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第二百四十二話
しおりを挟む爺さん率いる教会では他の3つの大陸の教会の状態を知るために神官を派遣している。
まだ日数が経っていないので大した報告は無いらしいけど、おおよそ10歳に成ったときの祝福屋さんになっていて治癒などの力は衰えているそうだ。
大陸が瘴気に侵されているから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
神官に限らず全体的に能力が落ちているらしいしな。
そんな中で先代の神を未だに祀っている一派が有るらしい。
代替わりしていることは承知だそうだ。
人族なのだからアマリア様に代わってから数代経っているだろうに何か特別な恩でも有るのだろうか。
「さてのう。
まだ詳しくは調べられておらんようじゃ。
先代の末期には精霊樹がすべて無くなってしもうたのじゃから、良い印象を残しては居らんはずなんじゃがの。」
精霊樹を巡るエルフさんと人族の対立を押さえられなかったのか。
神罰を降らせたりしなかったのね。
むしろ神罰を降らせなかったから感謝されてる?
人族の味方だったとでも思われたかね?
「なるほど、精霊樹の素材で何か得をしたのかもしれんのう。
別に人族を贔屓した神とは聞いておらんがの。」
そこら辺はその一派を作った人たちがどう感じたかで脚色されちゃうからな。
特に自分たちが優遇されたとか、自慢気に語りそうだ。
「それは有りそうじゃのう。
自分たちに都合の良いことだけはしっかり言い残すじゃろうからの。
アマリア様に祝福を頂いておることは丸っきり無視かのう。」
邪魔になるようなら祝福取り消しとかのアマリア様からの神罰は有りそうだけどな。
先代に頼ろうとしても力は取り上げられて俺に分け与えられているのだから無理だし。
いくら祈っても先代は既に神ではなくなってる。
祈ったら俺に力が流れて来るかも?
「それなら放置しておいても良いのじゃがのう。
万が一過去と同じように精霊樹に手を出すのなら、エルフたちが叩きのめすのじゃろう?
瘴気に塗れている現状を理解していないならば滅びるしかないのう。」
実際にはどのくらいの勢力なのかも分かっていないらしい。
爺さんたちが布教して消し飛ぶようなら良いけどな。
俺らの居る大陸との差を感じれば矯正できるかもしれない。
戦力差として示さなければいけなくなると面倒だ。
特に後始末の浄化が。
「ナギサさん、鉄道がカッセルまで繋がりましたので車両をください。」
ミランダたちは既に鉄道延伸を済ませたようだ。
精霊樹の発芽でエルフさんの協力が減っただろうに早かったな。
商会の人員もレベルが上がって建設に慣れたのだろうか。
「各地でマンションを建てていますから人員は豊富に居ます。
次はスプリング領領都、その後に王都と繋ぐ予定ですわ。
発芽を終えて協力してくれるエルフたちも増えるでしょうから、王都までは一気に繋げてしまいます。」
王都行きは一本孤立したままで、グリエール領とスプリング領内は網の目のように繋げて行くか。
関わる人員の育成のためにしばらくは試験運行で行くしかないけど。
「王城からも鉄が納入される予定ですので、材料が不足することは無いでしょう。
便数も増やす予定ですから車両は沢山作ってくださいね。」
レールは作れるようになったらしいから、車両も有る程度は任せようかな。
とりあえず台車だけ作って箱は自由に作ってもらうか。
王都の路線以外は貴族の利用は少ないだろうし。
特にエルフさんたちが自前で全部作れるようになりたいみたいだ。
やっぱり地元に鉄道を敷くつもりか?
先日はエルフさん製の自動車を見せてもらったし、全部作れるようになりそうだな。
馬車のイメージが抜けていなかったせいか、T型っぽくなってたけど。
この世界の町ではこっちの方が合うかもしれない。
今は飛行機を作ってるらしい。
俺製のやつは分解しないでね?
大体創造魔法のお陰で一体型で作られてるから切断しないと分解にならないし。
ゴムとか一部はまだ俺しか作れないけれど、エルフさんの里では自転車が流行ってるらしい。
その内エルフさんたちが輸出するようになるのだろうか。
環境に優しい工業製品なので良いけど。
あとは駅ビル用にエスカレーターを設置しに行かなくては。
まだ皆は作れないらしい。
これも部品ごとに見本を置いた方が良いのか?
「そうですね、少しでもナギサさん以外作れないものは減らしたいですから。
動力に精霊を使っている限り悪用されることも無いでしょう。
精霊を使わないものも早めに商業ギルドに登録しておいてくださいね。」
魔法が有るから誰か思いつくかもしれないしな。
早めに基本をこちらで登録して押さえてしまわないと。
自転車のギアから発展させられても困るし。
歯車は特許で押さえてるから大丈夫か?
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