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第二百五十二話

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まだ鉄道は正式には開通していない。
今のところ予定している、ショッピングセンターからうちの里、領都カッセル、領都スプリング、王都の4路線を敷いたが従業員たちの訓練がまだ終わっていないからだ。
訓練中だと承知した者だけは体験乗車できてはいるが。

その一環として王妃一行が王都からショッピングセンター経由で里まで来る。
予約したとは言え、訓練中なので本来の半額だ。
連れている貴族夫人たちも常連さんらしく精霊さんチェックは通るようだ。
これからは新規さんを連れて来る場合もあるだろうから、事前にエルフさんがチェックした方が良いよね。
駅に来て入れませんでは貴族の面子が丸潰れだろう。
王妃が連れて来ようとするほどの人なのだから信頼はしているはず。
事前に怪しい貴族は排除されているだろうから浄化の問題で済むかもしれない。
ならば事前に調べて必要ならば浄化を受けてもらう方が角が立たない。

浄化の問題でないのなら王城にチクっておけば良いだろう。
精霊さん情報で概要は分かるのだから旦那がアウトならばそっちを潰してもらえば良い。
縁が切れれば夫人は通れるようになるかもしれないのだ。
その時点でエステが不要になるかもしれないけどな。

「事前に王妃様に貸しているマンション、と言うか王都の商会へ入れるかどうかを試してみれば良いでしょう。
あそこに入れるならばあとは精霊樹に近付くための浄化だけで済むはずです。」

ミランダの案を採用。
王妃か側近に言っておくそうだ。
商会になら大概エルフさんも居るしな。
瘴気レベルを測れる魔道具とか作れないものかね。
王都辺りだと周辺に漂う瘴気が有るから個人の瘴気は特定できないか?

精霊さんに赤黄青の灯りで知らせてもらうとか?
浄化以外の問題なら赤く灯してもらって。

エルフさんひとり居れば済む話だけどな。

大体、商会に入れなかった者たちから精霊さんによって悪事がバレると言う噂が広がっているはずだ。
それならば心当たりの有る旦那が夫人を止めるかな?
夫人たちも入れないと言う恥をかく前に旦那に確認するか?
貴族の正常化に役立ってそうだな。

「入れなかった貴族令嬢は縁談にも響きそうですから影響は大きいですね。
どこかで内密に事前チェックできる場所を作った方が良いですよね。
友人とご一緒に商会へ来て、入れなかったとなれば王都に居られなくなります。
本人のせいならともかく、親の罪で弾かれてしまうのは可哀そうです。」

親が罪人なら貴族令嬢で居られなくなるかもしれないけどな。
それでも友人の前で明らかに成るのは避けたいか。
内密な事前チェックはニーズが有りそうだな。
問題はそれ用の店を作ると内密で無くなりそうなところか。
絶対出入りする貴族を見張る奴が出るよな。
少しでも弱みを握ろうとする奴が。

王都の教会でエルフさんに常駐してもらうか?
そのまま浄化もできるし。
逆か、念のための浄化に来て別室に入ったところでチェックを受ける、と。
そうすれば風評被害も出ないだろう。
王都なんて浄化が必要な人だらけだからな。

見える距離に精霊樹が育ってマシになったとは言え、王都は人も多いし浄化は必要だ。
地方から出て来た貴族なら尚更だろう。
エステや俺製の服で完全浄化された人を見ているだろうから、浄化の必要性も分かっているはず。
内密にチェックを受ける言い訳には十分だな。

「親の罪ならば令嬢は里で保護しましょう。
王都のグリエール邸で保護している間に王城に親の対処をして頂ければ良いでしょう。
その間に里へ入れるように浄化できますし。
早めに確保するためにも事前のチェックは必要ですね。
いざとなったらナギサさんの嫁にしてしまえば良いのです。」

ミランダまで嫁を増やす派かい。
まあお家が潰されると令嬢の末路はヤバそうだから保護することは反対しないけど。

「陛下にもその方針をお伝えしておきますね。
いずれ全貴族のチェックを依頼されるかもしれません。
男性は団地に送れば良いですよね。」

男は里に入れないからな。
難民たちと一緒に手に職を付けてもらおう。
団地を治める役人にしても良いし。

王城にチェックするエルフさんの人件費を持ってもらおう。
保護に掛かる費用は別途相談だな。
今更潰されるほどの貴族が残っているとも思わないけれど、まだ成り立ての王だし、前王はちゃんと治めてなかったようだしチェックが行き届いてないかもしれないな。

「商会に入れない夫人が多いのですからまだ潰し切れていないのでしょう。
対応する商会員も大変なのですから、早く一掃して欲しいですわ。」

精霊さんチェックで弾かれた人の対処は大変だわな。
相手は貴族が多いのだし。
商会長ミランダの侯爵と言う威光が有るにしろ、商会員は平民だらけだからな。
意趣返しに町中で襲われても鍛えられた商会員なら勝てるのだろうけど、後処理が面倒だし。

親が断罪されて、即、令嬢たちがチェックを通れるようになるものかね。
その辺の仕様も確かめて行くしかないか。

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