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プロローグ
第1話 シャルテ、オフラン王国へ行く
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わたしことシャルテはオフラン王国の王都パルに来ていた。
住んでいた里から1月ちょっと。
いやー、大変な旅だったわ。
何てったって里から離れる程に増える誘拐犯。
珍しいエルフを攫って売っぱらおうって輩の多いこと。
里に近い間は、エルフを襲えばエルフ総出で報復されると知っているからか平和な道行きだった。
精霊に通報されて皆すっ飛んで来てくれるからね。
里から国ひとつ挟んでオフランに入ってからが酷かった。
1日に1度なら平和な方。
酷い時には3度襲われてた。
貴族や大商人に目を付けられたりとしつこい犯罪者が多い国なん?
その度に撃退してきたのだけれど、ちゃんと有力な目撃者を用意してるところが創造神様の加護を持つわたしの運の良さ。
貴族相手でも正当防衛が認められる状況になるのできちんと反撃してあげた。
その神のお願いでやって来たパルの神殿。
「おーい、神様、来たよー。」
わたしの気安い言いように神官が注意しようとして留まった。
神像がわたしの声に応えて輝き出したのだ。
「ちゃんと目撃者用意してくれて助かったわ。
何なのこの国、滅ぼした方が良いんじゃない?
精霊たち総出で反撃しそうで宥めるのが大変だったんだから。
次あたりは皆殺しにしそうよ?
え?そうなの?まあ良いけど。
で?そのシャルロッテさんに会えば良いのね?
この神殿に居るのね?
似た名前の誼でちゃんと治すわよ。」
傍から見るとシャルテがひとりで話しているようだけれど、ちゃんと神様と対話してるのだ。
「ちょっと、そこの神官。
シャルロッテさんの部屋に案内して。
ほらほら、神様からの依頼だと聞こえて……はいないんだっけ、でも分かったでしょう?
早くしなさいよ。」
戸惑いながらもわたしの気迫に追われるように案内する神官。
神様の声が全員に聞こえないってのも不便ね。
「んー、毒かー。
宗教者もドロドロしてるのね。
肝臓もやられてるわね。
まあ、まだ間に合うか。」
シャルロッテさんの部屋に入って本人を鑑定した。
「アンチドーテ。」
わたしが唱えるとシャルロッテさんの全身が輝いた。
「ヒール。」
シャルロッテさんのお腹に手を当て肝臓と腎臓を癒す。
さっきよりは弱い光がシャルロッテさんに吸い込まれて行った。
鑑定して健康になったことを確認して声を掛ける。
「シャルロッテさん?
ご飯食べて体力取り戻してね。」
「ありがとう、聖女様。
さっきの会話はわたしにも聞こえていたわ。
似た名前の誼でこれからもよろしくね。」
目を開けたシャルロッテさんが答えた。
わたしの声まで届いてたとか高性能な盗み聞き、いえ、神託だな。
「エルフが聖女だと!
わたしは認めん!」
わたしを案内した神官とは別の太った神官が叫んだ。
「あらあら、神様、上司の許可はちゃんと取らないとダメでしょう。
それにしても神殿に創造神様の上司が居るとは思わなかったわ。
顕現できる程凄い神なのね?」
「いやね、あんなのが神だったら世界は終わるわ。」
シャルロッテさんもわたしの嫌味に乗って来た。
「でも、神様の判断を認めないとか言っちゃうんだから、さぞかしお偉いのでしょう?
あのデブり具合からして、独自の賄賂、んんっ、お布施を集めてるみたいだし。
せっかく顕現してるのだから民衆の治癒はこの方にすべてお任せしましょう、そうね、それが良い。
エルフなんかが治癒するよりきっと効果が高いわ。」
「ダメよ。
わたしに毒を盛るような人よ?
それに治癒の魔法は使えない神官もどきなの。」
お前かー、シャルロッテさんに毒を盛ったのはお前かー。
「うわっ、疫病神だった。
部屋には毒や裏帳簿がありそう。
私財を投げうってもらってハイポーションを配らせましょう。
疫病神が配るハイポーションでは酷い病気になりそうだけど。
あれか。
貴族がやらかして神殿預かりになるってシステム。
犯罪者はちゃんと牢に入れないと神殿で反省なんてしないよね。
そんなんで済ませてるから罪重ねちゃうんじゃない。
神殿に匿ってもらったくせに創造神様より偉そうなこと行ってたら首よね?」
「そうね、わたしが倒れている間に創造神様に教えて頂いたわ。
そのおデブがわたしに毒を盛ったと。
聖女様の邪魔をしそうな者は排除するようにも言われたし、最初のひとりね。
誰か、その者を拘束して部屋を捜索しなさい。
神殿に身を置く者として、先ほどの創造神様と聖女様に対する暴言は許されないことです。
聖女様も後ほど聖女を識別する水晶に触れて皆に知らしめておいてくださいね。
それでその者の罪は確定します。
王家の依頼で預かっていたから追い出すのに苦労しましたが、聖女様が来てくださって良かったわ。
神様の判断に異を唱える者として排除し易くなりましたね。」
シャルロッテさんは枢機卿でお偉い方なんだそうな。
エルフ差別を利用する気だね。
それで奴隷として売っぱらう気の奴が減ると良いけど。
住んでいた里から1月ちょっと。
いやー、大変な旅だったわ。
何てったって里から離れる程に増える誘拐犯。
珍しいエルフを攫って売っぱらおうって輩の多いこと。
里に近い間は、エルフを襲えばエルフ総出で報復されると知っているからか平和な道行きだった。
精霊に通報されて皆すっ飛んで来てくれるからね。
里から国ひとつ挟んでオフランに入ってからが酷かった。
1日に1度なら平和な方。
酷い時には3度襲われてた。
貴族や大商人に目を付けられたりとしつこい犯罪者が多い国なん?
その度に撃退してきたのだけれど、ちゃんと有力な目撃者を用意してるところが創造神様の加護を持つわたしの運の良さ。
貴族相手でも正当防衛が認められる状況になるのできちんと反撃してあげた。
その神のお願いでやって来たパルの神殿。
「おーい、神様、来たよー。」
わたしの気安い言いように神官が注意しようとして留まった。
神像がわたしの声に応えて輝き出したのだ。
「ちゃんと目撃者用意してくれて助かったわ。
何なのこの国、滅ぼした方が良いんじゃない?
精霊たち総出で反撃しそうで宥めるのが大変だったんだから。
次あたりは皆殺しにしそうよ?
え?そうなの?まあ良いけど。
で?そのシャルロッテさんに会えば良いのね?
この神殿に居るのね?
似た名前の誼でちゃんと治すわよ。」
傍から見るとシャルテがひとりで話しているようだけれど、ちゃんと神様と対話してるのだ。
「ちょっと、そこの神官。
シャルロッテさんの部屋に案内して。
ほらほら、神様からの依頼だと聞こえて……はいないんだっけ、でも分かったでしょう?
早くしなさいよ。」
戸惑いながらもわたしの気迫に追われるように案内する神官。
神様の声が全員に聞こえないってのも不便ね。
「んー、毒かー。
宗教者もドロドロしてるのね。
肝臓もやられてるわね。
まあ、まだ間に合うか。」
シャルロッテさんの部屋に入って本人を鑑定した。
「アンチドーテ。」
わたしが唱えるとシャルロッテさんの全身が輝いた。
「ヒール。」
シャルロッテさんのお腹に手を当て肝臓と腎臓を癒す。
さっきよりは弱い光がシャルロッテさんに吸い込まれて行った。
鑑定して健康になったことを確認して声を掛ける。
「シャルロッテさん?
ご飯食べて体力取り戻してね。」
「ありがとう、聖女様。
さっきの会話はわたしにも聞こえていたわ。
似た名前の誼でこれからもよろしくね。」
目を開けたシャルロッテさんが答えた。
わたしの声まで届いてたとか高性能な盗み聞き、いえ、神託だな。
「エルフが聖女だと!
わたしは認めん!」
わたしを案内した神官とは別の太った神官が叫んだ。
「あらあら、神様、上司の許可はちゃんと取らないとダメでしょう。
それにしても神殿に創造神様の上司が居るとは思わなかったわ。
顕現できる程凄い神なのね?」
「いやね、あんなのが神だったら世界は終わるわ。」
シャルロッテさんもわたしの嫌味に乗って来た。
「でも、神様の判断を認めないとか言っちゃうんだから、さぞかしお偉いのでしょう?
あのデブり具合からして、独自の賄賂、んんっ、お布施を集めてるみたいだし。
せっかく顕現してるのだから民衆の治癒はこの方にすべてお任せしましょう、そうね、それが良い。
エルフなんかが治癒するよりきっと効果が高いわ。」
「ダメよ。
わたしに毒を盛るような人よ?
それに治癒の魔法は使えない神官もどきなの。」
お前かー、シャルロッテさんに毒を盛ったのはお前かー。
「うわっ、疫病神だった。
部屋には毒や裏帳簿がありそう。
私財を投げうってもらってハイポーションを配らせましょう。
疫病神が配るハイポーションでは酷い病気になりそうだけど。
あれか。
貴族がやらかして神殿預かりになるってシステム。
犯罪者はちゃんと牢に入れないと神殿で反省なんてしないよね。
そんなんで済ませてるから罪重ねちゃうんじゃない。
神殿に匿ってもらったくせに創造神様より偉そうなこと行ってたら首よね?」
「そうね、わたしが倒れている間に創造神様に教えて頂いたわ。
そのおデブがわたしに毒を盛ったと。
聖女様の邪魔をしそうな者は排除するようにも言われたし、最初のひとりね。
誰か、その者を拘束して部屋を捜索しなさい。
神殿に身を置く者として、先ほどの創造神様と聖女様に対する暴言は許されないことです。
聖女様も後ほど聖女を識別する水晶に触れて皆に知らしめておいてくださいね。
それでその者の罪は確定します。
王家の依頼で預かっていたから追い出すのに苦労しましたが、聖女様が来てくださって良かったわ。
神様の判断に異を唱える者として排除し易くなりましたね。」
シャルロッテさんは枢機卿でお偉い方なんだそうな。
エルフ差別を利用する気だね。
それで奴隷として売っぱらう気の奴が減ると良いけど。
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