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第百九十四話

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4つ目の大陸に聖水を撒きに来た。
それぞれの里に1滴ずつだけど。
このためにスポイトも創造魔法で作り上げた。

簡易聖水を料理に使っていることでエルフさんたちも立ち直っているようだ。
里はまだ薄っすらと暗い感じはするのだけれど。
よくも短期間でここまで持って来たものだ。
それでも本物聖水の出番が有ると言うことは、大地はまだまだ浄化が必要なのだろうね。

里の脇に広く空地ができている。
ここに植えるつもりなのね。
今のうちの精霊樹くらい育てば、里が枝の下に入りそうなんだけど?

「どうせ枝は高いところにあるのだから下に里が有ろうと構わないわ。
ここが結界の中心なのだから里の中心と一緒の方が良いでしょう?」

ミュリエルも本物聖水の効果を見るために来ている。
このくらい里が浄化されていれば問題はないだろう。

そして1滴を落とすのはセラフィナ。
おばばたちよりもセラフィナが精霊樹関係の中心になっているようだ。

小分けされた瓶からスポイトの先端に少しだけ聖水が吸い込まれる。
1cmにも満たないので本当に1滴なんだな。

「瓶のふたを開けただけで精霊が凄い勢いで群がってるわ。
恐ろしいほどの効果が出そうね。」

ミュリエルに解説してもらわないと精霊さんの様子が分からないけれど、もどきでも散々精霊さんが集まってると聞かされているから満員電車に飛び込んでいく通勤者たちの勢いを想像した。

セラフィナが1滴聖水を垂らすと地面が光り輝いた。
ひかりだすとか聞いてないんですけど?
まぶしくてよく見えないけど危険なものでは無いはず。

ひかりが収まるとセラフィナの隣にもうひとり居る。

「ちょっと、大精霊が誕生しちゃったじゃない。
この子にこの地を任せろと言うことかしら。
聖水を撒くそれぞれの里に生まれるのかしらね。
うちやおばばの里はどうするのよ。」

大精霊だと俺にも見えるのか。
専属の助っ人のようなものか?
先行している里には生まれないのかね?
必要無いと言うことなのか、それともそのうち自然に生まれるのを待つのか。

「そうね、うちの精霊樹ならそろそろ精霊を生み出しそうね。
もしかして、ナギサがヒールを掛けに行けば生まれるのかもしれないわね。」

聖水の1滴に匹敵する神の力が俺のヒールで貯まるのか?
もどきで散々吸収しているから蓄積されてる?
足りなそうなら新たに聖水を作って嫁たちに魔力を込めてもらうか。

うちの里の精霊樹なら神の力も貯まっていそうだけど、種が生ったりしてるから消費もしてるのかね?
近くで聖水を作ったからその分回復してないかな。


大精霊の姿は良く読んだラノベの風の大精霊のようだったけれど、何とか名前を出すのは耐えた。
フェンリルのときに名付けをすると俺の場合テイムしてしまうかもしれないと言われていたのだ。
この里の専属をテイムしちゃマズいよね。
専属じゃなくてもテイムする予定は無いけど。

2つ目の里でも同じように大精霊が誕生した。
こちらは水の大精霊っぽい。
次の大陸には3つの里が在るから属性被りするのかね?
見た目通りの属性とは限らないのかもしれないけど。

3つ目の大陸でもやはり大精霊が生まれた。
見た目は属性被りしてるな。
光とか闇とかの属性はやはり特別で生まれにくいのかもしれない。

こんなこと言ってるとうちの精霊樹に光とか聖の属性っぽい大精霊が生まれそうだな。
もしくは精霊王?
フラグ建てはやめておこう。

「うちの精霊樹はたっぷりナギサの魔力をもらってるから精霊王になるかもしれないぞ。」

セラフィナさん、フラグの建て増しはおやめなさい。
初っ端からうちの精霊樹は過保護に育てたからな。
ついでにおばばたちの精霊樹を近くで育てたから影響出てるだろうし。
直接俺が注ぎ込むのは禁止されたけど、たっぷりの聖水もどきを使ったからな。
このあとの精霊樹も同じように若木まで育てるのだし。

「大神殿の隣なのだから聖属性ではないの?
ナギサの嫁たちも魔力を注いでいるのだから今更よ。」

ミュリエルがフラグの台座をコンクリートで補強した。
もはやほぼ確定か。

「うちの子は特別だからな。
もしかしたらアマリアそっくりの姿かもしれないぞ。」

あー、ありそうだな。
大神殿の横の立地は大いに影響するよな。
像でしかアマリア様の姿を知らない神官たちが大騒ぎしそうだ。
特にしもべ1号の爺さんが。

そして爺さんも似た大精霊を望み、結果は男性に見える大精霊と言うオチまで見える。
そうなると爺さんは引退してうちの里に住み着きそうだ。
しもべとして最後までしっかり働くように言っておこう。

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