上 下
178 / 281
第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯78.リカ姐の素朴な疑問③

しおりを挟む
 §§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

 
「結局、陸上君のサインはどうなったの? 貰えたの?」
 リカがマイカに催促する。
「そこは、この後のチーム対抗戦でハッキリする所だか
ら今は伏せておきますっ」
「何それーーーーっ。めっちゃ意地悪じゃない!?」
 ムキになったリカ姐の顔も可愛いなと思いながら恋の
ライバルとなった時は、かなり手強い相手だとも実感し
たのだった。

「チーム対抗戦が始まるのは分かったから後でちゃんと
聞くけど大山君から告白された事ってあったの?」
「な、何よ。突然に……」
「マイカは不意打ちに弱いタイプだよね!」
「誰でもそうですっ」
「いい加減に、はっきり答えなさいよ」
「まぁ、この際、リカ姐には正直に話すけど一度、告白
されたけど当時は父親殺しの復讐で頭が一杯だったから
断ってて。でも悪い気はしなかったよっ」
「ふぅーーん。じゃぁ今でも好きなんだね!」
「まぁね!」
「でも、マイカって強い人が好きだよね?」
「そうだよ。あぁ、昔の話しかしてないからリカ姐は、
詳しくないもんねっ」
「何よ。その奥歯に物の挟まった言い方は。随分よね~」
 リカは珍しく眉間に皺を寄せる。
「まぁまぁ、怒らない怒らない。中学生の頃から肉体改
造に着手して格闘技に耐えられるだけの身体を高校1年
で、ほぼ鍛え上げて打撃、投げ技を中心として棒術に辿
り着いたのっ」
「えっ何、大山君って棒術使いなの?」
「地元では結構有名で棒を扱わせたら無敵だって言われ
てて清武さんでも勝てないかもって話もある位だよ!」
「嘘っ。そんなに強くなってるの?」
「元々、病弱だったから身体が大きくなって鍛えてから
格闘技を始める計画だったみたいだし差別化として棒術
が一番しっくりきたみたい。それにね。リカ姐には本当
の事、話すけど清武さんって最強を目指してた訳じゃな
いし自分から喧嘩売るような人でもないよね?」
「うん。それは超有名な話で私も知ってるよ。何かある
の?」
 マイカの話術に完全にハマって好奇心が止まらなくな
るリカ。
「実は恋が最優先な人で失恋すると戦闘力が著しく落ち
るんだ。その時に敗戦しても仕返しにいかなしね。その
点、大山くんは、高校2年から超負けず嫌いになってて
卑怯な手で負けたら必ず仕返しにいく程だし女子の身体
を傷付けないのは有名なんだよ」
「清武さんに、そんな弱点があったなんて……」
「何言ってんだかっ」
「人が落ち込んでる時に何よ。その台詞は!」
「宮間さんが本命でしょうが! 強い人が誰よりも好き
なのはリカ姐でしょ!?」
「あはっ。バレてたかっ」
 立花は舌先をペロッと出してる可愛い姿を見ると同性
でも抱きしめたくなる程だった。

 §§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

無人島サバイバル〜修学旅行に行くはずだったのに無人島ってどういう事ですか!?〜

アキラ
児童書・童話
 主人公の栗原世衣加ちゃんは修学旅行に行くはずだったのに、無人島に横たわっていた。 修学旅行は諦めて、無人島サバイバルの始まりだ! とテンションの高い世衣加ちゃんだが、他のクラスメイト達の様子と、この世界がおかしいことに気が付き……。

わたしの師匠になってください! ―お師匠さまは落ちこぼれ魔道士?―

島崎 紗都子
児童書・童話
「師匠になってください!」 落ちこぼれ無能魔道士イェンの元に、突如、ツェツイーリアと名乗る少女が魔術を教えて欲しいと言って現れた。ツェツイーリアの真剣さに負け、しぶしぶ彼女を弟子にするのだが……。次第にイェンに惹かれていくツェツイーリア。彼女の真っ直ぐな思いに戸惑うイェン。何より、二人の間には十二歳という歳の差があった。そして、落ちこぼれと皆から言われてきたイェンには、隠された秘密があって──。

うそつきの精霊たち

トノサキミツル
絵本
精霊たちはふわふわと浮かんでは飛んでいく。漂って、流れて、そして言葉を交わす。でもうそばかりついてしまう。それは本当なのか、うそなのかもわからない。あるものはなんども生まれ変わって、うそをついて、自分が言った言葉すら忘れてしまう。

壊れたオルゴール ~三つの伝説~

藍条森也
児童書・童話
※伝説に憧れただけのただの少年が、仲間と共に世界の危機に立ち向かい、世界をかえる物語。 ※第二部第一〇話開始。 ※一二月は第二週、第三週連続公開。一月は六日(月)から開始。 ※第二部一〇話あらすじ  ビーブ、トウナ、野伏、行者、プリンス、〝ブレスト〟・ザイナブ、セシリア……。  ロウワン不在のなか、仲間たちが繰り広げるそれぞれの場所でのそれぞれの戦い。 ※注) 本作はプロローグにあたる第一部からはじまり、エピローグとなる第三部へとつづき、そこから本編とも言うべき第二部がはじまります。これは、私が以前、なにかで読んだ大河物語の定義『三代続く物語を二代目の視点から描いた物語』に沿う形としたためです。  全体の主人公となるのは第一部冒頭に登場する海賊見習いの少年。この少年が第一部で千年前の戦いを目撃し、次いで、第三部で展開される千年後の決着を見届ける。それから、少年自身の物語である第二部が展開されるわけです。  つまり、読者の方としてはすべての決着を見届けた上で『どうして、そうなったのか』を知る形となります。  また、本作には見慣れない名称、表現が多く出てきます。当初は普通に『魔王』や『聖女』といった表現を使っていたのですが、書いているうちに自分なりの世界を展開したくなったためです。クトゥルフ神話のようにまったく新しい世界を構築したくなったのです。そのため、読みづらかったり、馴染みにくい部分もあるかと思います。その点は私も気にしているのですが、どうせろくに読まれていない身。だったら、逆に怖いものなしでなんでもできる! と言うわけで、この形となりました。疑問及び質問等ございましたらコメントにて尋ねていただければ可能な限りお答えします。 ※『カクヨム』、『アルファポリス』、『ノベルアップ+』にて公開。

龍神の化身

田原更
児童書・童話
二つの大陸に挟まれた海に浮かぶ、サヤ島。サヤ島では土着の信仰と二つの宗教が共存し、何百年もの調和と繁栄と平和を享受していた。 この島には、「龍神の化身」と呼ばれる、不思議な力を持った少年と少女がいた。二人は龍神の声を聞き、王に神託を与え、国の助けとなる役割があった。少年と少女は、6歳から18歳までの12年間、その役に就き、次の子どもに力を引き継いでいた。 島一番の大金持ちの長女に生まれたハジミは、両親や兄たちに溺愛されて育った。六歳になったハジミは、龍神の化身として選ばれた。もう一人の龍神の化身、クジャは、家庭に恵まれない、大人しい少年だった。 役目を果たすうちに、龍神の化身のからくりに気づいたハジミは、くだらない役割から逃げだそうと、二年越しの計画を練った。その計画は、満月の祭の夜に実行されたが……。 40000字前後で完結の、無国籍系中編ファンタジーです。

ミズルチと〈竜骨の化石〉

珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。  一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。  ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。 カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。

悪魔図鑑~でこぼこ3兄妹とソロモンの指輪~

天咲 琴葉
児童書・童話
全ての悪魔を思い通りに操れる『ソロモンの指輪』。 ふとしたことから、その指輪を手に入れてしまった拝(おがみ)家の3兄妹は、家族やクラスメートを救うため、怪人や悪魔と戦うことになる!

七不思議解決譚

青西瓜(伊藤テル)
児童書・童話
この小学校には七不思議があり、それを解決して平和な小学校にしたいと思っている緋色。まず一番危険と言われている闇に引き込んで生徒の性格を攻撃的にする七不思議から解決に行こうとすると、目の前は廊下のはずなのに行き止まりになっていた。隣の教室の後ろの扉から入り、前の扉から出て壁を通過できたけども、振り返ると行き止まりにしていた壁が無くなっている。これは壁が増えるという七不思議だということに気付き、じゃあと思って壁の七不思議から解決することに。そこで壁のあやかし・壁太郎と出会い、闇に引き込むあやかしは危険だと止められる。緋色は幼馴染がイジメで転校してしまった話をして、どうしても小学校を平和にしたいということを伝えると、

処理中です...