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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯115.チーム対抗戦の始まり㊲ 隣のおじさんのコレクション

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「正解だよ。他にも鉄道模型があるよ」
「本当に!? スゴク観たい!!」
「そうかい。じゃあ草笛は今度ひろうするとして、
今から少し見せてあげよう」
 隣のおじさんは後ろ手に持っていた大きめの箱を
地面に置いて収納されてる小箱からNゲージと呼ば
れる手のひらサイズの小型電車を取り出した。
「スゴイっ。まるで本物みたいだね!」
 成功に作られた玩具の電車に驚きを隠せない田中。

「そうだろう。実に良く出来てるんだ。まぁそれな
りに高額だから子供の趣味としては、お勧めしない
んだけどね」
「そっか高いんだー。じゃあ僕の家では無理だねっ」
 表情が暗くなりかけたので隣のおじさんはレール
を手早く組み立て楕円だえん形につなぎ合わせてから電光
掲示板が電源を得ている電源プラグの余りにリール
式の延長コードをつなぎ合わせて、コントロールと
レール間を配線し電源を供給出来る状況を作る。

 田中は、何が始まるかワクワクしながら、じっと
作業を見守っている。
「じゃぁ、電車を乗せるね。今回持ってきたのは、
4両編成の名鉄7000系パノラマカーなんだ。実は、
おじさんは名古屋が地元で名古屋鉄道の人気車両だ
った電車なんだ。」
「へぇーそうなんだ。赤い車両って、やっぱカッコ
イイね!」
「だろっ。しかも、この車両は日本で初めて運転席
が二階になってて前面展望席を設けた特急電車なん
だよ」
 おじさんは円形のスピードコントロールダイヤル
を回して電車をスタートさせた。
「うわぁー。これって自動で走るんだねー」
「うん。そこが最大の魅力かな~。レールも切れ目
無く、ずっと繋がってるから、ずっと見てられるし。
僕はいつか、そんな友達を田中クンにも見付けて、
欲しいと思っているんだ。何、あせる必要は無いし
自宅にはたくさん車両が揃っているから今度遊びに
来ると良いよ」
「うん。そうする。約束だよっ」
「あぁ、じまんの鉄道模型コレクションを見せてあ
げるよ」
 おじさんは指切りげんまんをすると田中にもダイ
ヤルを操作させるべく細かく説明を始めた。

 田中は胸の中がスーッとして嫌な気持ちが吐き出
される感覚になって新たに鉄道模型の魅力を感じ取
っていた。


*Nゲージ=レールの幅が9mmであることから英語
の9(Nine)の頭文字をとって"N(エヌ)ゲージ"
と呼ばれている。基本、縮尺1/150サイズ(新幹線は
異なる)の鉄道模型です。テーブル上や畳1枚の空間
で楽しめるところが人気の商品です。
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