少年と銀貨 第一章：始まりの世界

第一章：始まりの世界 ”自己啓発編”

７９．立花マイカの秘密② （改）

「本当は短い髪型だけど似合ってる？」
（タカフミは打ち合わせにない髪型を目の当たりにして
別人に見えたので驚きの声を上げそうになったが咄嗟とっさに
右手で口元を押さえて無言を貫つらぬいていた）
「似合ってるけど、どうしてカツラを被ってるんだ？」
「男子はカツラって言うけど女子的にはウイッグかな。
この髪型はベリーショートって言って私の場合は、ツー
ブロック刈り上げがポイントなんだよ」
「いやっ。何て言っていいか訳分かんなくなってるんだ
けど俺の質問には答えてないし……」
「焦あせらないの。女性の前で焦った所を見せたら、大人に
なった時に色々と恥はずかしい想いをするんだからねっ。
堀が深くて大きい鼻を持っている色男が台無しだよ！」
「って何の話だよ！　俺たち子供なんだから焦るのは、
仕方ないだろ」
　哀川はコンプレックスだと思っていた所を女性に初め
て褒められたので顔が赤くなった。
「理由は未だ教えないって言ったでしょ！　でも秘密を
一つバラした訳だから秘密を共有できるって事で得した
事にならないかな！？」
　立花は、ウイッグを右脇に挟んだ状態で哀川の左手を
両手で握りしめると真剣な表情で同意を求めた。

「そう言われると確かに二人だけの秘密って事にはなる
から損してる訳じゃないし。だから前向きに考えるよ」
「そう。それは、とっても嬉しい事だわ。お礼に男子が
喜ぶプレゼントをあげるから３０秒位、目をつぶってて」
「何だよ。急に……。でもくれるっていう話を断る理由
は無いから、ありがたく貰う事にするよ！」
（男女が目を閉じてする事って言ったらドラマで観て得
た知識ちしきではキスしかないんだけど！？）　

「女子には心の準備があるから行為が終わったら目を開
けても良い合図をするねっ」
「おう。分かった」
　立花は哀川が目を閉じた事を確認するとタカフミに戻
ってくるように手招てまねきした。