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第一章:始まりの世界

43.大山家のルール②

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「テレビを見ながらでも怒られないけど食事は一緒にし
ないといけない。家庭教育みたいなものかな?」
「そういうことかもね! でも不思議と”おやつ”にだけ
きびしくないんだよね~」
「父親がおやつ大好き人間だから?」
 弟は姉の言葉を興味深く待つ。
「それもあると思うけど皿を台所のシンクに片づける事
をしないと二度と作らない厳格げんかくなルールがあるじゃない。
でも宿題や勉強をしろと言われるよりは全然苦ぜんぜんくじゃない
し、むしろ率先そっせんして片付けしてるくらいだよね?」
「確かに。それってあめむちってやつ?」
「それはあるかもだけど難しい言葉を知ってるのね? 
どこで覚えたのかは聞かないけど」
 またも静止が入り、二段目をペロリと食べ終わると大
きな目を更に見開いて弟に頼み事を告げる。
「会話してる間に最後の一枚が冷めちゃったから、温か
い一枚と交換するのとバニラアイス持ってきてね!」
「なるほど、そうきましたか。あったか冷たいってやつ
だね!」
「そういうこと」
 名古屋出身の父親が地元で有名な喫茶店きっさてんの中での名物
に、あったか冷たいを売りにしている商品がある事を聞
かされており、それと似た感覚を父親がホットケーキで
再現させて食べた経験があるので姉弟がホットケーキを
食べる定番の儀式となっていた。
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