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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

#164.チーム対抗戦の始まり”69”  バトル開始3 決着後の攻防

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「お前の母ちゃん。デベソっ」
 いつケンカが始まっても不思議ではない状況下で
哀川が渾身のネタをぶつけた。
「おっおぃっ。言っていい事と悪い事があるだろう
がぁよ。俺の事はいくら言っても構わないが母ちゃ
んは夜遅くまで働いてて。それをそれを……」
 両手の拳を硬く握りしめて必死にガマンする森元。

「何だ、やっぱりマザコンじゃねぁかよ。キショイ
って!」
 あざ笑うかのように突き放す哀川。その視線は、
あまりにも冷たかった。
「よくも言ったな! 小学生は大体マザコンだろう
がよ。哀川、マジでムカツクわ」
 何で試合に勝った自分がイライラさせれてるのか
状況を理解するのに戸惑っている森元。

「ムカついたら他にやる事があるだろう?」
「何だよ!?」
「いちいち俺に言わせんなってーの。お得意のアレ
でコテンパンにしたらどうかって提案だよ」
 最後は森元にも分かりやすい説明で相手の出方を
待つ。
「ははぁ~ん。さては投げ技でもご希望か?」
「ソレソレ。良いの持ってるらしいじゃん。果たし
て俺に効くかなー?」
 お返しとばかりに哀川はニタニタ顔を披露した。
「おぉーし。その挑戦、受けてやるよっ」
 森元は自分が言い終わるかという絶妙のタイミン
グで哀川の左肩の袖と首元の右側をつかんで中腰に
なりながら相手の、ふところに侵入すると一気に、
背中に担ぎ上げて渾身の背負い投げを放った。

 技のタイミングと掛かり具合は今までで一番かと
思う位に完璧で確かな手応えを感じる森元だった。
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