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第百九十六話

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次の日の午前中には残る5つの里の精霊樹にヒールを掛けた。
この大陸だけで昨日今日と10体の大精霊が生まれたのだけど、大丈夫なのか?
あとで教会の爺さんのところの精霊樹にも大精霊が生まれるのだろうから、うちに生まれるはずの大精霊と合わせて12体になるぞ?

「この大陸だけ浄化が何歩も先を行くことになるわね。
きっと世界を立て直す起点として必要なのでしょう。
その為にもうちの子のところには精霊王が欲しいわね。」

ミュリエルは精霊王を欲しているみたいだ。
各属性の精霊王とかで複数体制にはならないのかね。

そしてうちの里の精霊樹にもヒールを掛けたのだけど、昨日と違って種には魔力を回されなかったものの、変化無し。
大精霊も生まれなかった。

「これは本当に精霊王が生まれるのかもしれないわね。
沢山ナギサの魔力を蓄えるつもりみたいだわ。」

おかわりを要求されているのね?
何回注げば良いのだか。

「生まれるまで毎日注げば良いじゃない。
転移で移動する訳でも無いのだし、日課にすれば良いのよ。」

大神殿や食堂に行くコースを少し変えれば良いか。
嫁たちも注いでいるからかなりの量を貯めているんじゃないかい?


午後からは王都北側に作られた運河の視察だ。
ついでに壊された船の回収も。
今回は王城だけの依頼ではなく、商業ギルドも噛んでいる。
やはり運河の便利さは商業関係に効くからね。

うちの運河とは繋いでいないので王都北に移動してインベントリから船を取り出して運河で北に向かう。
こちらの運河は手作業で作られているので粗が目立つな。
水を吸って脆くなっている箇所がいくつも有った。
大雨とかのときに崩れるんじゃね?
補修とか改修は別料金なので今回は行わない。
一応視察なのであとで感想として教えよう。

王城へ売って、馬鹿貴族が解体研究しようとした船は見事に真っ二つになっていた。
精霊さんエンジンは手を掛けたところでさらさらと砂のように崩れてしまったそうだ。
精霊さんがそこまでやるとは思わなかった。
更に船体も真ん中からふたつに割れたそうだ。
マジックバッグに収納もできずに野ざらしになっていた。
船が壊れても精霊さん防御がフルに発動しているな。

もはやスクラップなので俺のインベントリに収納。
修理と言っても一番お高い精霊さんエンジンは新たに作るのだから船体の材料費が減るだけよ?
新しく作るのとそう変わらないお値段になるだろう。

と言うことで今回の新しい船は商業ギルドに売ることとなった。
契約にはうるさいだろうから、解体しようとする馬鹿を近付けようとはしないだろう。
メンテナンスの契約も今回は含まれた。
前回の王城との売買契約は売り切りだったからな。

一応回収した船体は鉱石と同じ扱いで買い取ったよ?
ミスリルが一部混ぜてあるので他の者は扱えないから買い叩いても良かったんだけどな。
ついでに盗難防止でマジックバッグに入れられないのは有効なままだったし。
ちゃんと馬鹿貴族を罰したご褒美だ。

しばらくはカッセル商会から商業ギルドへ操縦者の育成のために人が送られる。
商業ギルド所有のまま運航もギルドが仕切るそうだ。
利益が出れば2隻目3隻目と買い増す予定らしい。
運河沿いのギルドが儲かるだろうから、増えるのは時間の問題だな。

王城が船の代金を払えないので今回は商業ギルドの所有物となる。
運河自体は領主交代のときに国有化したらしいので使用料は取れる。
以前買ったもう1隻の王国所有の船の運行は委託と言うことにして委託料を払うそうだ。
馬鹿貴族のせいで王城は無駄な出費だ。
その分も他の地で運河を掘るお仕事をさせているそうだけど。

これから作られる運河でも同じような形態にするそうだ。
運河は国が作るので国所有、その地の領主には関税が入る。
国と領主からは商業ギルドへ運航委託料を払う。
払う割合はその都度決めるそうだ。

何か面倒そうなので公社でも作れば良いのに。
王国の軍が使うことだって有るだろうから、国が仕切った方が良いのにね。
国道や国鉄のような扱いなら儲からない場所へも運河を掘れるだろうに。
各地への備えとして運河を沢山掘っておけば良いのに。

田舎な土地にもお仕事を配分できるし、投資しておけば化けるかもしれない。
王城はまだまだ目先の利益に左右されちゃってるようだ。


*年末年始は更新が滞るかもしれません。
 ご了承ください。
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