の方を心配してるのね!)
「でもタカフミ君には彼女いるでしょ!? マイカには
直接関係ない気がすると思うんだけど……」
「何か風の噂で毎日喧嘩が絶えなくて破局寸前はきょくすんぜんらしいの」
「風の噂ね~」
(本当は確実な情報なのに回りくどい言い回しなのが、
本気すぎて怖いわ)
 
 今まで男性と本気で付き合った事が無かったと聞いて
いただけに、ちょっぴりヤキモチを焼いたリカ姐だった。 


*OL= office lady の略。
女性の会社員(事務員)を意味する。
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