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第1章 聖女、働くってよ
第18話 ドイテ王国門前1
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シャルロッテさんたちをドイテの門まで送るシャルテです。
ドイテ王国に近い方が危険が有るってどうなのよ。
エルフの里から馬車に乗り、結界を出てすぐに町の結界に入ったから、それを出るまでが安全なのは当たり前だけどね。
女性3人の馬車なので念の為の護衛です。
エルフが乗っていると分かれば襲わないはずなんで。
それも時間が経てばエルフの反撃を忘れたり大げさとか思ったりする奴が出て来るのでしょうね。
次にエルフが襲われるようなことがあれば、町の中に忘れられないような傷跡を残しておきましょうかね。
何となくその機会は近そうなのだ。
先程精霊が森に隠れている男たちの存在を教えてくれた。
シャルテの姿を見た為か動こうとはしないのだけれど。
シャルロッテさんたちだけで帰さなくて正解だったかな。
「ドイテ王国国境の門が見えている距離なのに何でしょうね。
まだ7日経ってないのでシャルロッテさんたちを狙ったとも思えないのですけど。」
御者台に一緒に座っているブリジットさんには状況を話している。
車内のシャルロッテさんたちにも聞こえているかもしれない。
一応わたしたちを襲ってくることもあるかと思ってね。
「そうですね、わたしたちを狙っているなら町に戻った護衛の動きが見張られているでしょうから、今日わたしたちが戻って来るとは思われませんよね。
ここでエルフの方を襲う者が居るとは思いませんし。
こちらの先にはエルフの里しかありませんよね。
里へ行く商人を狙ったとか、狩りや採取に出る者を狙ったか、ですか。」
「それにしても門に近過ぎます。
門番がグルならわたしたちが来る前から隠れている意味は無いでしょう?
ああ、今、門から女性がひとり放り出されました。
彼女を受け取りに来たのですかね。
彼女は国外追放されたようです。
こちら側の門で国外追放なんてエルフの里へ行けと、無理を承知の上なのですね。
やはり彼女を受け取る為の男たちでしょう。
彼女の身内なのか、別の何かなのかが分かりませんね。」
「国外追放されるような罪人なら精霊がエルフの里へ行かせませんよね。
やはり身内が秘密裏に保護するのでは?」
「それにしては馬車や馬は連れていませんよ?
森の中に隠れているのですからね。
ここからドイテ以外の国に入るには10日以上掛かりますよね。
転移を使えそうな者は居ないみたいですし、そんな魔道具の気配も無いそうです。
そうなると、ここで彼女を始末する可能性が一番高いですね。
精霊は彼女を犯罪者と判断していないようです。」
んん?
ちょっと気になる精霊情報が。
「犯罪者ではないけれど、国外追放ですか。」
「精霊の判断ですからね。
人の判断とは違うのですよ。
国外追放となる程の重罪だと、例えば不敬罪ですかね。
精霊には人の中での身分なんて関係無いですから犯罪だと判断されませんね。
座り込んでいる彼女の横に行ったらわたしが保護しますね。
身内は近くに居たようです。
馬車は止めずに門の中へ行ってください。」
「え?シャルテさん、何を!」
馬車を飛び降りただけじゃないですか。
「あなた、大丈夫?
とりあえず、ヒール。」
BEERじゃないよ?
「エミリアたん、んんっ、さんね?
エミリアはたった今から聖女シャルテの保護下に入ります。
エミリアに手を出すことはエルフと精霊と神殿に敵対することと知れ。」
門番や森の中の男たちに聞こえるようにわたしが宣言した。
「エミリア!」
シャルロッテさんが馬車から飛び出して来た。
わたしは門から出ないよう手振りで指示する。
「おばさま!!」
シャルロッテさんの姪っ子なんですって。
エミリアさんを門に近付かないように制した。
「シャルロッテさん、門番に護衛を呼んでくるように指示して。
あの話は今は無しです。
ドイテ王国はわたしの敵になるかもしれません。」
門番たちが怯えているけれど、今はまだ敵じゃないよ?
「さて、門番さん。
わたしが立っているこちら側はドイテ王国ではありませんね?
わたしが森の中の不審者を攻撃してもドイテ王国はわたしに手出しできないと言うことで合ってますね?」
無言で頷いた門番に頷きを返して森へと視線を移した。
「聞いたとおり、わたしがあなた方を攻撃しようとドイテ王国で罪には問われません。
ただしあなた方がわたしとエミリアを攻撃するとエルフ総掛かりで反撃することとなります。
エルフが来る前に精霊が攻撃しますけどね。
不公平ですが、こんな場所を選んだ黒幕を恨んでください。
逃げようとする者は精霊が攻撃しますから大人しくこちらへ来て投降することをお勧めします。」
ぞろぞろと5人の男が出て来た。
もうひとり居るはずよね。
「まだ隠れているのは拘束して持って来て。」
蔦に巻かれた男が飛ばされてきてわたしの前に落ちた。
精霊によればマルケスと呼ばれたリーダーらしい。
「あなたがリーダーのマルケスですか。
何故森の中に隠れていたのか話して頂けますか?
大丈夫、足の2・3本は聖女であるわたしが治しますから、お話してくれるまで切り落としてみましょう。
欠損の治療はまだしたことがありませんが、これからの為に試しておくことにします。
面倒なので全員の足を切って順番に治して行きましょうか。
6人も居ればきっと成功することもあるでしょう。
順番が来るまで死なないでくださいね?
じゃあ、あっちの人から切り落として、精霊。
リーダーもついでにね。
リーダーの治療は最後にしましょう。」
「ま、待て、話す、話すから。」
「ではどうぞ。」
「その女を殺すように頼まれたんだ。」
「誰に頼まれました?」
「その女を連れて来た騎士だ。」
「おお、見た目の割に正直に話すものですね。
精霊の情報と一致しました。
このまま解放するとその騎士に口封じされると思いますけど、どうしましょうか。
確認の為か、まだこの町に居るようですよ?」
ドイテ王国に近い方が危険が有るってどうなのよ。
エルフの里から馬車に乗り、結界を出てすぐに町の結界に入ったから、それを出るまでが安全なのは当たり前だけどね。
女性3人の馬車なので念の為の護衛です。
エルフが乗っていると分かれば襲わないはずなんで。
それも時間が経てばエルフの反撃を忘れたり大げさとか思ったりする奴が出て来るのでしょうね。
次にエルフが襲われるようなことがあれば、町の中に忘れられないような傷跡を残しておきましょうかね。
何となくその機会は近そうなのだ。
先程精霊が森に隠れている男たちの存在を教えてくれた。
シャルテの姿を見た為か動こうとはしないのだけれど。
シャルロッテさんたちだけで帰さなくて正解だったかな。
「ドイテ王国国境の門が見えている距離なのに何でしょうね。
まだ7日経ってないのでシャルロッテさんたちを狙ったとも思えないのですけど。」
御者台に一緒に座っているブリジットさんには状況を話している。
車内のシャルロッテさんたちにも聞こえているかもしれない。
一応わたしたちを襲ってくることもあるかと思ってね。
「そうですね、わたしたちを狙っているなら町に戻った護衛の動きが見張られているでしょうから、今日わたしたちが戻って来るとは思われませんよね。
ここでエルフの方を襲う者が居るとは思いませんし。
こちらの先にはエルフの里しかありませんよね。
里へ行く商人を狙ったとか、狩りや採取に出る者を狙ったか、ですか。」
「それにしても門に近過ぎます。
門番がグルならわたしたちが来る前から隠れている意味は無いでしょう?
ああ、今、門から女性がひとり放り出されました。
彼女を受け取りに来たのですかね。
彼女は国外追放されたようです。
こちら側の門で国外追放なんてエルフの里へ行けと、無理を承知の上なのですね。
やはり彼女を受け取る為の男たちでしょう。
彼女の身内なのか、別の何かなのかが分かりませんね。」
「国外追放されるような罪人なら精霊がエルフの里へ行かせませんよね。
やはり身内が秘密裏に保護するのでは?」
「それにしては馬車や馬は連れていませんよ?
森の中に隠れているのですからね。
ここからドイテ以外の国に入るには10日以上掛かりますよね。
転移を使えそうな者は居ないみたいですし、そんな魔道具の気配も無いそうです。
そうなると、ここで彼女を始末する可能性が一番高いですね。
精霊は彼女を犯罪者と判断していないようです。」
んん?
ちょっと気になる精霊情報が。
「犯罪者ではないけれど、国外追放ですか。」
「精霊の判断ですからね。
人の判断とは違うのですよ。
国外追放となる程の重罪だと、例えば不敬罪ですかね。
精霊には人の中での身分なんて関係無いですから犯罪だと判断されませんね。
座り込んでいる彼女の横に行ったらわたしが保護しますね。
身内は近くに居たようです。
馬車は止めずに門の中へ行ってください。」
「え?シャルテさん、何を!」
馬車を飛び降りただけじゃないですか。
「あなた、大丈夫?
とりあえず、ヒール。」
BEERじゃないよ?
「エミリアたん、んんっ、さんね?
エミリアはたった今から聖女シャルテの保護下に入ります。
エミリアに手を出すことはエルフと精霊と神殿に敵対することと知れ。」
門番や森の中の男たちに聞こえるようにわたしが宣言した。
「エミリア!」
シャルロッテさんが馬車から飛び出して来た。
わたしは門から出ないよう手振りで指示する。
「おばさま!!」
シャルロッテさんの姪っ子なんですって。
エミリアさんを門に近付かないように制した。
「シャルロッテさん、門番に護衛を呼んでくるように指示して。
あの話は今は無しです。
ドイテ王国はわたしの敵になるかもしれません。」
門番たちが怯えているけれど、今はまだ敵じゃないよ?
「さて、門番さん。
わたしが立っているこちら側はドイテ王国ではありませんね?
わたしが森の中の不審者を攻撃してもドイテ王国はわたしに手出しできないと言うことで合ってますね?」
無言で頷いた門番に頷きを返して森へと視線を移した。
「聞いたとおり、わたしがあなた方を攻撃しようとドイテ王国で罪には問われません。
ただしあなた方がわたしとエミリアを攻撃するとエルフ総掛かりで反撃することとなります。
エルフが来る前に精霊が攻撃しますけどね。
不公平ですが、こんな場所を選んだ黒幕を恨んでください。
逃げようとする者は精霊が攻撃しますから大人しくこちらへ来て投降することをお勧めします。」
ぞろぞろと5人の男が出て来た。
もうひとり居るはずよね。
「まだ隠れているのは拘束して持って来て。」
蔦に巻かれた男が飛ばされてきてわたしの前に落ちた。
精霊によればマルケスと呼ばれたリーダーらしい。
「あなたがリーダーのマルケスですか。
何故森の中に隠れていたのか話して頂けますか?
大丈夫、足の2・3本は聖女であるわたしが治しますから、お話してくれるまで切り落としてみましょう。
欠損の治療はまだしたことがありませんが、これからの為に試しておくことにします。
面倒なので全員の足を切って順番に治して行きましょうか。
6人も居ればきっと成功することもあるでしょう。
順番が来るまで死なないでくださいね?
じゃあ、あっちの人から切り落として、精霊。
リーダーもついでにね。
リーダーの治療は最後にしましょう。」
「ま、待て、話す、話すから。」
「ではどうぞ。」
「その女を殺すように頼まれたんだ。」
「誰に頼まれました?」
「その女を連れて来た騎士だ。」
「おお、見た目の割に正直に話すものですね。
精霊の情報と一致しました。
このまま解放するとその騎士に口封じされると思いますけど、どうしましょうか。
確認の為か、まだこの町に居るようですよ?」
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