エルフで聖女で転生者

もぶぞう

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第1章 聖女、働くってよ

第31話 呪物

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やっぱりオフラン王国は滅ぼすべきだと思うシャルテです。
教皇を閉じ込めておく場所が無くなるけど。


オフラン王国がドイテ王国にちょっかいを掛けようとした矢先、オフランにも神罰の噂が入って矛先ほこさきを変えたようなのですよ。
それがわたし。
神罰の一端をわたしがになってるのにね。

わたしを王子の嫁にして取り込むか、ドイテの仕業に見せかけて消してしまうかと相談中ですって。
情弱はこれだから。

オフラン王国第一王子、御年15歳。
わたしの半分以下じゃないですか。
わたしの見た目が20歳以下に見えるとしてもショタっ気は無いのですよ。
しかもキラキラな見た目を自覚してブイブイ言わせてる(古語)鼻持ちならない王子だそうな。

エルフの里を一回見に来いや。
秒で鼻っ柱折られるで?
国ひとつ挟んだだけでエルフに関する情報不足が深刻なのね。
美男美女率高くて主役級の場面にエキストラの一般人が放り込まれた気分よ?

オフランごときがわたしを消せると思ってるのも腹立つわね。
そもそもオフラン王国でエルフ狩りがまだ息をしているのは、そこへ行ったエルフに付いている精霊が少ないせいなのよ?
普段のエルフの周りには5体くらいの精霊が居る。
オフランは精霊が嫌がるので強めの精霊2体くらいしか付いて行かないの。
だから捕まってしまうエルフも出ていたのよ。
数日の内に精霊の知らせを聞いたエルフたちに救出されるけどね。

報酬を得て手元からエルフが離れたエルフ狩りには、後はどうなろうと関係無いのよね。
素早く売ってしまえばエルフ狩りがエルフたちに報復されることは少ない。
直接被害を受けるのは買った貴族や大商人。
エルフたちは救出とオフラン脱出を優先するからね。

ところがわたしには普段山盛りの精霊が付いている。
わたしが変な魔法を使うのを見逃さないようにね。
そして変な魔法で強くなっている。
神罰に使われた水玉溺死のようにね。

オフラン王国内でもエルフ狩りをやり過ごしていたわたしを舐めているわよね。
いざとなったら大精霊だって来てくれるのよ?
暗殺だろうが正面から来ようが撃退するに決まってるじゃない。


わたしをオフラン王国の王城へ迎えれば抵抗できないと思ってるわね。
王城には精霊たちの攻撃目標、精霊除けの呪物が在るのよ。
数百年前精霊を材料として作られたらしいわ。
そりゃあ長が言ったとおり精霊たちは許さないわよね。
いっそ乗り込んで精霊たちの本懐を遂げさせようかしら。
わたし精霊の鎧を脱いでも凄いのよ?
神様と大精霊の弟子ですもの、普通の魔法だって災害レベルなの。


「呪物ですもの、聖女のお仕事よね、シャルテ。」


大精霊も乗り気になるわよ。
シャルロッテさんの治療のときに王城へ行って浄化しちゃえば良かったわね。
城ごと浄化して邪な魂も昇天させてやろうかしら。



「シャルテ、オフラン王国からの招待状よ。」


シャルロッテさんがまた転移陣でやって来た。
使いっ走りにされてない?
枢機卿よね?


「転移陣が使えると早いですね。
招待の理由は何て言って来ました?」


「いえ、特に理由は聞いていないわ。
ドイテの件を聞いてご機嫌伺ではないかしら?」


「精霊情報を使えないとやはり大変ですね。
オフランはわたしを取り込むか消すか、するようですよ。
若いくせに下種ゲスな王子の嫁に成るか、殺されるか選択を迫られるみたいです。

ああ、ご招待に応じて浄化の依頼をこなしましょう。
良いですね、シャルロッテさん、わたしはあくまで浄化しに行くだけです。
お代はドイテ王国ぎわの森を精霊に返すと言うことでお願いしますね。」


ドイテとオフランで分断されてる森なのですよ。
精霊の為に取り返します。


「浄化?
何か浄化を必要とするものがオフランに?」


「シャルテ、あれを壊しに行くの?
乗せて行ってあげましょうか?
わたしもあれは気持ち悪くて嫌だけど、精霊ほど影響は受けないわ。」


白龍さんが参戦するようです。
戦闘系エルフが居ない代わりにドラゴンさんが来ちゃった。
オフラン滅びるかな~。


「お願いできますか、白龍さん。
あれって尖塔にあるらしいじゃないですか。
空中からなら仕事し易いです。」


「そうね、精霊に影響が出易いようにと高いところに置いているの。
精霊はわたしにとって親戚の子も同然。
手伝うわよ。」


「じゃあシャルロッテさん、オフラン王国の王城に避難勧告をしてください。
浄化で何が起こるか分かりませんし、最悪わたしの手に余るようなら白龍さんに城ごと吹き飛ばしてもらいましょう。」


「良いわね、すぐに吹き飛ばしても良いわよ。
精霊を虐める悪い国にはお仕置きが必要よね。」


「え?え?
ついでにエルフ狩りを殲滅する?
え?神も絡んでいる事案なの?
オフランにも神罰なの?」


混乱するシャルロッテさんに神様が更に混乱の種を押し付けた。
エルフ狩りとその背後に居る者たちにも水玉かー。
精霊除けを壊しちゃえば精霊が自由に動けるものね。

シャルロッテさんに詳しく説明をしてオフランに送り出す。
わたしも使いっ走りさせてるわね。

決行は5時間後。
午後3時よ。
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