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第二百七話
しおりを挟む精霊樹の花びらが落ちた。
正確には精霊王が渡してくれたのだけど。
何か使い道が有るのだろうか。
「もちろん有るわよ。
薬にするなら花びらの方が扱い易いかもしれないわ。」
ミュリエルの知識には有るのだな。
薬の材料に成るのか。
酒に漬けたりしておけば薬用酒ができそうだな。
精霊樹で樽を作れば何かそれだけで効きそうな気もする。
「樽にするほどもらえるかしら。
落ちた枝を創造魔法で樽にしてみたら?」
樽と言うより薬瓶程度の大きさになりそうだ。
花びらは辛うじて入りそうだけど。
「これに聖水もどきで作ったお酒を入れてみれば良さそうね。
しばらく借りるわよ。」
すり潰したりせずにそのまま入れてみるようだ。
本物聖水に入れたりしたら強力なものができそうだけどな。
その後も花7つ分を持って来たのでもらっておく。
そう言えば以前の物はどうしたんだっけ?
「ミュリエルが持って行ったはずだぞ。
色々実験をしていたはずだ。」
セラフィナが承知していたか。
成果の報告が無いのはまだ使う場面が無いのか、特別なものはできなかったかだな。
聖水以上の効果が有るのなら既に使ってるだろう。
ひとつクリスタルにでも封じてみるか?
アクリルとか作りだしても意味無さそうだし。
どうせなら魔石を使う?
合成して大きくした魔石は沢山有るし。
一応咲いていたときの状態を再現してっと。
何か以前にヒールを付与した魔石よりも強烈っぽいのができた。
精霊樹の輝きが残ってるように、やや光ってる?
「また飛んでもないものができたな。
これは目印になるどころじゃなさそうだぞ。
精霊王が渡せと言って来てる。」
ちょこっと細工しただけだから材料さえあれば作れるけどな。
単純に、精霊樹の花を封じた魔石と鑑定には出たので特別なものっぽく無いのだけれど。
精霊王が持つことで特別なものに変化したりしないよな?
元々精霊樹と一体の精霊王のものみたいなものだから渡すけどね。
変なものに化けなければ良いな。
アマリア様からもリクエストが入った。
花を封じた魔石を使った杖を作れと。
しかもアダマンタイト製で。
ヒヒイロカネでさえ神の位階がひとつ上がったのに、そんなもの作って大丈夫か?
まあ、一度では作れないので細いアダマンタイトを組み上げる予定だけどな。
また魔力を使うお仕事が増えてしまった。
杖は時間が大分掛かりそうだ。
出来上がったものを大神殿にしばらく置いておけば大抵のものは浄化できる気がするな。
普通の人には扱えそうもないけれど。
とりあえずミスリルで作ってみますかね。
これも結構な効果が出そうだな。
ついでに高価になりそうだ。
爺さんが欲しがっても買えないくらいだろう。
「ちょっと、それを水に浸しておけば聖水もどきができるのではなくて?
ミスリルだから魔力や神力の補充が必要かもしれないけれど、アダマンタイトならそれも不要になるわよね。
アマリアは教会でばら撒くつもりかしら。」
戻って来たミュリエルが精霊樹の花入りの魔石の付いたミスリルの杖を見て驚いている。
確かに聖水もどきなら作れそうだ。
多分アマリア様は何となく注文しただけだと思うぞ。
『失礼ね、ちゃんと考えていますよ。
そもそもナギサさんがこんなものを突然作り出すのが悪いのです。』
花が手に入ったのが突然なので致し方ないでしょう。
思い付きで魔石に入れてみたけど。
「一応、アマリア様も使い道を思い付いたみたいだ。」
「一応で思い付きなのね。
まあ、役に立つなら良いじゃない。」
多分役には立つのだろう。
やり過ぎにならなければ良いけど。
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