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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

#133.チーム対抗戦の始まり”55”バトル開始2 再試合

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 チーム内に戻っての休憩が終わった二人が再び、
円板にそろった。堀部は両手を組んだ状態で手首を
回すストレッチを初めて一気に集中力を高めていく
スタイルだが某格闘家のマネである。
 対する鈴木はラジオ体操でも始める位のリラック
スムードで手首を空中でブラブラさせている。

 立花は霞実に視線を向けて保険医の判断を待った。
それを受けて保険医の霞実は、二人の表情と身体の
動きを見て試合再開しても良いと判断したOKサイン
を立花に送った。立花はニヤリと笑い口を開く。

「では保険医のGOサインも出たのでバトル始めっ」
 立花からの試合再開の合図が出ると鈴木よりも、
一瞬早く堀部が動き、鈴木の顔前で両手を打つ動作
をするとパンっと乾いた破裂音が鳴り響いた。すも
うで言う所の”猫だまし”という技で相手をひるませ
て自分の有利になる状況を作り出す戦法で、めくら
ましである。

「あっ」
 今大会、初めての意表を突く有名な技に鈴木は何
が起こったか理解できずに体を動かす事が出来ずに
両手だけが胸前に置かれている状態だった。堀部は
そこを見逃さずに自身の両手で力強く押しきって、
相手を台から落下させる事に成功した。わずか3秒
の出来事だった。

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