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第二百三十三話
しおりを挟む結局おばばたちの里の他、2つの里にも教会を建てた。
既にこの大陸のエルフさんたちの里は相互の転移陣が設置されて行き来が楽になっていた。
その上精霊さんの連絡網で、俺たちが行けば大精霊と里の長老が待ち構えていた。
この大陸では何が起こってもすぐさま対応できそうだ。
近くの人族の国がお零れに預かれないのがもったいないくらいだ。
馬車はもちろん、運河や飛行機、鉄道よりも便利な転移ネットワークが有るのだから各地の流通は楽ちんだ。
エルフさんたちの信用を勝ち取る人族の国は出て来るのだろうか。
爺さんのところも国境際に荷運び用の転移陣をカッセル商会が持っているだけだから、他の国に設置されるのは遥か未来かね。
精霊さんチェックで使用できる者を絞っても、里の情報流出を恐れて人族を入れることは無いのだろうな。
何より大事な精霊樹を各里が持っているのだから。
爺さんはおばばの里から帰ってからステンドグラス作りに嵌っているようだ。
下絵をいくつか作っているみたいだけど、細かく描写しようとして色覚検査用の絵みたいになってるぞ。
人によって見えて来るものが違う絵になったらどうするのよ。
ドット絵じゃないんだからもっと大胆にしないと何を描いているのか分からんよ。
ほぼ網絵になってるからガラスよりも金属の方が使用量多そうだ。
とにかく爺さんには芸術的才能が無さそうだ。
その内爺さんの国にも教会を建てるのだから、そのステンドグラスを見て誰か職人を育成した方が良さそうだぞ。
「いやいや、表現したいものが多過ぎてのう。
長く残るものなのじゃからきちんと伝いたいのじゃが難しいのう。」
細かくしたら余計に分かりづらいって。
大雑把な方がそれぞれの脳内補完が入るから受け入れてもらえるぞ。
「ステンドグラスは各教会で違うものになるのじゃろ?
すべて拝見しに行かせてもらうかのう。」
爺さんならエルフさんたちの里にも自由に入れてもらえるかな?
この里でそれぞれの長老たちと面識を得ているから大丈夫か。
「今日も里を回りましょうか。
ナギサも力のコントロールを早く覚えてもらわないといけないわね。
精霊王としては明日でこの大陸の里を回り終えるつもりかしら?
ああ、後から加わった爺さんのところは後回しね。」
精霊王がそう言うのなら仕方ない。
爺さんが膝を突いているけど仕方ない。
種をもらえただけ良いじゃないか。
そうそう優遇されるもんじゃ無いよ?
今日か明日に4つの里を回ることになるけれど、無理の無い範囲だな。
精霊王は既に回る順番も決めているのだろうな。
後は大陸ごとに行くことになるか。
教会を建てるよりも移動の時間の方が多くなるな。
「この大陸の教会はアマリアの像を渡しても良いそうよ。
と言うか、大精霊と長老が運んで行ったみたいね。
10体揃ったのかしら?」
えーと、像にくっつく大精霊をちゃんと見分けられていない俺に聞かれても。
精霊王が頷いているのでこの大陸分は作り終えているようだ。
ただし、爺さんのところは除く。
爺さんが更に深く沈んでいるけど放置だ。
「今日はセラフィナ、明日はミランダが付いて行くからよろしくね。」
偶には出掛けないと何ちゃらブルーになったりするか。
空いた時間に衣装を作るのは昨日と一緒かな。
転移で移動は一瞬なので、各里で完成した教会を長老たちがチェックしている間の時間だけだけどな。
今日は爺さんの代わりにケイトたちが付いて来て教会の説明をするようだ。
どうせ知らない形式の教会なので昨日の爺さんと一緒で探検するだけで終わるかもしれないけど。
「教会が建って、アマリアの像が置かれて、神の力が少しでも供給されているから精霊樹の結界も強くなりそうだな。
大精霊の力も上がっているよな。」
セラフィナたちエルフさんには細かい違いも分かるのだな。
出来上がったばかりの教会で影響が出るものなのか。
「アマリアの像を大聖堂に置いていたからかかね。
きっちり神の力が込められているようだ。」
その辺は時間の流れの違う部屋で調整されたのか。
しばらくは大聖堂に置かれた聖水もどきを使うのだろうけど、各里でも用意できるようになるな。
まだ種を若木に育てる手伝いもあるから、うちの里と頻繁に行き来するのだろうけど。
「教会は大聖堂ほどの神気が無いだろうから、今回の種が若木に育つまでの期間は大聖堂の聖水もどきを使うだろうな。
手伝いに来るエルフも当分減らないだろう。
どの精霊樹も大事な子だからな。」
自分の里の精霊樹が一番だとしても、精霊樹を世話することがエルフさんたちには大事なことだものな。
他の精霊樹も立派に育て上げるわな。
「一度にこれだけの精霊樹を育てることはないだろうし、必要も無くなるだろうからな。
全エルフが参加するためにやって来るさ。」
これだけ多数の精霊樹を育てることはないだろうな。
それだけにエルフさんは是が非でも参加するか。
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