上 下
84 / 281
第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

83.待望のファーストキス!? ②

しおりを挟む
「悪い。少し言い過ぎたな。反省するよ」
 タカフミの言葉で自分の事しか考えていない事が分か
って少しだけ冷静になる哀川。
「別に良いよ」
「あの~私も会話に混ぜてくれないかな?」
「あっどうぞどうぞ」
 息が合う男子二人。
「では遠慮なく質問するけどキスの感想はどうだった?
初めてじゃないかもしれないけど……」
「いきなり、それ聞いちゃうのかよ。俺も慣れてない方
だから思ったよりドキドキしちまってるけど女子の唇っ
て柔らかいんだな~」
「ふぅーん。そうなんだ。そういう事は自分ではよく分
からないから新しい発見だよ。教えてくれてありがとう」
 立花はタカフミの顔をマジマジと見ながら言った。

「また、照れてんのかよ。しょうがない奴だな。少し刺
激が強かったか?」
 哀川の言葉にどう答えていいか分からない複雑な心境
になっていたが何とかその場を切り抜ける為に思考回路しこうかいろ
を正常に保つ事に意識を集中するタカフミ。
「ごめん。そういうの本当に慣れてないから……」
 
「じゃぁ、哀川クン。約束のプレゼントもしたし例の件、
前向きに考えといてね!」
 立花は正面に立って哀川に被せてたウイッグを外して
自分の頭に被せると用事があるから先に帰ると告げた。
「おぅ。分かった。ちゃんと考えるよ!」
 本当はキスのプレゼントのお礼も言いたかったが右手
で親指を立てるグッドサインを出すのが精一杯だった。 
 
しおりを挟む

処理中です...