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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯78.リカ姐の素朴な疑問③

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「結局、陸上君のサインはどうなったの? 貰えたの?」
 リカがマイカに催促する。
「そこは、この後のチーム対抗戦でハッキリする所だか
ら今は伏せておきますっ」
「何それーーーーっ。めっちゃ意地悪じゃない!?」
 ムキになったリカ姐の顔も可愛いなと思いながら恋の
ライバルとなった時は、かなり手強い相手だとも実感し
たのだった。

「チーム対抗戦が始まるのは分かったから後でちゃんと
聞くけど大山君から告白された事ってあったの?」
「な、何よ。突然に……」
「マイカは不意打ちに弱いタイプだよね!」
「誰でもそうですっ」
「いい加減に、はっきり答えなさいよ」
「まぁ、この際、リカ姐には正直に話すけど一度、告白
されたけど当時は父親殺しの復讐で頭が一杯だったから
断ってて。でも悪い気はしなかったよっ」
「ふぅーーん。じゃぁ今でも好きなんだね!」
「まぁね!」
「でも、マイカって強い人が好きだよね?」
「そうだよ。あぁ、昔の話しかしてないからリカ姐は、
詳しくないもんねっ」
「何よ。その奥歯に物の挟まった言い方は。随分よね~」
 リカは珍しく眉間に皺を寄せる。
「まぁまぁ、怒らない怒らない。中学生の頃から肉体改
造に着手して格闘技に耐えられるだけの身体を高校1年
で、ほぼ鍛え上げて打撃、投げ技を中心として棒術に辿
り着いたのっ」
「えっ何、大山君って棒術使いなの?」
「地元では結構有名で棒を扱わせたら無敵だって言われ
てて清武さんでも勝てないかもって話もある位だよ!」
「嘘っ。そんなに強くなってるの?」
「元々、病弱だったから身体が大きくなって鍛えてから
格闘技を始める計画だったみたいだし差別化として棒術
が一番しっくりきたみたい。それにね。リカ姐には本当
の事、話すけど清武さんって最強を目指してた訳じゃな
いし自分から喧嘩売るような人でもないよね?」
「うん。それは超有名な話で私も知ってるよ。何かある
の?」
 マイカの話術に完全にハマって好奇心が止まらなくな
るリカ。
「実は恋が最優先な人で失恋すると戦闘力が著しく落ち
るんだ。その時に敗戦しても仕返しにいかなしね。その
点、大山くんは、高校2年から超負けず嫌いになってて
卑怯な手で負けたら必ず仕返しにいく程だし女子の身体
を傷付けないのは有名なんだよ」
「清武さんに、そんな弱点があったなんて……」
「何言ってんだかっ」
「人が落ち込んでる時に何よ。その台詞は!」
「宮間さんが本命でしょうが! 強い人が誰よりも好き
なのはリカ姐でしょ!?」
「あはっ。バレてたかっ」
 立花は舌先をペロッと出してる可愛い姿を見ると同性
でも抱きしめたくなる程だった。

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