少年と銀貨 第一章：始まりの世界

第一章：始まりの世界 ”チーム対抗戦”

♯８０．チーム対抗戦の始まり② タカフミの裏工作

　約束の時間は午前１０時で現在五分前だった。てっ
きり集団で現れると思われたが陸城だけが登場して、
きたのでギャラリーを含めてザワザワし始めた。

「まさか、一人で戦うってボケじゃないよな？」
　哀川が会話の先制ジャブを放つ。
「団体戦で、それはないよ。確かルールは、５人以上
１１人までだったよな。だから最大で１１人に声を掛
けてある」
「つまり、ちゃんと来るかは分からないわけだな」
　牧村は、もっともな意見を言ってプレッシャーを掛
けていく。
「まぁ、全員来るとは思っていないが１１人でも問題
無いよな？」
「あぁ、ルール上は全く問題ないよ」
　タカフミが真顔で答えると陸城は半分以上は来て欲
しいと思っていた。理由はほぼ半分の５人は陸上部の
メンバーだからだ。

　午前９時５８分、約束の時間の二分前にようやく、
参加メンバーと思われる集団が顔を見せる。
「陸上、わりぃ、こいつらと途中で合流してて遅くな
っちまったわ」
　陸上部の近藤を先頭にゾロゾロと集合場所にメンバ
ーが集まって来る。

　実は、陸城ハヤテが陸上部以外の声を掛けたメンバ
ーをＢ探偵から全員分情報収集しており、事前に大量
のスナック菓子で自宅訪問をし参加の約束を取り付け
ていたのである。現金での勧誘や計画は不正としてい
るが現金以外は問題ないという事でもあった。