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第二百五十三話
しおりを挟むミランダが王城へ事前チェックの話をしに行くと、ショッピングセンターのアンテナショップの選考をお願いされたそうだ。
あちこちの領地から特産品をぜひショッピングセンターに置きたいと言う陳情が王へと来ていたらしい。
一商会の運営なのだから王の指図を受ける義理は無いけど、ミランダは折れたそうだ。
何の忖度も無しに審査する許可だけはしっかりもらったらしい。
前もって用意されていたのか、昨日の今日でその審査が行われる。
場所は王都の商会にあるホール。
10以上の貴族が自慢の品を持ち寄って並べている。
さすがに精霊さんチェックを通れる者たちを用意していたようで、入るのにトラブルは無かった。
門前払いになるような失態は避けるわな。
何か良さ気な食材は無いかと俺も参加しているのだけれど、珍しいものは無かった。
と言うか、こいつら売り込む気は有るのか?
ただ、特産品をテーブルに並べているだけで良さをアピールすることも無い。
ほとんど、他の地でも採れるものばかりなのだから、取り立ててその領のものを選ぶ必要は無いじゃん。
一通り説明を聞いたけど、それじゃあ採用されないだろう。
と言うことで、他とは違って試食品を用意している領に詳しく話を聞く。
多分、さつまいも?
蒸かしたものが皿に乗っている。
他の食べ方はしてないんかい。
自信無さそうに説明しているのは領主本人らしい。
「これはどのくらい獲れますか?
多分かなり売れることになると思いますよ?
ナギサさんが興味を引かれていますから。」
ミランダにはお見通しだった。
俺の中では既に干し芋と大学イモを作るのが決定されている。
蒸かしたイモをもらってカットしてから魔法で乾燥させる。
「これは安上がりなお菓子になりそうです。
砂糖は使っていないのですよね?」
大学イモと違って干し芋はそのままだな。
お菓子にも使えるしさつまいもは採用だろう。
温かいこの国の気候的に合わないかもしれないけど、焼き芋だって有るし。
「蒸かしてカットして乾燥させれば良いのだな?」
一応お忍びの体で来ている王が干し芋を気に入ったようだ。
この国では農民が主食にしているくらい獲れるらしい。
売って普通の食事になると良いね。
「陛下、一応干し芋は商業ギルドに登録しますからね?
簡単とは言え新しいレシピになりますから。
他の調理法も登録しますから活用してくださいませ。」
まあ安い使用料で良いけどな。
ドライフルーツとかも登録できるか?
そう言えば干し柿も見てないな。
お野菜ダンジョンで出せるかな?
果物ダンジョンの方か?
「これが売れるだけで農民も助かるだろう。
わたしでは乾燥ができないのだが、普通に干しても良いのだろう?」
おやおや、王はドライの魔法が上手く使えないのかい。
王や側近が試しているけど俺の作ったものとは同じにならないようだ。
俺の場合創造魔法が混ざってるかもしれないけどな。
まあ普通の干し芋は天日干しだわ。
「他の領主の方々もご利用くださいませ。
恐らくこちらの領で獲れる分だけでは足りなくなりますから、各地から買い取れると思います。
どこの領地でも作られていますよね。」
アンテナショップっぽく無いけどこの領主さんが店を出すことになりそうだ。
各地でおいも屋さんができそうだけどな。
王たちが失敗したものは追加の乾燥をさせて炙ってあげよう。
「おお、干し芋を炙っても良いのだな。
王城への納入も頼むぞ。」
領主さんの最初のお客は王だった。
これだけでも売り文句にできるだろう。
「あと2店舗ほど余裕が有りますが、どうしましょうか。
むしろ普段使っていないものや食べていないものを持って来てもらって、ナギサさんに見てもらった方が良いかもしれませんね。」
皆が持って来たものはありふれたものだったからな。
特産と呼べるのか怪しいだろう。
何かの新しい使い方を見付けないとダメかね。
まあ使ってないものなんて今日は持って来てないだろうから別の日だな。
王城で何か見繕ってくれたまえ。
「それで、カツサンドとやらを食べたいのだが、有るか?」
王妃からカツサンドの話を仕入れていたのか。
お忍びで来たと思ったらそれが目的だったか。
全然忍んでいないけどな。
思いっきり護衛を連れてどこがお忍びだよ。
ちなみに王妃は完成したばかりの王都路線を有効利用して日帰りエステを堪能したそうだ。
開業前だから貸し切り車両で直通運転したらしい。
折角なので集まった各地の領主にもカツサンドを出した。
お代は王城につけておきますね。
皆、ちゃんとクリーンを使いこなしているので手掴みでも抵抗が無いようだ。
干し芋を手掴みで食べたのだから今更か。
王都の商会でも売ってるからよろしくね。
オークはフェンリルが張り切って狩って来るから大量に有るのよ。
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