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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

94.超能力!?対決 後半戦②

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 博士と立花はタカフミに対して顔を横に振ったり視線
を下に落としたりして勝負の続行が難しい事を伝えたが
タカフミがかたくなに拒否して続行となった。

「最後の一人のお出ましだ。ウチのクラスのトップに立
つ学級委員長のまひろちゃんが来たけど合ってる?」
「えぇ、リストに入ってるわ。随分と自信がありそう
だけど……」
「負けっぱなしじゃ勝負とは言えないし一方的な展開は
つまんないと思うぜ」
「そういう事か。段々と本気になってきた訳ね。じゃぁ
確認をよろしく」
「大逆転劇がおがめるように頑張るさ」

 数秒後、赤茶色に染まったショートボブの髪型をして
いる暗算が得意な”まひろ”がポスト手前に来たので合図
をした。
 哀川はここで手にしている双眼鏡の約2センチのすき
間が生まれている部分を指で隠して超小型カメラに映る
であろう映像をシャットアウトした。
(白と水色のストライプで一般的には、しましまパンツ
と呼ばれる縞模様しまもようの柄が入ってる下着だ)
 哀川は不敵な笑みを浮かべながらOKサインを出した。

 当然、最初にパニックになったのは博士だ。超小型カ
メラのレンズは指が邪魔で肝心な部分である瞳を捉える
事が出来ていないのだ。その映像を死角と成り得る場所
に転写させて後は鏡の反射を利用して博士の視界の先に
映るように細工していたのだった。当然、指が映された
だけなのでイラストを描くことも出来ず、両手をクロス
させてバッテンマークを作った。正解が分からないまま
照明はOFFとなり、立花は、勝算があるの? という
心配顔でタカフミに視線を送っていたが何を考えている
かを推測すいそくする事は出来ない無表情で瞑想めいそうをしているよう
にも見えた。勝負は続行していて哀川に動揺を見せる訳
には行かなかったので同じように進める事に決めた。

「大山くん。ちゃんと透視出来たかな?」
「私が聞く事を先に聞かないで頂戴っ!」
「何を苛々いらいらしてるんだか。まぁこれ以上怒られても本意
じゃないから、しばらく黙ってるよ」
「四番目に見えた柄を言って頂戴っ」
 絞り出すような声で話す立花。
「正直に言うと今回は、上手く透視が出来なかった」
「って事は降参こうさんで良いんだな?」
「いや、勝負を降りるとは言ってない」
「どういう意味だ!?」
「僕は見えない時もあるからと言っていたよね? つま
り100%透視に成功するとは言っていない。そこで、
正解を含めた2択にしよう」
「おいおい。何をトンチンカンな提案してんだ。そっち
に有利な条件だろ? そんなの認める訳には行かないぜ」
「何だよ。急にビビってんの!?」
「ビビってねぇよ。さっきから舐めた提案して来て、そ
の態度は許せないぜ」
「許せなかったら、どうするの?」
 タカフミの胸倉むなぐらつかんで、にらんでくる哀川。
「そういう行動に出るのがビビってるって認める事なん
だよ。分かれよ」
 哀川は初めてみる高圧的な態度のタカフミにどう対応
するべきなのか判断がつかなかった。




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