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第二百四十一話

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フォレスティエ王国王妃ソフィースティア・ブランは結局2泊して行った。
精霊樹の発芽を目撃して興奮止まず、昨日も泊ったとか。
エルフさんに混ざって酒盛りをしていたらしい。
夕べ王城からの迎えの侍女が来ていたらしいが構わず飲み食いしていた。
大丈夫かいな。
エステで整えたのが台無しになってないか?
エルフさんが酒盛りの参加を許容してるのだから浄化は十分なんだろう。

また王がやきもちを焼かないと良いけどな。

ついでに新しい服を予約して昼前に王妃は列車で帰って行った。
王都まで路線が繋がったら頻繁に里へ来そうだよな?
一応目付け役の侍女さんが紛れているのだろうから王たちも承知しているのだろうけど。

ミランダは列車のことを一通り説明したようだ。
侍女さんがメモを取っていたらしいので王城への説明はできるだろう。
実際に王都と繋がらないと実感はできないだろうけどな。


爺さんも宴会に参加していたそうだ。
ただ、エルフさんたちには混ざらず神官たちで固まっていたとか。
種をもらう順番に割り込んだような形だから肩身が狭いのかね。
あの爺さんがそんなことを気にするとは思えないが。

「わしだって気を使うのじゃぞ。
これから精霊樹の世話を手伝ってもらうかもしれんのじゃから、嫌われないよう注意を払っておるのじゃ。
あまり精霊樹に近寄らせてもらえんから効果は出ておらんようじゃがの。」

手伝うと言うか、エルフさんたちにお任せになるだろうよ。
意思の疎通ができる大精霊が居ると言っても、ほとんどは精霊さんからの報告や忠告でお世話が進むのだからエルフさんたちじゃないと精霊樹の状況が分からないだろう。
神の力を持って行かれる恐れの有る神官たちは当分近寄らせてもらえなさそうだ。
国に精霊樹を持って行ってから近寄らせてもらえるかどうかだな。
その頃には現地に建てた教会の効果も出て少しくらい爺さんたちが神の力を持って行っても気にしなくなるかもしれない。
予備にならないように近寄らせてもらえないままかもしれないけどな。

「精霊樹の予備にならんよう、わしらが余計なことをせんようにせねばのう。
国の神官共が邪魔せんと良いのじゃが。
大精霊様に魔力をお渡しし、聖水もどきを作り続けることしかできんかの。」

国の神官が欲張らないと良いね。
商人に唆されて素材を手に入れようとする者は出るだろう。
大精霊がそれを許すとは思えないけどな。

「こちらに来た神官たちはレベルも上がっておるでのう。
大精霊様のお手を煩わせることもなかろうて。
よほどの傭兵や冒険者でも連れて来ない限りはのう。」

セラフィナたちのような強者が居るからな。
いざとなればアマリア様の神罰も有るだろうから心配は要らないか。
エルフさんたちも本気で潰しに行くだろうし。

「その辺はこの里も頼りにさせてもらうがの。
精霊たちの情報網で瞬時に拡がるのじゃろう?
精霊樹の下には転移陣を敷いてもらう予定じゃし、食事を摂りに来るのも楽じゃのう。」

緊急時以外は私用で使う気かよ。
里にお金を落とすのは良いけれど、借金は早く返せよ。

「わしらの国にも稼げるものが有れば良いのじゃがのう。
いつまでも寄進に頼っているようでは借金が減らんじゃろう。
教わった治癒で高額を頂く訳にもいかんしのう。
欠損再生もいつまでも患者が続く訳でも無いしの。」

欠損再生で高額は取れるけれど、そうそう払える額でも無いし、頼む人にも限りが有るだろう。
余裕ができたら聖水もどきを売っても良いんじゃない?
浄化で農地の改善に使えるだろう。

「そうじゃのう。
聖水もどきならば皆作れるように成っておるのじゃから売っても良いかの。
教会に置かせてもらうことにはなるが、浄化に使われるのじゃからアマリア様にも許して頂けるじゃろう。」

カッセル商会でも売ってるけどな。
大体、グリエール領とスプリング領で撒いた分は領からお金もらったし。
教会で聖水もどきを売れば商会よりも売れそうだぞ。

「ではミランダ殿と売る地域の相談をするかのう。
北側の国々は任せてもらえると助かるのじゃ。
今カダイに運んでいる分も我らが担当させてもらうのじゃ。」

カッセル商会としても遠いところは赤字になりそうだしな。
転移陣を維持する魔力だけでももったいない気がするし。
早く援助しているところが自立してくれないと、そこの借金も返って来ないし。
ついでに爺さんの国が稼いでくれるならその借金も返ってくるだろう。

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