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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”
84.待望のファーストキス!? ③ (改)
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哀川は立花が背中を見せた瞬間に背を向けて腰の位置
でガッツポーズをし両膝を曲げて腰を落とした状態で床
にスライディングを決行する。反対に立花は、どのよう
な状況からも見えない死角を作る為にタカフミのギリギ
リ側を通ってタカフミが隠し持っていたリップを回収し
て教室の前扉に移動した。
「ガラガラ~ガラ」
扉が閉まる音が聞こえた瞬間に顔を赤らめて感情を爆
発させる哀川。誰かに話さずにはいられない状態である。
「大山くん。幸せは突然、向こうからやってきちゃうん
だな!?」
「そ、そうかな!?」
「まぁ、その内、分かる時がくるさ。さっきは、お前呼
ばわりしてゴメン。冷静さに欠けていた気がする……」
タカフミの隣に移動して頭を下げて謝る哀川。
「状況が状況だけに、そこまでする程の事じゃない気が
するけど」
「大山くんは、とても優しいんだね」
「……」
何と答えて良いのか分からないタカフミがいた。
「そうだ。女子の手は、”ぷにぷに”して柔らかいのにも
今日、気付く事が出来た。しかも空手をやってるのにだ。
おそらく蹴り専門とみた。歴史的発見だったよ!」
「そう。それは良かったね」
「何だよ。俺だけ体験したからってすねる事ないだろ?」
テンションの温度差に不満顔を見せる哀川。
「いや、そういう訳じゃないんだけど……」
無理やり押さえつけていた罪悪感が顔を出してきたの
で他の話題で話を逸らす事にするタカフミ。
「話変わるけど。さっきの近すぎてよく見えなかったん
だけど、どんな蹴りだったの?」
「えっ何!?」
「だからノーモーションの前蹴りの事だよ」
「あっあ~。その事か」
哀川は幸せの絶頂の中から暗い現実に引き戻されて歯
切れが悪くなった。哀川にもタカフミに話せない秘密が
あるからだ。
「どうした? 何か問題でもあったの? そっちからの
位置だったら確実に見えそうな気がしたんだけど……」
「いや。そういう訳じゃなくて。恥ずかしい話、速すぎ
て確認出来なかったんだ。構えも無かったし……」
額に汗を浮かべながら声を絞り出す哀川。
「そっか。それなら今度見る機会があって詳細が分かっ
たらで良いから僕に教えてねっ」
「おう。分かったら教えるっ」
二人の男子は共有しない秘密を抱えて生きていく事を
心に誓った。
でガッツポーズをし両膝を曲げて腰を落とした状態で床
にスライディングを決行する。反対に立花は、どのよう
な状況からも見えない死角を作る為にタカフミのギリギ
リ側を通ってタカフミが隠し持っていたリップを回収し
て教室の前扉に移動した。
「ガラガラ~ガラ」
扉が閉まる音が聞こえた瞬間に顔を赤らめて感情を爆
発させる哀川。誰かに話さずにはいられない状態である。
「大山くん。幸せは突然、向こうからやってきちゃうん
だな!?」
「そ、そうかな!?」
「まぁ、その内、分かる時がくるさ。さっきは、お前呼
ばわりしてゴメン。冷静さに欠けていた気がする……」
タカフミの隣に移動して頭を下げて謝る哀川。
「状況が状況だけに、そこまでする程の事じゃない気が
するけど」
「大山くんは、とても優しいんだね」
「……」
何と答えて良いのか分からないタカフミがいた。
「そうだ。女子の手は、”ぷにぷに”して柔らかいのにも
今日、気付く事が出来た。しかも空手をやってるのにだ。
おそらく蹴り専門とみた。歴史的発見だったよ!」
「そう。それは良かったね」
「何だよ。俺だけ体験したからってすねる事ないだろ?」
テンションの温度差に不満顔を見せる哀川。
「いや、そういう訳じゃないんだけど……」
無理やり押さえつけていた罪悪感が顔を出してきたの
で他の話題で話を逸らす事にするタカフミ。
「話変わるけど。さっきの近すぎてよく見えなかったん
だけど、どんな蹴りだったの?」
「えっ何!?」
「だからノーモーションの前蹴りの事だよ」
「あっあ~。その事か」
哀川は幸せの絶頂の中から暗い現実に引き戻されて歯
切れが悪くなった。哀川にもタカフミに話せない秘密が
あるからだ。
「どうした? 何か問題でもあったの? そっちからの
位置だったら確実に見えそうな気がしたんだけど……」
「いや。そういう訳じゃなくて。恥ずかしい話、速すぎ
て確認出来なかったんだ。構えも無かったし……」
額に汗を浮かべながら声を絞り出す哀川。
「そっか。それなら今度見る機会があって詳細が分かっ
たらで良いから僕に教えてねっ」
「おう。分かったら教えるっ」
二人の男子は共有しない秘密を抱えて生きていく事を
心に誓った。
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